栃ノ心 優勝

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不祥事に揺れた角界。大相撲人気の陰りが心配されたが、平幕栃ノ心の優勝は予想外の爽やかな印象を残した。

旧ソ連から独立したジョージア人で、世界遺産の街ムツヘタの出身。2004年、世界ジュニア相撲選手権大会に出場し3位となったのが角界に入るきっかけだった。それまで柔道やサンボは経験していたが、相撲を取ったのはこの大会が初めてだったという。2004年の大会といえば、豪栄道や栃煌山が優勝している。そんな大会で初めて相撲を取り3位になったというのはズゴイ。

当時活躍していたジョージア人力士黒海とも相談して角界入りを決めた。母親は泣いて反対したという。

2006年に初土俵。わずか13場所、史上10番目のスピード出世で新入幕を果たす。しかし大きな試練が彼を襲う。2013年の名古屋場所。右膝前十字靱帯断裂の大ケガを負う。幕下まで陥落した栃ノ心は引退を考えたという。

しかしそこから這い上がった。幕下、十両で4場所連続優勝、幕内に返り咲いた。そして、平幕優勝。いつも通り息を切らせて臨んだ優勝インタビューでは、親方や周囲の人たちへの感謝を語った。

「角界のニコラス・ケイジ」と呼ばれる端正な顔全体に喜びがあふれる。異国での慣れない世界に飛び込んで10数年。様々な苦労があったことだろう。しかし、モンゴル人だけでなく、世界各地から角界に入ってくるこうした力士たちが「国技」である大相撲を支えてくれている。

本国に残した妻子のことを聞かれ、父親の優しい顔を見せた栃ノ心。何か感動を覚えたインタビューだった。そして国技館の観衆がみんな栃ノ心の優勝を祝福しているように見えたのも、最近の外国人力士バッシングの風潮が気になっていただけに、嬉しい光景だった。

いつか彼の国、ジョージアにも行ってみたいと思っている。

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