<吉祥寺残日録>民法994条!遺言者より先に受遺者が亡くなっている場合、遺言書は無効になる #230722

投手大谷翔平がようやく8勝目を挙げた。

しかし先月、爪が割れて降板して以来ピッチャーとしての調子は今ひとつ。

今日も4本のホームランを許すも味方打線の援護でなんとか8−5で勝ち投手となった。

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両チームたくさんのホームランが乱れ飛ぶハラハラする試合を観戦中に、私のスマホが鳴った。

電話に出ると、岡山の司法書士からの電話であった。

今年3月に亡くなった伯母が2通の遺書を遺していて、伯母の実弟の不動産をめぐる遺贈の手続きをこの司法書士に依頼していた。

ようやく手続きが終わったという電話だろうと思って話を聞いていると、どうやら様子が違うようだ。

司法書士はこんな趣旨にことを言った。

「先方から戸籍が届いたのでチェックしたら、遺言で遺贈を受けることになっている受遺者が先に亡くなっていることがわかった。この場合、法律上、遺言書が無効となるため遺贈は行えない。よって、問題の不動産は法定相続人である私が相続することになる。もしも先方に不動産を譲るのであれば、遺贈ではなく贈与することになる」

遺贈とは、被相続人が遺産を受け継ぐ人を指名することで、遺言書を残すことで法定相続人以外にも遺産を相続させることが可能となる。

通常の贈与に比べて、遺贈だと税金も安くなるらしい。

当事者たちが既に亡くなっているので詳しい事情を確認することはできないが、そもそも今回の話は実弟が自己破産した際に伯母に自宅を譲渡した形にしたのがきっかけで、伯母の死後、返してもらうつもりだったようだ。

ところが、伯母よりも実弟が先に死んでしまったため、計画が狂ってしまった。

実弟の家族も詳しいことは知らされておらず、遺言書があれば自宅は遺贈してもらえると思っていたようだ。

そのため、裁判所で遺言書の検認作業をしてもらい、私たちも了解した上で司法書士に遺贈の手続きを進めてもらっていたのである。

司法書士から連絡をもらって自分でも調べてみると、民法994条に次のような条文が書かれていた。

『遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。』

これはまた面倒なことが起きた。

これまで専門家に相談する際には必ず不動産を受け継ぐ実弟が先に亡くなっていることは話していたのだが、誰もこのような法律があることを教えてくれなかった。

最初からわかっていれば、遺言の文面がわかった段階で遺贈ではなく贈与の方向で手続きを進めることができたのだ。

結果的には同じでも時間と手間が無駄になってしまった。

せっかちな妻に急かされて、すぐに先方に電話をかけてみる。

不動産を譲り受けるはずの先方は相変わらずのんびりしているので、遺贈ができないので司法書士と相談して贈与の手続きをしてほしいと伝える。

自分の家の所有権がどうなるかの瀬戸際なのに、どうしてこんなにのんびり構えていられるのだろう?

私が悪い人間ならば、「この家はすでに私に所有権があるので、出て行ってくれ」と通告されても仕方がないのだ。

まあ、それだけ私たちのことを信用してくれているとも言えるのだが、贈与する側がヤキモキするというのはやっぱりどこかおかしい。

こういうことがあると、妻はなぜか元気になる。

頭をフル回転させて、あれをしよう、これをしようと私を急き立てる。

今日事態が急変したばかりなので、先方がその状況を理解してこの先どうするか考えるのには時間がかかるだろう。

そして、どのようにしたいとこちらに伝えてくるのを待って、私たちが必要な行動をすればいい。

私はそう思うのだが、妻はそんな調子ではいつまで経っても相続手続きが終わらないと主張して譲らない。

そうこうするうちに、もしも贈与の手続きが終わらないうちに私が死んでしまうかもと心配になったらしい。

すでに私が相続することになったこの不動産だが、もしも私が死んでしまうとそれを妻と息子たちが相続することになる。

この私たちとは関係のない田舎の不動産をめぐって相続争いが起きるとは思えないが、妻は用意しなければならない書類が増えると言って私に遺言書を書くことを求めた。

私は遺言書を書いたことはない。

だから、ちょっと面白いと思って妻の提案に乗ることにした。

妻がネットで見つけてきた遺言書の雛形を使って、「贈与する予定の不動産については妻に相続させる」という趣旨の手書きの遺言書を書く。

これで贈与が完了するまでの間に私が死んだとしても、息子たちは関与せず、事情がわかっている妻が単独で相続した上で先方に贈与することができるだろう。

自分にとって全く利益にならないことで、妻ほど真面目に準備する人は滅多にいないだろうと思う。

私の妻は、世にも珍しい真面目な人で、どういうわけか煩雑な事務手続きが大好きなのだ。

今日の午後は、優勝争いが佳境を迎えた大相撲や始まったばかりの女子サッカーのワールドカップをのんびり見るつもりだったのに、横から妻がワイワイ言うのでテレビに集中できなかった。

でも、そんな妻のおかげで伯母の相続が順調に進んでいることは間違いない。

文句を言ってはバチが当たる。

とはいえ、もう少しゆっくり構えていても問題はないと私は思ってしまうのだ。

<吉祥寺残日録>岡山二拠点生活🍇 裁判所に出頭して2通の遺言書の検認手続きをしてもらった #230524

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