<きちたび>トランプさんのおかげで、キューバ旅行の手配が面倒臭くなっていた

いつもながらに気が早い話だが、来年の夏休みの旅行を予約した。

来年はアメリカ大統領選挙の年。トランプさんが再選されるかどうか、とても気になるところなので、久しぶりにアメリカに行ってみることにした。

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目的地は、首都ワシントン。

私にとって初めてのワシントン。せっかくなので、トランプさんが暮らすホワイトハウスの近くに宿を予約した。

ANAカードのマイルが少し溜まっていたので、それを使ってワシントン往復の航空券をゲット。東京オリンピックの時期は外して、8月末から9月初めにかけて夏休みを取ることに決めた。

どうせアメリカに行くなら、行きたいところはたくさんある。

学生時代に3ヶ月ほど滞在したロサンゼルスにも行ってみたいし、シリコンバレーにも行った事がないので一度行きたいと思っている。

トランプさん絡みでいうと、メキシコとの国境地帯にも興味があるし、トランプさんの岩盤支持層であるキリスト教福音派の人々が多く住む「ディープサウス」と呼ばれる白人エリア、中でもノアの方舟の博物館にも行ってみたい。

また、トランプさんの別荘があるフロリダの「マー・ア・ラゴ」行きも検討してみた。

南部に行くなら、ヒューストンやケープカナベラルといった宇宙関連の施設も候補地だろう。

いろいろ迷ったが、結局今回はアメリカはワシントンだけで我慢することにした。

理由は、ここ数年、私の夏休みのテーマである「行ったことのない国に行く」、そして「訪問国100カ国を達成する」ことを優先しようと思ったからだ。

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そこで次に調べ始めたのは、私にとってのフロンティアであるカリブ海諸国への旅だ。

早速図書館で「地球の歩き方 キューバ&カリブの島々」という本を借りてきて研究する。

わかったことは、ヨーロッパの旅行にようにカリブ諸国間の航空路線が整備されていないということだった。

アメリカ各都市やヨーロッパとカリブの島々を結ぶ便はかなりあるのだが、カリブの島々を周遊するような航空路線は残念ながらないのだ。

昔の宗主国と結ばれたアフリカ諸国の航空路線のあり様と似て、カリブ諸国にも植民地時代の名残が今なお色濃く残っていることを感じる。

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そこで一度にたくさんの国を訪れることは諦め、一番行きたかったキューバを軸に計画を練ることに・・・。

すると、トランプさんの政策が私の前に突如立ちはだかった。

トランプさんが大統領に就任した2017年、世界を驚かす様々な方針を次々に打ち出したので、日本ではあまり大きく報道されなかったが、キューバについても大きな方針転換を発表していた。

前任のオバマ大統領が進めたキューバとの関係改善を根底からひっくり返して、2017年11月、アメリカ政府はキューバ制裁強化の新規則を発表した。

その年の6月にトランプさんが大統領覚書として示した制裁方針を具体化したもので、「教育関連活動・人的交流」の渡航区分によるキューバへの個人渡航などが禁止された。この規制によって、アメリカ発、アメリカ経由でのキューバへの個人旅行はほぼ不可能となったのだという。

現在では、カナダかメキシコ経由でキューバに渡るのが一般的だそうだ。ただワシントンからわざわざ遠回りするのは、日程が限られた夏休みの旅行としては厳しい。

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そこで他のカリブ諸国経由のルートを探してみた。

その結果、バハマかドミニカ経由のルートが見つかり、最終的にワシントンからバハマを経由してキューバの首都ハバナを往復するルートに決めた。

ワシントンからバハマの首都ナッソーまでは、アメリカン航空便を予約。直行便はなく、ノースカロライナ州シャーロットという街で飛行機を乗り継ぎ、バハマに入る。

シャーロットという街の名前はこれまで聞いたこともなかったが、バンク・オブ・アメリカの本社が置かれるニューヨークに次ぐ全米第二の金融都市であり、人口でもノースカロライナ州最大で全米でも17位という大都市だと知った。

