氷砂糖

朝起きて、頭に一つの疑問が湧いてきた。

「氷砂糖って、どうやって作るのだろう?」

唐突な疑問だった。生まれて60年、そんなことを考えたことはなかった。

大連のスーパーマーケットで見た氷砂糖の山が、無意識のうちに心に残り、唐突な疑問となって再浮上したのだと思う。

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中国の氷砂糖「冰糖」は日本の物に比べはるかに大きな結晶だった。

500gで6.90元(約120円)。

白い氷砂糖とブラウンシュガーのような茶色の2種類があった。

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氷砂糖は子供の頃よく食べていた。まだお菓子が少ない時代だったので、氷砂糖は美味しいものとして記憶されている。でも、もう長い間口にしていない。記憶の底に沈んだ遠い昔の美味しい記憶だ。

ベットから起き上がってパソコンに向かい、「氷砂糖の作り方」を調べてみた。

ウィキペディアによると、その製法はこうだ。

 

糖液

まずグラニュー糖あるいは白ザラメを水に溶かして蔗糖の水溶液を作る。

これをブリックス70度まで濃縮する。濃縮時には熱によるカラメル化を防ぐため、温度は40℃程度にとどめて減圧して低温沸騰させる。

再結晶

糖液に種結晶である種糖を加え、再結晶させる。このときの工程により、結晶の形と大きさが変わる。

ロック氷糖
糖液を浅い容器に張り、種糖を入れる。これを40–70°Cの温度に保たれた結晶室に静置して、約2週間かけて結晶を成長させる。
クリスタル氷糖
種糖を円筒形のカゴに入れ、50°Cに保たれた糖液中でゆっくりと回転させる。結晶が成長したら一部を取り分けて新しいカゴに移し、さらに成長させる。4日間程度、結晶が1.5–2cmの大きさになるまでこの工程を繰り返す。

後工程

結晶が充分大きくなったら遠心分離機にかけて結晶のみにし(これを分蜜(ぶんみつ)という)、風乾させて仕上げる。

 

「減圧して低温沸騰」がポイントのようだ。少し高温にすると茶色の氷砂糖ができるのだろうか?

なんだか一つ賢くなったような気がする。

ついでに、金平糖についてもその製法を調べてみた。ウィキペディアによると・・・

 

  1. 氷砂糖に水を加えて煮詰め、蜜をつくる。
  2. 回転鍋(その形から銅鑼と呼ばれる)を熱しながら、金平糖の核となるケシ粒(現在はザラメ糖が用いられることが多い)を入れる。
  3. ケシ粒に熱い蜜を少量ずつかけ、回転させながら目的の大きさと凹凸状の突起ができあがるまで、1週間から2週間以上の時間をかけて粒をゆっくり成長させていく。

この特徴的な突起がなぜ、またいくつ形成されるのかについてはまだ定説がないが、蔵本・シバシンスキー式(Kuramoto‐Sivashinsky Equation) によって定式化が試みられている。東京帝国大理科大学教授の寺田寅彦が「金平糖の角の研究」を行った

 

「金平糖の突起がなぜできるのか?」この問いに答えが出ていないというのも面白い。

こんなことを調べるのに、時間を使うようになったこと自体、私の心がすでに半ば隠居生活に入っている証拠だろう。

インターネットができたことで、疑問に思ったことをすぐに知ることができる。

来たる隠居生活の密かな楽しみである。

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