岸井成格

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今朝のTBS「サンデーモーニング」の冒頭、司会の関口宏さんがこんな話をした。

『 最後に見舞いに言った時に、『私に何か言いたいことあるでしょ?』って言ったら、振り絞るような声で『たるんじゃったな、みんな』って。この一言が私は忘れられないんです』

先日亡くなったジャーナリストの岸井成格さんについてのお話だ。

病床の岸井さんは「たるんじゃったな、みんな」と言ったという。

この言葉が胸に刺さった。

「たるんじゃったな、みんな」

この言葉は、政治家にも官僚にも財界人にも向けられているが、一番のターゲットはジャーナリストであり、マスコミ界に向けた言葉だと思った。

「こんなんじゃダメだ」とか「もっと頑張れ」とか「何やってるんだ」ではなく、「たるんじゃったな、みんな」。この言葉ほど、今の日本社会とメディアの状況を端的に示す表現はないと思った。

毎日新聞で主筆まで務めた一流のジャーナリストだったが、岸井さんは常に穏やかでバランスが取れていた。刺激的な言葉をあえて使わず、言論の多様性をとても大切にしている印象を受けた。相手を論破することよりも、多様な意見が共存できる社会を大切にした人だったのだろう。

「たるんじゃったな、みんな」

この言葉を岸井さんの遺言だと思って、マスコミ人の端くれとして私も意味のある活動をしていきたいと改めて思った。

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