史上最長の総理

通算在職日数2887日。

安倍総理がついに、桂太郎を抜いて憲政史上最長の総理となった。

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私が子供の頃、佐藤栄作がずっと総理を務めていて、あれを超える人は出ないのではと思っていたが、あの佐藤総理の在職日数は2798日だった。

しかし、この歴史的な日に、安倍さんに向けられた質問の多くは「桜を見る会」の問題だった。

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安倍政権になって総理主催の公式行事である「桜を見る会」への税金投入が大幅に増えているという。その原因は招待客の数がどんどん増えているという事情があり、安倍晋三事務所などが支援者を大勢招待している実態が明るみに出た。

野党から追及されると、招待客のリストなどはすでに廃棄したという。「桜を見る会」の前日にはホテルで後援会のパーティーが開かれているが、そのお金の流れが怪しいということで野党やマスコミから説明を求められている。

問題が発覚するやいなや、安倍さんは「来年の桜を見る会は中止する」と発表し、先手を打った。このあたり、いかにもずる賢く、しかし抜け目がない。

森友加計問題のような大スキャンダルでも崩せなかった安倍政権を、この程度の問題で突き崩すことなどできるはずがない。私はこのニュースを白けた気分で聞き流している。

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安倍政権はどうしてこれほどの長期政権となったのか?

私が思うに、「人柄は信頼できないが、仕事ができる」ということではないだろうか。

まずは、経済とインターネット。

就任早々、「アベノミクス」「黒田バズーカ」という流行語を産んだ経済政策は、株価を押し上げ人手不足が問題となるほど企業を潤わせた。就職戦線はかつてない売り手市場が続き、その影響で本来なら変革を望む傾向が強い若者たちの保守化を促している。

何より政権が安定し、社会が長期間落ち着きを保っていること自体が、日本経済にとってプラスとなっている。そのことは、素直に評価したい。

また安倍政権の特徴として、ネットの使い方が上手いという特徴も指摘しておきたい。

自民党では早い時期から、インターネットを使った情報工作を研究し実践してきたと言われる。安倍政権に有利な情報や意見を組織的に書き込み、批判する者をネット上で激しく攻撃している。それを繰り返すうちに、ネット世論は明らかに右寄りになり、ネット右翼と呼ばれる勢力が一定の力を振るうようになった。

森友加計問題の大スキャンダルは、従来の政権だったら乗り越えることはできなかっただろう。既存メディアが政権を厳しく糾弾する中、ネット上では安倍さんを支持する論調が異様なほど強かった。安倍さんは、メディアを選別し、自らに近い記者を優遇したことで、安倍政権の7年間でマスコミは大きく弱体化したように見える。

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安倍政権が歴代最長となった原因は、野党にもある。

魅力ある対抗馬が出てこないのだ。

枝野さんではダメなのだ。面白くない。勢いがない。

それ以前に、野党が分裂していたのでは、そもそも対抗すべき受け皿さえない。

与党に比べてメディアに取り上げられる機会が少ない野党のリーダーは、総理以上に個性的で、国民に夢を見させられる人物でなければならない。そうでなければ、敵失を待つ以外にチャンスは絶対に回ってこないのだ。

今の野党を見渡して、総理にしてみたいと思える人物がいるだろうか?

能力的には高い人もいるのかもしれないが、テレビで拝見する限り、とても政権をひっくり返したいと思わせるような政治家にはお目にかかれない。

安倍政権の些細なミスを針小棒大に騒ぎ立てるだけでは支持は広がらない。桜を見る会の問題も、政権をひっくり返すような話ではない。しょぼいのだ。

野党はもっと正面から政策の対抗軸を打ち出さなければならない。目先の損得ではなく、環境や教育や新産業育成など未来世代に目を向けた「正しい日本の進路」を示すべきである。人口の多い高齢世代に迎合する安倍政権に対し、次世代にツケを回さず今やるべきことを正面から訴えてほしい。

ところが、今の野党は政権欲しさから安倍政権以上にポピュリズム的なのだ。

消費税を下げるとか廃止するとか、何を言っているのか? 消費税を上げずにどうやって超高齢化社会を運営していくのか? 

