ネコ日和

アマゾンプライムビデオで久しぶりにドラマを観た。

「パンとスープとネコ日和」という群ようこさん原作の4話シリーズだ。もともとWOWOWが制作した。

e0062977_15393043

「かもめ食堂」「めがね」など小林聡美を主演とした一連の脱力系映画の制作スタッフが再結集して作ったドラマシリーズだ。

舞台は世田谷の住宅街にオープンしたカフェ。小料理屋をやっていた母親が突然亡くなり、娘が仕事を辞めて店を開いた。いつもながらどうということのない淡々としたドラマなのだが、何とも心地よく、最後まで観てしまう作品だ。

このドラマも期待を裏切らず、観終わった後、温かい気持ちになれた。

「かもめ食堂」や「めがね」の監督は荻上直子だったが、このドラマは「マザーウォーター」「東京オアシス」の松本佳奈が監督をしている。ただ、映像の作り方、編集の仕方、何より小林をはじめとするキャストが一貫している。空気がいつも同じなのだ。

無理をしない、頑張りすぎない、自分の思ったようにしっかり生きる。日常社会の中で疲れた現代人には、この空気が癒しを与えてくれる。

ドラマの中で、主人公が拾ってきたネコが突然姿を消す。ネコは気ままな生き物だ。タイトルにも「ネコ日和」と謳われているのに、ネコがどこに行ったのか最後まで描かれない。まるでネコのような執着しない作品作り。主人公が通うお寺の住職に、「今日新しい猫がお寺に来ました」というセリフを言わせ、主人公の猫がお寺に行ったことを示唆する。この住職は主人公の異母兄弟なのだ。だが、その脂っこいところには踏み込まず、映画は何事もなかったかのように終わる。この軽さが心地いい。

20170718-OHT1I50192-T

ネコに直接関係はないが、聖路加病院の日野原重明名誉院長がきのうお亡くなりになった。

延命治療を拒否して、105歳の大往生だった。

テレビを通して拝見していた日野原先生は、何か上記の映画と通じるような空気を持っておられた。無理をしない、頑張りすぎない、自分の思ったようにしっかり生きる。

日野原先生は、予防医学の普及に人生をかけた。今では当たり前の「人間ドック」も日野原さんが始めたのだそうだ。

東洋経済にこんな記事が出ていた。引用させていただく。

『 日野原氏の最大の功績は日本における「予防医療」の普及だろう。

「病気になってから病院に行くより、病気になる前に行って予防した方が本人のためにも社会のためにも良いはずだ」

そう考えた日野原氏は1973年に「財団法人ライフ・プランニング・センター」を立ち上げ、予防医療の普及に半生を捧げた。最初にやったのは「家庭での血圧測定」だった。

ライフ・プランニング・センターの設立にあたって、資金を提供したのは財団法人日本船舶振興会(現日本財団)の笹川良一会長(1899-1995、当時)だった。

笹川氏は自らの主治医でもあった日野原氏の思想に共鳴し、センターの活動資金として日本船舶振興会から3億6000万円を拠出、さらに東京・港区にある笹川記念館の11階フロアを権利金・敷金なしの破格の家賃で貸した。

毀誉褒貶の激しい笹川氏から支援を受けることについて、周囲は反対したが、日野原氏は「世のため人のためにお金を使おうとしている今の笹川氏は立派な人だ」と話し、堂々と金を受け取った。理想を実現するためには、現実と向き合う。そんなプラグマティズム(実用主義)が氏の真骨頂だった。』

ちょうど読んでいる坂本竜馬のような現実主義だ。

75歳を「新老人」または「シニア」と呼び、74歳までは「ジュニア」だと語った。常に三年先まで講演のスケジュールが埋まっていたという。

60歳はまだまだこれから。長生きする気はないけれど、好奇心を失わず、前向きに生きていくことはぜひ心がけていきたいと改めて思った。

コメントを残す