名護市長選と陸自ヘリ墜落

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沖縄県の名護市長選で、普天間基地の辺野古移転に反対する現職が負けた翌日、佐賀県で自衛隊の対戦車ヘリが民家に墜落した。

この事故が選挙前に起きていたら、市長選の結果にも影響を与えたかもしれない。

まずは名護市長選。自民、公明、維新推薦の元名護市議、渡具知武豊(とぐちたけとよ)氏が現職の稲嶺氏を破った。8年ぶりに移設容認派の市長が誕生することになる。

渡具知陣営では「辺野古のへの字」も言わない戦術で臨んだ。そして前回自主投票だった公明党が渡具知氏支持でまとまった。そして期日前投票が44%という過去最高の高さとなった。これこそ公明党の力だと言われている。

たまたま今読んでいる佐野眞一著「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史」という本の中に、今回と似たような記述を見つけた。2006年に行われた沖縄県知事選挙に関するルポだ。自民、公明が推薦する沖縄電力前会長、仲井真弘多氏が、民主党など6党の推薦を受けた前参議院議員、糸数慶子氏を破った選挙だ。この選挙について、佐野氏は次のように書いている。

『 今回の知事選で仲井真勝利の決め手になったのは、間違いなく創価学会=公明党の組織をあげての人海戦術だった。 絶対的な動員力を誇る公明党が、不在者投票、期日前投票を得意とすることは、よく知られている。本土ではあまり知られていないが、沖縄ネイティブに根強い人気がある沖縄芝居や沖縄民謡のテレビ番組を提供しているのは、ほとんど沖縄創価学会である。「候補者の娘です」というタスキを二人の娘にかけさせ、家族愛をアピールした選挙戦略も、仲井真勝利に寄与した。 「政策より何より“いい人”ってことばかり強調した。仲井真陣営には、多分そんなイメージ戦略が最初からあったんだと思う」』

「平和の党」を自称する公明党がキャスティングボードを握る選挙。しかしそこで語られるのは「平和」ではなく、人柄だったり経済だったりする。

「ニュースステーション」の後藤さんがいいコメントをしていた。『沖縄の選挙では昔から、テーマが経済なら保守、テーマが基地なら革新の候補が勝利を納めてきた。』 今回の名護市長選のテーマは「経済」だった。いくら反対しても工事は進んでいく。人間の頑張りには限界があるのだ。そして政府は稲嶺氏が市長だったこの8年間、米軍再編交付金の支給を差し止めていた。容認派市長の誕生で年間数十億円の交付金が名護市に流入することになるのだろう。

私は、普天間基地が今のままあるよりは辺野古の方がベターだと思っている。しかし、「少なくとも県外」という沖縄の人たち要求は当然だとも思う。どうすれば沖縄の基地負担が軽減できるのか? 本土で引き受けるのか? 米軍に守ってもらうのを止めるのか?

独立国であった琉球が島津藩に侵攻されたのは関ヶ原の戦いの直後だ。そして明治維新後のいわゆる「琉球処分」で強制的に琉球藩とされ、さらに沖縄県として日本に完全に編入された。そして太平洋戦争では本土決戦のための「捨て石」とされ、戦後はアメリカの占領下に置かれた。ひどい歴史だ。

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そして名護市長選の翌日、佐賀県で陸上自衛隊のヘリが民家に墜落した。乗っていた自衛隊員は死亡したが、幸いこの家の住民は無事だった。

沖縄ではこのところ米軍ヘリの不時着や部品の落下事故が続いている。北朝鮮有事に備えて、普段より厳しい訓練が行われているのではないかと勘ぐってしまう。背景で何が起きているのか、軍事に関する情報はマスコミにも漏れてこない。

「戦時」という異常な状況を今の日本人は知らない。「戦時」になれば、あらゆる所に「機密」がはびこる。一般国民から見えないところで事態が進み、社会の「常識」も次第に変わってくる。全体に従わない者は「非国民」となる。

そうしたことにならないよう、よく見ていく必要がある。私は小野寺防衛大臣を信頼しているが、国際情勢の変化の中で日本社会がいつの間にか「戦時」に近づいていくことを心配している。

トランプ政権は、中国やロシアに対抗するため、「使用可能な核」を整備する新たな核政策を発表した。河野外相は「高く評価する」と言い切った。オバマ前政権の「核なき世界」からたった1年で、世界の景色はすっかり変わってしまった。

私は今週末、沖縄に行こうと思う。私の還暦旅行だ。これまで何度も訪れた大好きな沖縄。しかし目的はリゾートや仕事だった。還暦を迎えるにあたり、今回は沖縄の歴史や沖縄での戦争を直視する旅をしてみたいと思った。

果たしてこれまでとは違った沖縄が見えるだろうか?

 

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