トランプ考③

このところのニュースといえば、フランス大統領選挙、北朝鮮問題、そして復興大臣の失言辞任や政務官の女性スキャンダルなど。どれも私には響いてこない。

北朝鮮問題については、連日メディアが大騒ぎで危機を煽ったため、ミサイルが飛んで来た時にいかに身を守るかを真面目に心配する人たちも現れた。

北朝鮮が軍記念日に大規模砲撃演習、米原潜は釜山入港

北朝鮮が本当にミサイル攻撃したら、今の体制はおしまいだ。確かに日本にミサイルが着弾する可能性はゼロではないが、通常兵器によるソウルの被害と比べたら比較にならない程度の被害だろう。

北朝鮮に先制攻撃を仕掛ける場合、リスクとして検討されるのは日本ではなく、韓国の被害だ。ソウルが無傷ということはありえない。北朝鮮がおこなった大規模演習はそれをアピールするためのデモンストレーションだ。メディアもミサイルと核実験の話ばかりせず、通常兵器や特殊部隊によるより現実的なリスクを解説するべきだろう。

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ミサイルによる被害は巨大地震のリスク比べれば限定的だと私は考えている。日本人は、必要以上に心配しても仕方がない。ミサイルを心配するなら、地震対策に時間とお金をかけた方が良い。

ただ北朝鮮問題でも、一番予想がつかないのがトランプ大統領だ。

北朝鮮が唐突に先制攻撃してくることはないと私は考えている。一方、韓国での被害を完全に防ぐ手立てがないため、アメリカから先制攻撃するというオプションも常識では取れない。だから歴代のアメリカ政権も手を出さなかったのだ。

しかし、トランプの思考回路はもっと単純なのではないかと危惧する。「アメリカが攻撃されるリスクがある。だから攻撃する」まさにアメリカファーストだ。韓国の被害への想像力が働くだろうか。それが判断に影響するだろうか。よくわからない。

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日本ではあまり報道されていないが、トランプ政権は今、カナダに喧嘩を売っている。カナダ産の針葉樹材に平均20%の相殺関税をかけることを決めたのだ。アメリカは木材分野でカナダに50億ドルの貿易赤字を抱えている。不法に補助金を投入されたカナダの木材がアメリカの産業にダメージを与えていると主張しているのだ。

カナダはWTOに提訴すると言っている。トランプ大統領が公約に掲げていた北米自由協定(NAFTA)見直し交渉を進展させるため、カナダに圧力をかけることが真の狙いだとも言われている。

カナダの姿は、明日の日本かもしれない。

政権発足から100日が経ち、政策のほころびが次々に露呈している。大統領令の乱発だけでは政治は前に進まないことがトランプ大統領にもわかってきたはずだ。苛立つ大統領がどんな行動に出るのか。誰にも予測がつかない。

しかしテレビニュースを見た娘の進言で、シリアにトマホークミサイルを撃ったと言われる大統領だ。何がきっかけとなり、どんな行動が飛び出すのか。フランスや北朝鮮の指導者ではなく、やはりトランプ大統領が世界の鍵を握っている。

 

<追記>

この投稿をした数日後、28日付の「人民日報日本語版」に「朝鮮半島は中東ではない」という記事が掲載された。鍵を握る中国の考え方を知る上で、一部引用させていただく。

『朝鮮半島情勢は非常に緊張しているが、一触即発で戦争という段階にはいたっていない。軍事行動と先制攻撃を第一選択肢にするのは、それほど容易なことではない。総合的実力では、米韓は朝鮮に対して圧倒的優勢にあるが、勝算はない。朝鮮半島「非武装地帯」の両側は世界で最も軍事化の深刻な地区の1つだろう。どのような軍事的挑発も壊滅的打撃をこうむる可能性が高い。誰が戦争を引き起こしたのであれ、ひとたび本当の戦乱が生じれば、誰も勝者にはなれない。』

『個別の突発的事態、偶発的衝突も、小さな火花が広野に燃え広がるように、朝鮮半島及び周辺地域に破滅的な結果をもたらす恐れがある。中東地域の戦乱はすでに悲惨な状況にある。もし朝鮮半島で戦争や混乱が生じれば、北東アジア地域はさらに凄惨な様相を呈する恐れがある。もちろん、こうした状況が生じる可能性は低い。中国の王毅外交部長(外相)が述べたように「戦争勃発の可能性については、1%でもだめだ。朝鮮半島は中東ではない」のだ。』

どうやら「朝鮮半島は中東ではない」と言ったのは王毅外相らしい。

これを聞いてシリアの人たちがどう思うかは別にして、中国政府は絶対に戦争は起こさせないという覚悟が伝わる。アメリカにも自制を促しながら、北朝鮮にも圧力をかけているのだろう。果たして、中国は北朝鮮をコントロールできるのか。そこが問題だ。

『朝鮮半島核問題に一挙に解決する方法はない。地域の国々はいずれも自らの安全維持を望んでおり、平和的解決は全ての関係国にとって最大公約数だ。歴史が繰り返し証明しているように、武力で問題は解決できず、対話と協議こそが問題解決の唯一の正しい道だ。』

『米国の国務長官、国防長官、国家情報長官は先日連名で声明を発表し、朝鮮に圧力を加えることを重ねて表明すると同時に、朝鮮半島の平和的方法による非核化実現を追求し、交渉による目標達成にオープンな姿勢であることを強調した。このメッセージは重視に値する。』

北朝鮮の問題になると中国はとても良識派になる。トランプ大統領も武力優先の発言をトーンダウンさせ、しばらくは中国の役割を見守る姿勢を示している。

中国は北朝鮮問題でアメリカに恩を売り、貿易問題で譲歩を引き出したい思惑も見える。

一番危険な韓国の存在感が薄いのが、気になるところだ。

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