昨日、関東甲信地方が梅雨入りした。
九州四国よりも関東が先に梅雨入りするというのは17年ぶりの珍事らしい。

そんな豪雨の中、20年ぶりに来日したサッカーのブラジル代表と日本代表によるキリンカップが国立競技場で行われた。
結果は0−1での惜敗。
体を張った守備で、日本代表が後半30分までブラジルの猛攻を凌ぎ無失点で食らいついたので、試合は大いに盛り上がった。
ネイマールをはじめ、ブラジルの主力選手が揃った代表チームに惜しいところまで迫った戦いぶりはワールドカップに向けて自信になっただろうが、日本の攻撃陣はほとんど決定的なシーンを作り出すことができず、まだまだ世界のレベルには程遠い印象である。

さて、そんな月曜日、私が今いる岡山も一日中雨が降ったり止んだりの天気が続いた。
この日私たちのメインイベントとなったのは、認知症で入院している伯母の転院先を相談することだった。
去年8月に認知症の専門病院に入院したまますでに10ヶ月が過ぎこのままずっと入院しているのかなと思い始めた頃、病院から「系列のサ高住に空きが出た」との連絡をもらった。
突然、退院の話が浮上したのだ。
別に伯母の認知症が改善したわけではない。
一人暮らしをしていた時に比べ、1日3食きちんと食べてお風呂にも入れるようになったので、認知症の進行は抑えられているように見える。
しかし、このまま家に連れて帰っても誰も世話をする者がいない以上、どこかしら現在の状況に適した施設を検討しなければならない。

連絡をもらったサ高住はまだ新しくてとても綺麗なのだが、基本的にはある程度自立した人が入る施設なので、伯母の場合にはもう少し手厚く常時誰かが世話をしてくれる施設の方がいいのではないかというのが私たち夫婦が出した結論だった。
そこで病院のソーシャルワーカーさんに相談に乗ってもらうことにした。
最近の伯母の状況を聞くと、認知症のテストでは入院時とほぼ同じスコアで、悪化はしていないが入院時と同じ「重度の認知症」という判断に変わりはないとのこと。
本人は「そろそろ家に帰ろうと思うんじゃ」と会うたびに言うが、実際には世話をする家族もいない家に一人帰すわけにもいなかい。
そんな悩みを話していると、ソーシャルワーカーの女性が一つの「グループホーム」を紹介してくれた。
その施設は病院と比較的関係の深いところで、岡山駅から徒歩15分ほどの街中にあり、4階建ての都市型グループホームだという。
通常のグループホームは入所者9人という決まりがあるそうだが、この施設は27人。
3つのフロアごとに独立した9人入所のグループホームが設けられているというスタイルである。
場所は便利で、何より病院との関係がいい。
私たち夫婦は即座にそのグループホームの見学を希望した。

そして今日、午前中に見学できるとの連絡が入り、すぐに現地に向かった。
「いやしの家 富田町」。
国道53号線と岡山市民の憩いの場である「西川緑地公園」の交差点にあり、目の前に西川沿いの緑が見える。
1階の駐車場に車を停めて2階に上がるとグループホームの責任者の女性が待っていて、いろいろ説明してくれた。
現在入居しているのは、伯母とほぼ同じ要介護1〜3の人がほとんどで、長い人はすでに10年以上ここにいるという。
すでに1部屋空いていてすぐにでも入居は可能だが、事前に伯母本人と面会して受け入れ可能かどうか確かめる手続きが必要だと女性は語った。

私の最大の心配事は、どうやって伯母を病院から家ではなくこの施設に連れてくるかということだった。
その点を聞いてみると、施設の方で迎えに行ってくれるという。
家族が立ち会ってくれれば嬉しいが、もしも無理なら施設のスタッフだけで伯母を連れてくることも可能だというのだ。
これはありがたい。
去年、嫌がる伯母を家から連れ出して病院に連れて行った時のことが蘇り、それをプロの人が主導してくれるのは本当に助かる。
もちろん私も一緒に付き添うことを約束し、もし本人確認でOKとなったら7月上旬にもこのグループホームに入れてもらいたいとお願いした。

人生の最後をどのように過ごすか?
なるべく本人の希望通りにと思いはするが、認知症になってしまうと本人の希望通りに全てが進むわけではない。
かわいそうだが、私たちにも私たちの人生がある。
老人たちは岡山にいるが、子や孫はみんな東京がベースだ。
このまま順調に今日見たグループホーム入りが実現するかどうかはわからないが、この夏また一歩、伯母の介護のステップが進むことは間違いなさそうだ。
生きるのが思い通りにならないのと同様に、死ぬのも自分の思い通りにはなかなかならないということを改めて噛み締める昨日今日の出来事だった。
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