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そして、国際的な福音主義の伝道師ビリー・グラハム師の生まれ故郷でもある。「アメリカの伝道師」と呼ばれるビリー・グラハム師は、現代アメリカで最も著名な福音派伝道師であり、歴代大統領の霊的助言者でもあったが、2018年2月、99歳で亡くなった。彼が作った「ビリー・グラハム福音協会」の本部も、故郷のシャーロットに置かれているそうだ。

時間があれば、シャーロットの街も歩いてみたいものだが、残念ながら今回はその余裕はない。

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さて、カリブの話に戻ろう。

まず最初に到着するバハマは、私にとって91番目の訪問国になる予定だ。

フロリダ半島の東に浮かぶ723の島々と2500近い岩礁からなるこの島国は、コロンブスが最初に到着した「新大陸」でもある。

スペインの支配下で原住民が全滅し、アフリカから奴隷として連れてこられた人々の子孫が島の住民の大半を占める。

スペインの後、イギリスの植民地となり、今も英連邦の一員だ。でも実際にはアメリカの一部と言っていいほど、アメリカに一番近いリゾートアイランドとしてカリブ海クルーズのメッカとなっている。

タックスヘイブンでもあり、カリブ海諸国が現代の世界の中でどのような立ち位置にあるのかを知るには、訪れる価値のある国だと思える。

少し資料に目を通しただけで、知らないことだらけであり、私の頭の中でカリブ海がいかに空白地帯であったかを思い知らされた気分であった。

カリブ海を知ることは、大航海時代以降のヨーロッパ中心の世界の成り立ちを理解する上で欠かせない。そして、このエリアでは今も植民地主義は生き残り、国連など国際政治の舞台ではわずかな人口しかないこうした島国が大国の思惑に従って一票を行使している現実も見えてくるのだ。

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そして、今回の旅行で、アメリカと対比する意味で絶対に行きたいと思ったのがキューバだ。

英雄チェ・ゲバラが活躍した革命の国。その後カストロによる長期独裁政権が続き、アメリカとの敵対関係の中で厳しい経済制裁がこの国独特の景観と文化を生んだ。

大昔のクラシックカーが今も走るハバナの街。テレビではよく紹介され、私の周囲にもキューバ大好き人間が何人かいる。

超大国アメリカの敵になることは何を意味するのか?

この国の歴史を調べながら、わずか2泊3日ではあるが自分の目で見てこようと思う。

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同時に、ハバナといえばヘミングウェイである。

生涯キューバを愛し、この地で「老人と海」を書いたこの大作家の作品にもこの機会に接してみたいと思っている。

60代となった今だからこそ、ヘミングウェイを理解できるかもと思うのだ。

そんなことを考えながら、航空券とホテルの予約を試みる。

しかし、やはり「アメリカの敵」であるキューバへの渡航は、他の国とは少し違うことがすぐにわかった。

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まずは基本的なことから・・・。

アメリカ国民はキューバに観光旅行することはできないが、ありがたいことに私たち日本人はキューバへの観光旅行が認められている。

ただし、「ツーリストカード」というものを取得する必要がある。ツーリストカードはキューバ大使館の領事部に申請する。申請書はインターネットからダウンロードすることができる。それに必要事項を記入して顔写真を添付し、パスポートおよびパスポートのコピーを添えて、窓口に提出する。代行業者に依頼する方法もあるそうだ。

ツーリストカードには有効期限はないが、1回の入国のみ有効で、入国のたびに申請しなければならないらしい。

このほか、キューバ入国に際しては、海外旅行保険への加入が義務付けられ、英文の契約証明書を持参しなければいけないそうだ。やばい、忘れそうだ。覚えておかなければ・・・。

私のパスポートは来年切れるので、正月の旅行から帰ったらパスポートを取り直し、忘れないうちにキューバのツーリストカードを申請しようと思う。

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また、キューバの通貨も面白い。

キューバでは主に外国人が使う兌換ペソ(CUC)と、主として国民が使う人民ペソ(CUP)があるという。CUCは基本的に米ドルに連動し、1CUC=25CUPほどの貨幣価値の違いがあるらしいので、同じペソとは言っても大変な違いだ。

