徴用工訴訟の棘

日韓関係はどんどん悪い方に進んでいる。

文在寅政権の下、韓国左派の反日世論がますます勢いを増す気配だ。

『第2次大戦中に強制労働をさせられたとして韓国人4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に損害賠償を求めた訴訟の差し戻し上告審で、韓国大法院(最高裁)は30日、同社の上告を退ける判決を言い渡した。4人に計4億ウォン(約4千万円)の支払いを命じたソウル高裁判決が確定した。日本政府は元徴用工への請求権問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で、同社も同様の主張をしたが、認められなかった。』

最高裁の判決である。この影響は大きい。

同様の訴訟が14件、日本企業70社が被告となっている。

安倍総理は「国際法に照らしあり得ない判断だ。日本政府として毅然として対応していく」と述べ、河野外相も「日韓の友好協力関係の基盤を根本から覆すもので、断じて受け入れられない」と強く反発した。

この問題は文字通り、パンドラの箱である。この判決を認めれば、日本政府が「決着した」として門前払いしてきた戦時中の様々な棘が表面化してきてしまうのだ。

韓国の聯合ニュースは判決理由について、次のように伝えている。

『 大法院は被害賠償を否定した日本の判決は韓国の憲法に反するもので、1965年の韓日請求権協定によって強制徴用被害者の個人請求権問題が消滅したとみることはできないと判断した。 また、新日鉄住金は加害者の旧新日本製鉄と法的に同一会社であるため、賠償責任があるとした上で、賠償請求権の消滅時効の主張は信義誠実の原則にも反すると判断した。』

この徴用工訴訟の経過についてもきちんと伝えている。

『 原告は1997年に損害賠償を求めて日本で提訴。大阪地裁は損害賠償の責任がないとして、原告の訴えを退け、2003年10月に最高裁で原告敗訴が確定した。

原告は05年に今度は韓国で訴訟を起こしたが、一審と二審は「日本の確定判決は韓国でも認められる」として原告敗訴の判決を下した。しかし大法院は12年5月に「日本の判決は日本植民地時代の強制動員そのものを違法と見なしている韓国の憲法の中核的な価値と真っ向から対立する。韓国の善良な風俗と社会秩序に反した判決であることは明らかだ」とした上で「個人の賠償請求権は有効」としてソウル高裁に審理を差し戻した。翌年7月の差し戻し控訴審で同高裁は「日本の核心軍需業者だった旧日本製鉄(新日鉄)は日本政府とともに侵略戦争のため人を動員するなど、反人道的な違法行為を犯した」とし、原告に1億ウォンずつ、計4億ウォンの支払いを命じた。

新日鉄側は判決を不服として再上告。大法院は5年以上、判決を下さず、原告のうち3人は判決を前に死去し、遺族らが引き継いだ。同訴訟を巡っては、朴槿恵(パク・クネ)前政権が大法院に対日関係への配慮を求めた介入疑惑が取り沙汰され、検察が捜査を開始。そんな中、今年7月27日、大法院長と大法官12人全員による合議体での審理が始まった。重大な事案の場合、大法院は全員での審理を行う。』

これを読むと、2012年に出た大法院の判決が決定的な転換点であったことがわかる。

「日本植民地時代の強制動員そのものを違法とみなしている韓国の憲法の中核的な価値と真っ向から対立する」として日本の裁判所の確定判決を完全否定したのだ。

韓国メディアも、日韓関係の悪化を予想し懸念する論調が目立った。

果たしてこの問題をどのように解決するのか?

両政府に、重い課題が突きつけられた。両国の世論は妥協を許さないだろう。

日本から一括で補償金を受け取った韓国政府は十分な個人補償をせずインフラ投資に回してしまった。その事実は両国の国民にはあまり知られていない。韓国政府が今回の判決にどのように対応するのか?

まずは、その出方を見るしかないだろう。日韓関係の前途は極めて暗い。

 

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