米中合意第一段階

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自称「ディールの達人」トランプ大統領が仕掛けた中国に対する貿易戦争。

とりあえず「第一段階」となる合意が成立し、調印式が行われた。

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気になるのはその中身だ。

日経新聞の記事を引用しておく。

米通商代表部(USTR)は約90ページの合意文書を公表し、中国による金融サービス市場の開放や人民元安誘導の自制――など7項目の詳細を開示した。両国が貿易拡大や市場開放などで合意文書にとりまとめるのは、18年7月に関税合戦が勃発して以降で初めてだ。

合意の柱は米中貿易の大幅拡大だ。中国は米国からモノとサービスの輸入を2年で2000億ドル増やす。今回明らかになった輸入拡大規模の内訳は、工業品が777億ドル、液化天然ガス(LNG)などエネルギーが524億ドル、農畜産品が320億ドル。米国のモノ・サービスの対中輸出額は1863億ドル(17年)で供給量は1.5倍となる。

合意文書には知的財産権の保護も盛り込み「中国は企業秘密や商標などで権利保護を強化する」とした。中国に進出する米企業は、同国側に求められる技術移転を嫌ってきたが、合意文書には「当局による外国企業への技術移転の強要を禁止する」とも明記した。

米国側は「第1段階の合意」を受けて、2月中旬をメドに、19年9月に発動した制裁関税第4弾(1200億ドル分)の関税率を15%から7.5%に引き下げる。発動済みの制裁関税を緩和するのは初めてで、過熱し続けた貿易戦争がようやく休戦に向かう。

もっとも、今回の文書には、合意内容を履行しているか監視する制度を盛り込み「実行できていなければ適切な対抗措置を執る」とも盛り込んだ。両国高官は定期協議を月1回開き、USTR代表と中国副首相も定期的に会談する。米政府高官は「中国が合意内容を守らなければ、制裁関税を再発動する」と明言しており、関税合戦は再発のリスクと隣り合わせた。

中国が合意内容を実現できるかも見通しにくい。貿易戦争前の米国の対中輸出の内訳は、13%が航空機で、大豆が9%、乗用車が8%と続く。中国は景気減速で内需が弱含んでおり、供給量を大幅には増やせない。「管理貿易」で米国産を優先すれば、日本などほかの貿易相手国のシェアを抑える必要も出てくる。

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問題は、中国がこの合意をどこまで履行するかだ。

中国が恐れるのは世界中でアメリカだけだとすると、中曽根政権の時の日本のように一生懸命アメリカからの輸入を増やそうとするかもしれない。

そうなればトランプさんは鼻高々だが、日本企業にとってはマイナスの影響も懸念される。

さらに、したたかな中国が額面通りに合意に従うとも考えにくい。どこかに抜け穴があって、またぞろアメリカの怒りに火をつけるかもしれない。

本音としては、のらりくらりと攻撃をかわしながら時間を稼ぎ、その間にアメリカを凌ぐ力をつけるというのが習近平さんの戦略だろう。

任期が決まっているアメリカ大統領と違って、習近平さんには任期がない。時間を味方につければ、活路は開ける。中国4000年の知恵である。

とりあえず、秋の米大統領選が終わるまで、このままこう着状態が続くとの見方が強い。

低金利と借金で膨れ上がっている世界経済がどこでピークアウトするのか?

今は比較的平和に過ごせている世界の指導者たちの真価が問われるのは、経済が下降し始める局面である。

それはそう遠くない気がして仕方がないのだが・・・。

1件のコメント 追加

  1. dalichoko より:

    劉鶴さんの方が上前はねてますね、きっと。

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