対韓輸出規制

G20終了を待っていたように発表された日本政府による韓国に対する輸出規制強化策。

徴用工問題をはじめとする一連の韓国政府の対応に対する安倍政権の報復との見方が強いが、韓国の保守系有力紙「朝鮮日報」が今年5月に気になる記事を掲載していたことに気づいた。

「大量破壊兵器に転用可能な戦略物資、韓国からの違法輸出が急増」という見出しが付けられたこの記事を引用しておく。

『 ミサイルの弾頭加工やウラン濃縮装置などに転用できる韓国産の戦略物資が、このところ大量に違法輸出されていることが16日に判明した。大量破壊兵器(WMD)製造にも使える韓国の戦略物資が、第三国を経由して北朝鮮やイランなどに持ち込まれた可能性もある。

 保守系野党「大韓愛国党」の趙源震(チョ・ウォンジン)議員が産業通商資源部(省に相当)から提出を受けた「戦略物資無許可輸出摘発現況」によると、2015年から今年3月までに政府の承認なく韓国の国内業者が生産・違法輸出した戦略物資は156件に上った。2015年は14件だった摘発件数は、昨年は41件と3倍近くに増えた。さらに今年は、3月までの摘発件数だけでも31件に上り、急増する様子を見せている。

 戦略物資とは、WMDやその運搬手段に転用できる物品や技術のこと。昨年5月には、ウラン濃縮などに使える韓国産の遠心分離器がロシア、インドネシアなどに違法輸出された。17年10月には原子炉の炉心に使われるジルコニウムが中国へ、また生物・化学兵器(BC兵器)の原料となる「ジイソプロピルアミン」がマレーシアなどへ輸出された。「ジイソプロピルアミン」は、北朝鮮当局がマレーシアのクアラルンプール国際空港で金正男(キム・ジョンナム)氏を暗殺する際に使った神経作用剤「VX」の材料物質でもある。15年9月と昨年3月には、北朝鮮と武器取引を行っているといわれるシリアに、BC兵器製造関連の物資などが違法に輸出された。

 戦略物資の違法輸出は、BC兵器系列が70件で最も多かった。通常兵器は53件、核兵器関連は29件、ミサイル兵器が2件、化学兵器が1件だった。韓国では、戦略物資を輸出する際、対外貿易法に基づいて政府の承認を受けるよう定めている。

 国防安保フォーラムのヤン・ウク首席研究委員は「北朝鮮の友好国に向けた違法輸出が増え続けており、第三国を経由して北朝鮮に渡った可能性を排除できない」と語った。』

この記事は、今回の輸出規制を受けて書かれたものではない。今年5月に韓国紙が独自に報じたものだ。

安倍政権は一貫して今回の措置は報復ではなく、韓国側の貿易管理に疑義が生じたためと説明している。詳細については明らかにしていないが、NHKが日本政府の主張の裏を取ったかのようなニュースを流したことからも、日本政府が韓国の反発を計算した上で、韓国側の弱点をピンポイントで狙った策を打ったとの印象を持っていた。

朝鮮日報の記事を読む限り、韓国が第三国経由で北朝鮮に物資の横流しをしている可能性は排除できない。もしこの事実が公になれば、国際世論も韓国糾弾に動き、文在寅政権は窮地に陥ることが予想される。

突然の日本側の輸出規制に反発し、韓国国内では日本製品の不買運動が広がっているという。

でも、韓国メディアの中にも、冷静な指摘が見られるので、こちらも引用しておきたい。

中央日報に掲載された『「メイド・イン・ジャパン」なく暮らす』というコラムだ。

『 日本の経済報復に憤怒した日本製品不買運動が韓国全土に広がっている。不買リストが出回るかと思えば、日本旅行キャンセルも続出する。日本車への給油を拒否するガソリンスタンド、日本製品販売中断マートも登場した。ソーシャルメディアには「行きません、買いません」というオンラインポスターが広まっている。 

  日本製品を買ったり日本に旅行に行ったりすれば「売国奴」扱いを受ける状況だ。与党議員は「義兵を起こそう」と加勢した。さらにアイドルグループの日本人メンバー退出要求まで佳境に入っている。 

  国同士の摩擦が大衆の自発的不買運動につながった事例は珍しくない。2012年の尖閣諸島(中国名・釣魚島)紛争の時に中国ではいまの韓国と似た日本製品不買運動が広がった。米国のアメリカーノコーヒーも英国の茶税などの横暴に対抗して生まれた。国民の一致団結した姿は相手国に圧力要因として作用することもある。 

  しかし年間1000万人が韓日両国を行き来する時代に不買運動が呼ぶ副作用も考えなくてはならない。その影響が韓国の輸入・流通・販売・旅行業界従事者と日本に住む同胞・留学生・就業者に返ってきかねないためだ。呂健二(ヨ・ゴンイ)民団中央団長が「韓日関係は私たち(在日同胞)には死活問題」と文在寅(ムン・ジェイン)大統領に訴えるほどだ。感情の谷が深くなるほど報復措置に反対する日本財界と良識ある日本人の立場がさらに狭まるだろう。 

  より現実的な問題は「メイド・イン・ジャパン」がなければ韓国がさらに苦しくなるという点だ。ビール、たばこ、衣類などの消費財は代替材もあるが、日本の核心部品素材なくしてスマートフォン、自動車、精密化学など韓国の産業は回らない。こうした日本製品は「インテル・インサイド」のように目に付かない。病院の超音波CTなどは日本製が大半で、放送も日本製装備がなければ撮影や送出は難しい。 

  さらに、自由、民主、憲法などの概念語と専門用語はほとんどが近代日本の造語からきた。うどん、とんかつ、ラーメン、居酒屋などは韓国人の生活の中に溶け込んだ。日本のアニメーション人気もそうだがこれを原作にした『オールドボーイ』のような映画やドラマも作らなかったか。悲憤慷慨な不買運動を理解できないわけではないが、本当に切実なのは切歯腐心して日本に勝つ克日の実力を育てることではないだろうか。』

韓国では文政権の下で、今も「日帝残滓の清算」が行われているという。

日本から持ち込まれ日常語になっている言葉まで清算の対象となり、現場から反発も出ているという記事も見た。

韓国の歴史には同情するが、あまり歴史をおもちゃにすると、収拾がつかなくなってしまう。

韓国政府のボロが出る前に、大人の対応をするように望みたい。

同様に、日本政府も大人の対応をお願いします。

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