アポロ計画

人工知能をめぐる主導権争いがいよいよ熾烈になってきた。

いち早く人工知能が実用化される可能性がある自動運転の分野で、中国が覇権を握ろうと動き出したようだ。

「百度、50社と自動運転」と題された日経新聞の興味深い記事を引用する。

『 中国インターネット検索最大手、百度(バイドゥ)は5日、自動運転の開発連合「アポロ計画」を始動したと発表した。米フォード・モーター、独ダイムラー、米エヌビディアや米インテルなど自動車やIT(情報技術)の世界の大手企業約50社が参画した。2020年までの完全自動走行をめざし、人工知能(AI)を活用した世界規模での取り組みが始まった。

「アポロは世界最強最大の自動運転開発連合となった。3~5年以内に中国は自動運転でトップに立つ」。百度が5日に北京市の国家会議センターで開いたAI開発者大会。陸奇集団総裁兼最高執行責任者(COO)が力強く宣言すると、4000人が詰めかけた会場から拍手が起こった。

同時に発表したアポロの参加企業の名簿には、フォードやダイムラーのほか、中国自動車大手がずらり。参画した自動車メーカーの販売台数を傘下の合弁まで含めると中国全体の半分程度を占める。「完成車メーカーなどは自ら望んでアポロに参画した」。自動運転のテスト車両で会場に乗り付けた李彦宏董事長兼最高経営責任者(CEO)は自信を示した。

アポロ計画の自動運転のスケジュール
2017年7月 閉鎖空間
9月 限定した道路
12月 簡単な道路
2018年12月 特定の高速道路と一般道
2019年12月 試験版
2020年12月 完全自動運転

アポロ計画は百度が「アポロ」と呼ぶAIを使って自動運転車を制御するソフトの技術情報を参画企業に公開し、それぞれが具体的な開発を進める仕組み。自動運転車を作るとなると、自動車メーカーに加え、部品メーカーの参加もカギになる。会場には独ボッシュや独コンチネンタルなどが開発した自動運転に使う部品が展示されていた。

百度は自動運転を制御するソフトをプラットフォームとして提供する役割であるため、ソフトを動かす半導体を提供する画像処理半導体(GPU)大手の米エヌビディアやインテルも参画する。

20年末の完全自動運転実現のための開発スケジュールも公表。まずテストコースでの自動運転を始め、18年末までには特定した高速道路や市街地での走行を可能にする。

百度が主導する自動運転開発連合
「アポロ計画」の主な参画企業
自動車 米フォード、独ダイムラー
第一汽車、北京汽車、長城汽車、東風汽車、奇瑞汽車、江淮汽車、長安汽車
自動車
部品
米デルファイ、独コンチネンタル、独ボッシュ、独ZF
IT 米エヌビディア、米インテル、米マイクロソフト、中興通訊、紫光展鋭

自動運転の開発では、独BMWやインテルなどの連合が21年までの自動運転車の市販をめざしており、最近は米デルファイ・オートモーティブがその陣営に加わった。日本勢ではホンダはグーグル系企業と組み、トヨタはエヌビディアなどとそれぞれ提携している。

百度の取り組みについて、陸集団総裁は「中国は世界最大の自動車市場を抱えるうえ、中国政府の支持もある」と強調した。百度は中国政府とAIの一体開発を進めており、政府の計画にもとづいてAIに関する研究所を3月に設置した。

中国政府は「自動車大国」から「自動車強国」への転換を目指しており、自動運転をその転機に位置づける。世界最大の自動車市場を背景に欧米大手企業の参画も取り付けたが、一部から「AIに加え、セキュリティーの先端技術の流出などの懸念が残る」との声も出ており、先端分野での共同開発が進むかにアポロの成否がかかる。』

グローバル企業にとって中国の自動車市場は何としても欲しいマーケットだ。だから、百度の呼びかけに応じる企業が出てくるのだろう。

日本企業は完全に蚊帳の外だ。

この「アポロ計画」が計画通り進展すると、日本企業には大きなダメージになることは間違いない。中国政府のバックアップも手厚いものになるだろう。

縮小する日本の自動車市場が日の丸自動車の力をそぎ、家電業界の二の舞にならないといいのだが・・・。

人工知能とIoTの時代には、一企業や一国に固執すると勝ち目はないのかもしれない。

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