こんな野党なら、安倍政権の方がマシ。世論調査で安倍政権を支持する理由の一番が常に「他の政権より良さそうだから」なのは、まさに言いえて妙である。

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そして、激動の国際情勢も安倍政権の強みだ。

安倍さんとオバマさんは、いつもギクシャクしていた。お互いに嫌いだったのだろう。

そこへ登場したのが、トランプ大統領。安倍さんは真っ先にまだ就任前のトランプさんの元に駆けつけた。ヨーロッパなどでは嘲笑されたが、今では世界で最もトランプさんと話ができる政治家として時として調整役を期待されるようになった。

ある意味では、先見の明があった。賭けに勝ったとも言える。

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予測不能がトランプ大統領がそれまでの世界の常識を次々にぶち壊した。

つい先日には、ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地を認める決定をした。中東和平のためにアメリカの歴代政権も尊重してきた「世界の常識」をイスラエルびいきのトランプさんは易々と破って見せた。もう怖いもの無しだ。

トランプさんは今、ウクライナ疑惑で議会から追及を受けているが、岩盤支持層が崩れる気配はまったく見えない。トランプ再選は、よほどの激震がない限り揺るぎそうにもない。

もし鳩山さんが総理だったら、一体どんなことになっていただろう?

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一方で、中国では習近平さんが個人崇拝を推し進め、ITをフル活用した新型の独裁国家が誕生しようとしている。

騒乱状態が続いていた香港では、過激派の拠点となっていた大学に警官隊が突入、多くの学生が逮捕された。私が予想した通り、過激化した学生たちは市民の支持も徐々に失い、孤立化したところを当局に叩かれた。今回の大学制圧は、5ヶ月続く香港民主化運動の大きな転機となるだろう。

安倍さんが就任した頃、日中関係は冷え切っていた。習近平さんは安倍さんと同じ会議に出ても目も合わせようとしなかった。

しかし、米中の覇権争いが激化する中で、習主席も安倍さんに歩み寄ってきた。「対話の扉は常に開かれている」として待ちの姿勢を保った安倍さんの戦略は、対中関係でも当たった。

一方で、香港情勢に関して、安倍さんはほとんど触れない。かつてなら西側諸国がこぞって中国を非難しただろうが、日本に限らずアメリカもヨーロッパも表立って中国を非難する声は聞こえてこない。中国市場から締め出されることの不利益を恐れ、自由と民主主義を求める香港市民の運動は世界から見捨てられようとしている。

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安倍さんが執念を燃やす北方領土問題はなかなか前に進まないが、ロシアのプーチン大統領とはしつこいぐらいに会談を重ねている。その数、なんと27回。これも歴代総理には見られなかった安倍外交の特徴だろう。目的のためには手段を選ばないし時間も手間も惜しまない。その姿勢は評価されるべきだろう。

インドとも、イランとも、トルコとも、積極的な関係作りを続けている。広範な国と良好な関係を築くことが日本の利益になるという意味では、これほどの働きをした日本の総理大臣はいなかっただろう。

韓国とは全然ダメだが、これは文政権の方に問題がある。足元がぐらつく文在寅さんに比べ、安倍さんの政権基盤が安定していることが、何より安倍さんの発言力を強くしていて事態を静観する余裕がある。

外交に関しては、安倍さんの後、誰が総理になるとしても安倍さんほどうまくやるのは難しいだろう。

弱肉強食の傾向がますます強まる世界にあって、日本にも強いリーダーが求められる時代が続くのだろう。

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歴代最長の総理大臣となった安倍さん。

果たして4選はあるのか?

悲願の憲法改正はどうするのか?

安倍さんの動向からはまだ目が離せないが、一つ確かなことは、安倍さんの後継者は間違いなく大変だということだろう。

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