<吉祥寺残日録>トイレの歳時記❄️七十二候の「芹乃栄(せりすなわちさかう)」に中国と香港について考える #210106

海外旅行に行けなくなったせいで、今年の我が家のトイレには歳時記のカレンダーがぶら下がることになった。

昨日5日は「小寒」、そして今日6日の欄には「芹乃栄」と書いてある。

小寒のような二十四節気はテレビなどでも時々耳にするが、七十二候と呼ばれる季節の呼び名についてはまったくというほどこれまで意識することなく暮らしてきた。

「芹乃栄」と書いて、「せりすなわちさかう」と読む。

文字通り、セリが盛んに茂る頃という意味らしい。

ここで私は考えた。

私は「セリ」というものについて何の知識も持っていないので、今年は一つずつ調べて書き残してみよう。

ということで「トイレの歳時記」というタイトルを付けてみた。

「芹(セリ)」について調べてみると、日本原産で「春の七草」の一つと書いてある。

七草粥に入れることは知っていたが、日本中どこにでも繁殖していた草だというが私には見分けがつかない。

元々は畑の畦道や水辺に自生している野草だが、宮城や茨城を中心に栽培もされているという。

たまたまYouTubeで芹の収穫の映像を見つけた。

こんな収穫シーン初めて見た。

60代にして、初めて知ることのいかに多いことか・・・。

中国でも芹は薬膳などで用いられ、次のような効能があるそうだ。

■身体の余熱を取る
■血圧を下げる
■胃を丈夫にする
■利尿作用
■血液を浄化する
■生理を調整する

昔の人は、野に生える草を片っ端から食べて、有用な草と無用な草を見分けるようになったのだろう。

西洋でも「ハーブ」として有用な草をより分ける文化がある。

芹に似ているセロリは、中国では「洋芹」と呼ぶそうだで、芹の仲間は世界中で地味に利用されているらしい。

ちなみに、夏になるとこんな白い花を咲かせる。

いかにも道端で咲いていそうな花である。

コロナが収まって畑仕事ができるようになったら、少し注意して探してみよう。

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さて、ここから話は中国に飛ぶ。

二十四節気や七十二候を編み出した中国だが、この正月、中国から流れてくるニュースはどれも気を重くさせるものだった。

香港では6日、民主派の前立法会議員ら少なくとも52人が、香港国家安全維持法違反(国家政権転覆罪)の疑いで逮捕されたという。

数日前には、民主化運動のシンボル周庭さんが重罪犯を収容する大欖女子懲教所(刑務所)に移送されたというニュースも伝えられた。

欧米諸国がコロナ対策に追われているタイミングを見計らって、香港問題を最終的に解決する、すなわち不穏分子を一掃する決断をしたようだ。

残念ながら私が2年前から心配した通りの展開となった。

天安門事件のリーダーたちが逮捕されるか国外逃亡したように、香港の民主化運動も完全に弾圧され、中国国内ではタブーとされ歴史から消え去られてしまうのだ。

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香港だけではない。

中国国内でも、アリババグループの創始者ジャック・マー氏がここ2カ月ほど公の場に姿を現しておらず、ソーシャルメディア上でその行方を巡り憶測が広がっているとロイターが伝えた。

中国巨大IT企業のトップを走っていたアリババに対しては、中国政府の規制制度を批判したことをきっかけに中国国内で逆風が強まり、傘下の金融会社アント・グループの史上最大規模と言われた新規株式公開が延期されたほか、独禁法違反の疑いで中国当局がアリババの調査を開始したというニュースも流れたばかりだ。

今回のコロナ対策を通じて、中国国内ではより一層、習近平独裁体制が強化されつつある。

コロナウィルスの起源を探るためのWHO調査団の中国入りが5日にも予定されていたが、中国政府からの許可がまだ出ず難航しているという。

習近平さんは新年のあいさつの中で、このように述べた。

『2021年は中国共産党建党100周年に当たる年。我々は人民を中心に、初心をとこしえに保ち、使命を胸に刻み、風に乗り波を越えて、帆を上げて遠方を目指すことを堅持すれば、中華民族の偉大なる復興を必ずや実現させることができるだろう。』

習近平さんが一貫して目指しているのは「中華民族の偉大なる復興」。

その意味ではアヘン戦争に負けて香港を割譲したことは、長い中国の歴史の中でも屈辱の時代の始まりだった。

その香港からイギリスの影響を排除することは、「中華民族の偉大なる復興」にとって避けては通れない道なのかもしれない。

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イギリス政府は、1月31日から香港国家安全維持法への抗議として、香港市民向けの英国市民権取得につながる特別ビザ(査証)の申請受付を開始すると発表した。

今後5年の間に約26万~32万人の香港市民がイギリスに移住する可能性があるという。

1998年の香港返還の時も多くの人が海外に逃れたが、いよいよ「イギリスの香港」は地図上から消え去ろうとしている。

植民地時代の終わりといえばそれまでだが、香港の次は台湾。

コロナ後の中国の行方から目から離せない一年となりそうだ。

中国共産党創建100周年の記念日は7月23日である。

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