<吉祥寺残日録>蕎麦も危ない?!台湾産パイナップル禁輸で危惧される恐怖の近未来 #210307

昨日目にした日本経済新聞の記事に、かなりの衝撃を受けた。

『値上がりするそば ロシアと中国が揺さぶる伝統の食』

そば粉の原料となる中国産のソバが高騰しているという記事なのだが、私が衝撃を受けたのは、日本人が食べている蕎麦の原料はほとんど中国からの輸入だという事実である。

そんなことは全く知らずに、「日本」を感じながら蕎麦を食べていた。

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コロナ禍でずっとテイクアウト生活が続いているが、その一番のストレスといえば、美味い蕎麦が食えないことだ。

生蕎麦をテイクアウトできる一流店は見当たらず、そもそも「せいろ」を持ち帰ろうともあまり思わない。

確かに、昔から蕎麦屋の出前というのは定番だったが、私がよく行く蕎麦屋はそういうことはやっていないようだ。

問題の記事には衝撃の数字が紹介されていたので、その部分を引用したいと思う。

ソバは世界生産の7割超をロシアと中国が占め、日本のそば産業は両国の動向に振り回される歴史が続いている。

「中国産以外もあるので夏ごろまでは大丈夫だが、いずれは販売価格への転嫁を考えざるを得ない」。首都圏を中心にセルフ式そば店「ゆで太郎」を運営するゆで太郎システム(東京・品川)の担当者は話す。かけそば340円と手ごろな価格が売りだが、そば製粉大手各社が、中国産原料を使ったそば粉をこの春から2~3割前後値上げする方針を決めたためだ。

中国産玄ソバ(殻付きの実)の東京・問屋間価格は足元で45キロ(1俵)7400円前後。記録を遡れる1997年以来、最高値だ。中国からの輸入量は貿易統計を遡れる1988年以降で最少になった。そばは日本の生活を彩る伝統的な食の一つだが、原料の自給率は2割前後にとどまる。国産ソバの使用は高級な手打ちそば店などに限られ、安価な立ち食いそば店や小売り用の乾麺、カップそばなどは中国産をはじめとした輸入品を使っていることが多い。国産でほぼ全ての需要がまかなわれるコメや、北米からの輸入が大半の小麦や大豆などに比べると、圧倒的に中国依存度が高い。

引用:日本経済新聞

値上げだけならまだいいが、レアアースのようにある日突然、「輸出禁止」という事態も頭の片隅をよぎる。

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そもそもなんで中国で、ソバを作っているのだろう?

中国人が食べる麺はほとんど小麦か米からできていて、山岳地帯などを除いてあまりソバを食べる習慣はない。

ただ、ソバの栽培は効率が悪いので、日本国内では北海道ぐらいしか生産していないのが実情だ。

そこで、日本に輸出するために中国でソバを作っているのではないのか?

もしそうなら、中国にとってソバは、マスク同様「戦略物資」になるうるものかもしれない。

ちなみに、最大の生産国ロシアの人たちは昔からソバを食べていることも知った。

「カーシャ」というスラブ風のお粥には、ソバが一番適しているのだそうだ。

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中国政府の思惑一つで、日本人のソウルフードである蕎麦が食べられない日が来る・・・それが私の感じた恐怖だった。

その中国では今週、国会にあたる「全人代」が始まったが、その直前、台湾からのパイナップル輸入を全面禁止にしたと突然の発表がなされた。

例年輸出の9割が中国向けという台湾パイナップル、収穫期直前の決定は文字通り大打撃である。

台湾の統一を明言している中国政府が政治的な理由で台湾に揺さぶりをかけたとの見方が強いが、台湾の蔡英文政権はこの措置に対抗して、急遽新たな輸出先探しに躍起になっているという。

その有力な輸出先が日本なのだ。

このニュースで知って、私も台湾産パイナップルを買おうと思った。

中国の露骨な圧力で将来の不安を感じているであろう台湾の人たちに、ささやかながら連帯の気持ちを表すためだ。

果物を扱っている吉祥寺市内のスーパーや八百屋を順番に見て回る。

土曜日の夕方、どこも買い物客で溢れかえっていた。

緊急事態宣言が延長されたことなど、まったくお構いなしだ。

どこの店もパイナップルはほとんど扱っておらず、わずかに置いてあってもフィリピン産ばかりだ。

パイナップル業界は、アメリカ資本のデルモンテやドールに市場を独占され、台湾産パイナップルが入り込むのは難しいのだろう。

諦めかけて、最後に立ち寄ったのが、サンロードのはずれにある妻愛用の八百屋さん『野方青果 吉祥寺本店』。

価格が安いので、いつものように賑わう買い物客の間から、パイナップルが見えた。

『樹熟パイン』(298円)。

タグの端っこに、小さく「台湾」の文字が書いてあるではないか。

隣で売られているキウイと比べると大きさがわかるように、パイナップル丸ごと1個とは言ってもサイズは小さく、我が家にピッタリだ。

そんなこんなで、衝動的に我が家にやって来ることになった「台湾パイナップル」。

さて、いつ食べようかと思案しているところに電話がかかり、三男夫婦が久しぶりに我が家に来るという。

ちょうどいい、その時にこのパイナップルを切って食べよう。

「甘くて芯まで食べられます」と書いてあったので、おそらくもう食べ頃なのだろう。

『がんばれ!台湾』

私は決して反中主義者ではないつもりだが、香港やミャンマーの抗議行動を見ていると、どうしても弱い立場の人たちを応援したくなる。

日経新聞には、こんな気になる記事も載っていた。

『中台結ぶ2035鉄道計画、習近平氏が仕掛ける心理戦』

現在開かれている全人代に合わせて、中国が2035年までの超長期計画を立案しているという記事なのだが、その中に台湾にとって重大なプロジェクトが書き込まれているという。

その2035計画に対台湾政策と絡む驚きのプロジェクトが含まれていることが明らかになった。北京から台湾の台北まで直接つなぐ高速鉄道や高速道路の整備計画である。共産党中央と国務院(政府)が発表した「国家総合立体交通網計画綱要」に明記された交通網も台湾海峡を越えて台北まで達している。

引用:日本経済新聞

香港を強引に飲み込む前に高速鉄道の駅を作ったように、鉄道や道路という交通インフラは、中国の支配権と確立する手段にほかならない。

これに対して、アメリカは、沖縄からフィリピンを結ぶ第1列島線に沿って米軍の対中ミサイル網を築く計画を立案した。

台湾をめぐる米中の駆け引きは徐々に軍事衝突の危険を孕むレベルにエスカレートし始めていて、そうなれば日本も態度を明確化することを求められるだろう。

いずれ、G7諸国が揃って台湾政府を承認し、中国との対立が決定的になる局面が将来来そうな気がしてならない。

コロナ対策での「成功」を武器に国内世論を味方につけ、ますます超大国としての横暴な振る舞いが目立ち始めた中国。

米中対立がさらに進めば、中国政府がある日突然輸入を禁止したり、輸出をストップする可能性も高まるだろう。

そうした『強すぎる中国』に、日本はどう対応するのか?

ソバが突然日本から消える・・・?!

そんな日が来ないことを願うばかりだ。

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