中国の性

先週の話を忘れないうちに書く。

あるテレビ番組賞の審査をすることになった。候補作8本の中にとても面白い番組があった。

新人賞候補作品「風花雪月〜ボクが見た祖国・性の解放〜」。

日本在住の中国人ディレクター、関強さんの作品だ。フジテレビのNONFIXで放送されたらしい。

関さんは日本在住7年で、日本の番組制作会社でディレクターをしているらしい。日中関係がギクシャクする中、彼は「日本人が知らない中国の今」を映像化するため祖国へと渡った。

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そして今回、彼が追いかけたテーマが「中国の性事情」だ。

番組冒頭、中国で開かれる「性」の見本市が紹介される。映し出されるのは大人のおもちゃ。日本よりはるかにオープンな雰囲気だ。

ナレーションによると、3日間で80万人(正確には忘れた)がこの見本市を訪れるという。長く抑圧されていた反動か、今「大人のおもちゃ」を扱う店は北京だけで5000軒以上あるらしい。

カメラは、中国内陸部で大人のおもちゃ屋を経営する若い女性店主に密着する。彼女は独身だが何の恥じらいもない。セックスがあまりに開けっぴろげに語られる。

番組はさらに「性解放のシンボル」として売り出し中の人気の美女軍団にも密着。各地を回るセクシーイベントの様子やナンバーワンダンサーの実家まで取材している。

まだ10代だという人気ダンサーは、インターネットのライブ中継を使って中国全土に多くのファンを持つ。そしてファンから金を稼ぎ、流行の先端のファッションに身を包む。しかし、実は貧しい農村の出身で、父親と幼い弟の生活を支えていた。

カメラは彼女の里帰りに同行する。実家は土間だけの小さな貧しい家。中国でも、田舎に生まれた少女が大金を稼ぐにはこの業界しかない。

「ネットには私を攻撃する書き込みばかり。女の子は誰もこんなことはしたくない。でも何の才能もない自分にはこれしか稼ぐ方法はない」と彼女は話した。

目覚ましい経済発展が伝えられる中国の、これも一つの現実だ。

ダンサーは、同じ村に住む幼なじみの親友を訪ねる。あまりに変貌した彼女に友人は気づかない。おしゃれなファッションに身を包んだ都会の少女と、赤ん坊をすでに産んだ田舎の少女。その2ショットはまさに今の中国を象徴する光景なのだろう。

番組を見ながら、かつて1980年代、バンコク支局時代に私自身が取材した東南アジアの状況に似ていると思った。アジアの各地で同じような少女に会い、同じような話を聞いた。

しかし、中国での取材は簡単ではない。こういう私たちがまったく知らない世界を見せてくれるメディア、それがテレビだ。

久しぶりに心底面白い番組を見せてもらった。

関強ディレクターに会ってみたい。一緒に仕事をしてみたいと思った。

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