<吉祥寺残日録>WBC2023⚾️ 宿敵韓国に大勝!大谷、ヌートバー、吉田・・・頼りになるメジャーリーガーたち #230311

今日は3.11、あの東日本大震災からもう12年が過ぎた。

被災地の復興は進み、風景は一変したと聞くが、震災前から過疎が進んでいた地域だけに活気が戻るのは容易ではない。

震災を機に福島に嫁いだ私の姪は、復興の仕事をしながら2人の子の母親となった。

落ち着いたらまた福島を訪ねてみたいと思っている。

あの日、日本中の人がテレビにかじりつき、それまで見たこともなかった恐ろしい津波の映像に圧倒された時、私は蜂の巣をつついたようなテレビ局の報道フロアで特別番組の指揮をとっていた。

一生忘れることはないであろうあの日から12年が経ち、今年の3.11、再び日本中がテレビに釘付けとなっている。

しかしテレビが映し出しているのは悲劇ではなく、史上最強と言われる侍ジャパンが宿敵・韓国を圧倒する姿だった。

9日から始まったワールド・ベースボール・クラシック。

初戦の中国戦には世界のスーパースター、大谷翔平が先発した。

開幕前のまだ調整の時期なのでまだ本調子ではなかっただろうが、最速160キロのストレートも交え、スライダーを中心に中国打線を完全に封じた。

1次ラウンドは球数制限が65球ということで4回無失点で降板したが、打たれたヒットは1本だけで5奪三振を奪う安定したピッチングだった。

打つ方でも低めの球をうまくすくい上げ、左中間フェンス直撃のタイムリー2塁打を放つなど、投打でチームの勝利に貢献した。

ただこの日の日本代表は、中国の投手陣がフォアボールを連発して何度も満塁のチャンスを迎えながらあと一本が出ない。

終盤、牧のホームランや山田のタイムリーで8−1と大差がついたが、格下相手に非常にストレスの溜まる試合だった。

そんな中で異彩を放っていたのが大谷翔平、昨日の韓国戦でも鋭いヒットを連発した。

そしてもう一人、忘れてはいけないのが日系人初の日本代表、カージナルスのヌートバー選手である。

栗山監督が発掘してきたこの若きメジャーリーガーは、母親が日本人ということで今回侍ジャパンに召集された。

いかにも栗山さんらしい話題作りだと思っていたが、これがすごい掘り出し物だったのだ。

1番センターで出場すると、先頭打者でいきなりヒットを放ち、アメリカ人らしくベース上で雄叫びをあげチームを鼓舞する。

走攻守どんな時にも全力プレーで、初戦も2戦目の韓国戦でもピッチャーの窮地を救う超ファインプレーを見せた。

子供の頃から日本代表で活躍するのが夢だったというヌートバーは、人懐っこい明るい性格で、たちまち日本人の心を掴んだ。

彼が打席に立つと、球場全体が「ヌ〜!」という大歓声に包まれる。

この大会で一気にアイドル的な人気を博することになったスター誕生である。

そして迎えた昨日の韓国戦。

先発は日本の大黒柱ダルビッシュである。

日本が優勝した2009年WBCのエースとして韓国との決勝に登板し、胴上げ投手ともなった。

そんなWBC優勝を知る唯一のレジェンドは、召集されたメジャーリーガーの中でただ一人キャンプ初日から合流し、若い日本代表にさまざまなアドバイスをしてきた。

その分、一度も実戦のマウンドを踏まないまま韓国戦に先発することになり、3回韓国打線に捕まった。

8番キャッチャー梁義智に2ランホームランを喫すると、味方のエラーも重なって3点を失い、この回で降板する。

3点ビハインドの重苦しい雰囲気をその裏、侍たちが一気に吹っ飛ばす。

8番の源田、9番の中村が粘って四球で相次いで出塁すると、ヌートバーがタイムリー、さらに2番近藤が値千金のセンターオーバーの2塁打を放って1点差に迫る。

ヌートバーと大谷の間をつなぐ近藤は、出塁率日本一の名に恥じない活躍ぶりで、得意の選球眼でフォアボールで出塁し大谷の前にチャンスを演出するだけでなく、こうしてチャンスで鮮やかなタイムリーを放つ。

さらに次の打席ではソロホームランをライトスタンドに叩き込み、なんでもできる近藤の存在は侍ジャパンの大きな武器となっている。

そして昨日の韓国戦で日本のポイントゲッターとなったのが、今年からメジャーに挑戦する吉田正尚だった。

4番村上が絶不調の中で5番に座った吉田が何度もチャンスでタイムリーを放ち、この試合だけで5打点。

ダルビッシュが先制を許した3回の裏も、吉田のバットで日本が逆転し勢いに乗った。

大谷、ヌートバー、吉田という3人のメジャーリーガーの大活躍からは、「スモールベースボール」で接戦をモノにしてきたかつての日本代表にはなかった世界レベルのパワーを感じる。

それにしても今回の韓国チームはどうしてしまったのだろう?

第2回大会で日本と決勝を戦い、これまでWBCでの対戦成績は4勝4敗、「永遠のライバル」と呼ばれた韓国の強さは消え去っていた。

初戦のオーストラリア戦に敗れ、総力戦で日本に挑んできた韓国だが、10人のピッチャーを投入するもことごとく日本打線の餌食となった。

かつて韓国の投手陣に何度も苦い思いをさせられてきた日本からすれば、13−4という大差での勝利はいささか物足りないものすら感じる。

聞けば韓国は第3回、第4回のWBCでは1次ラウンドで敗退、国内リーグでも投手成績上位を外国人投手に独占されているという。

今大会、私が名も知らぬ日本の若いピッチャーたちが活躍しているのとはまさに対照的である。

そして今日3月11日。

チェコ戦の先発を任されるのは若き日本のエース、佐々木朗希である。

東日本大震災で父親と祖父母を失った佐々木がどんなピッチングを見せるのか。

山場と目された韓国戦に圧勝したことから今夜は安心してテレビを見ることができるだろう。

混戦模様の他のグループを尻目に、1次ラウンド突破をほぼ手中にした侍ジャパン。

次の関門は、大谷の先発が予想される16日の準々決勝ということになる。

イスラエル野球

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