トランプとG7

夏休みでフランスのメッスという町を訪れた時のことだ。

立派な大聖堂の近くを流れるモーゼル川の中に、驚いたことにトランプさんがいた。

フランス東部、ルクセンブルクとの国境に近いメッスは、三千年とも言われる古い歴史を持つ町である。

モーゼル川にかかるロシュ橋は、美しい花で飾られ、多くの観光客が訪れるメッスの人気スポットでもある。

そんな中世の街並みの中に突然現れた安っぽいトランプさんは、なぜか右手でOKサインを作っていた。

一体、何がOKなのだろう?

ロシュ橋の上から、珍しそうに観光客がトランプさんを見下ろす。

なんなんだろう? このシュールな光景は・・・。

フランスらしいアートとも言えなくもないが、誰がどういう目的でトランプさんのバルーン人形を川に沈めたのか、真相は私にはわからなかった。

ただ一つ思ったのは、フランスの人たちは私たち日本人よりもトランプさんに対する拒否反応が強いということだ。

トランプさんが大統領に当選した直後、安倍首相は真っ先にニューヨークに飛び、トランプさんと面会した。その頃、来日したかつてパリ支局で働いていた日本女性が言った言葉が忘れられない。

「なんて、まあ、恥ずかしい」

安倍さんの行動を強烈に非難したのだ。

当時、日本では、安倍さんが先手を打ってトランプさんの懐に飛び込み、パイプを作ったと評価する論調が結構あった頃だ。彼女が暮らしていたフランスでは、安倍さんの行動は常軌を逸した恥ずべき行為として嘲笑されていたのだろう。

あれから3年が経ち、世界の風景は一変してしまった。

トランプさんが何を言っても、世界は驚かない。またか、と思うだけだ。すっかり、トランプ流に飼いならされてしまった。特に日本では安倍・トランプ関係が強いことがメリットとして語られ、融通がきかないオバマさんよりやり易いと思っているところもあるかもしれない。

でも、フランス人というのはそう簡単に自らの信念を変えない国民だ。

少なくとも、私は思っている。

G7の中でも、一貫してアメリカに一番厳しい姿勢を取ってきたのがフランスだった。その代表格は、私が取材していた頃のミッテラン大統領だった。アメリカに対して常に一家言持っていた。フランスのリーダーは唯々諾々とは従わない。フランス国民もそういう姿勢を当たり前だと信じている。

なぜなら、自分の方が正しいと思っているからだ。

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今年のG7サミットは、フランス南西部の保養地ビアリッツで開かれた。私も行ったことがあるが、砂浜の美しい洗練された町だ。

議長は、フランスのマクロン大統領。ミッテランさんに比べるとまだ若くて貫禄はないが、言うべきことははっきりと主張するタイプだ。合理的ではあるが、理想主義的なところもあるリーダーだと私には映る。

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マクロンさんはG7サミットで初めて首脳宣言の見送りを決めた。これもトランプさんへの先制パンチだったのかもしれないが、トランプさんはそんなことは意に介さない。大好きな二国間会談に精を出した。

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米中摩擦で売れ残ったトウモロコシを安倍さんに買い取らせ、日米貿易交渉を決着させた。トランプさんは早速トウモロコシ農家にアピール。全ては目先のこと、人類の未来などお構いなしだ。安倍さんとしても、トウモロコシ程度でトランプさんを黙らすことができるなら悪い取引ではなかったと見える。

トランプさんは、今回も「OK」なのだろう。

そんな理想のないアメリカ大統領を、喜んで歓迎できないフランス国民の気持ちが、メッスのトランプ人形には表現されているように私には感じられる。

本当に、こんな大統領でいいのか?

私たち日本人は、少しトランプさんに慣れすぎて、甘すぎるのではないだろうか?

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1件のコメント 追加

  1. wildsum より:

    大賛成です。トランプも安倍も最悪です。こんな人たちに世界を任せて、いいのだろうか?未来が暗く感じられます。

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