かつて私が現役記者として海外を取材した頃には、アジアにもヨーロッパにもアフリカにも社会主義国がたくさんあり、そうした社会主義国では多かれ少なかれこの手の二重経済が存在した。

キューバの通貨のことを知り、今もまだあの時代の社会主義が生きているのかと、ちょっと感慨深い気持ちにもなった。

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さて、キューバ行きの飛行機を予約する。

いつものように「スカイスキャナー」という検索サービスを利用して、ワシントンからハバナへ行く航空券を検索してみた。

するとまず、アメリカン航空の便がヒットした。マイアミ経由で4万円弱で往復できる。片道5−6時間だ。

「これはいい」と思い、早速アメリカン航空のサイトから予約しようとすると、変な画面が出てきた。

『米国政府の規制により、アメリカン航空便でのキューバへの渡航は、以下の12のカテゴリーいずれかの目的に限り可能です。』

示されたカテゴリーの中に「観光」という項目はない。

ここで初めて、冒頭に書いたようなトランプ政権の規制強化を知ったわけだ。

嘘をついて飛行機を予約しても空港で搭乗拒否される可能性が高い。

デルタ航空やユナイテッド航空など他のアメリカの航空会社も状況は同じだった。

そこで、バハマ経由にルートを変えた。ワシントンからナッソーまでは直行便はないものの毎日多くの便が飛んでいてすぐに航空券を予約できる。しかし、ナッソーからハバナへの便は、週3便しか飛んでいない。しかも、ワシントンを朝出て、ナッソーで乗り継いでその日のうちにハバナに到着できる便は見つからなかった。

仕方なく、ナッソーで行きも帰りも泊まることになった。

ナッソーとハバナの間を飛んでいるのはバハマ航空のみ。これまた仕方なく、バハマ航空の英語のサイトから予約を試みる。超早期の予約なので、まだ席はガラガラで順調に予約は進み、クレジットカードで決済する画面でトラブルが起きた。

クレジットカードの番号と名前を入力した後、カードの有効期限とPINコードを入力しようとするとシステムに不具合があるようで、何度やってもうまくいかない。何度も何度も入力を試みているうちに不安になってきた。

これって、ネット詐欺のサイトではないのか?

心配になって一旦予約を取りやめたりした。

数日経ってから再度バハマ航空のサイトにトライ。また同じ箇所で引っかかったが、何度かやるうちにコツがつかめなんとか入力が終了。無事に予約ができた。

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今度はホテルの予約。飛行機の都合でキューバは2泊3日だ。

いつものように「Booking.com」のサイトで宿を探し、旧市街のホテルを予約しようとした時、再び例の警告が出てきた。

渡航目的と確認する画面で12項目に該当する旅行であることを確認するよう求められる。「観光」というのは渡航目的の中に入っていない。

「Booking.com」は最初はオランダの会社だったが今はアメリカの会社になっているからダメかもしれない。

予約を諦めかけて、念の為ネットで調べてみると、他の旅行者もホテル予約の際に私と同じ壁にぶつかっていることがわかった。

「12の項目の中から適当なものを選びホテルを予約してキューバへ旅行したが特に問題はなかった」

そんな書き込みがいくつも見つかった。こうした渡航目的確認はアメリカ人向けであり、観光旅行が認められている日本人はあまり気にしなくてもいいというのがネットの結論のようだ。

そこで私も当たり障りのなさそうな渡航理由を選び、予約を進めると無事に予約ができたようだ。

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ワシントンとバハマでの宿も予約し、来年夏の旅行の手配はひとまず終了した。

ワシントンからナッソー、ナッソーからハバナを往復し、再びナッソーからワシントンに戻り帰国するあまり効率の良くないルートになったが仕方がない。

でも、知らない国への旅行を計画すると、その準備段階から楽しめる。

トランプ大統領の再選がどうなるか盛り上がるであろうアメリカと、超大国の裏庭カリブ海。

今から楽しみでワクワクしてきた。

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