今日で3月も終わり、日米でプロ野球が開幕した。
WBCでにわかに盛り上がった野球熱、今年から海を渡りレッドソックスに加わった吉田正尚は開幕4番で先発出場を果たした。

6回の第3打席、吉田は持ち前のフルスイングでセカンドの左にタイムリーヒットを放ち、メジャーでの初安打、初打点を挙げた。
さらに第4打席でもファーストの右を襲うヒットを打って2安打1打点の活躍、見事なメジャーデビューを果たした。
今年は党首でも千賀や藤浪がメジャーに挑戦する。
メッツに加入する千賀滉大はアメリカでも通用するのではないかと期待している。

とはいえ、やはり見たいのは今年も大谷翔平だ。
NHKも総合テレビでエンゼルスの開幕戦を生中継してくれた。
2年連続でエンゼルスの開幕投手を務め3番ピッチャーで登場した大谷は、1回先頭打者をフォアボールで歩かせ心配したが、その後は安定したピッチング。
4回のピンチも2者連続三振に切ってとり、6回を2安打無失点、10奪三振を奪って勝ち投手の権利を持ったままマウンドを譲った。
現地は気温が11度とまだ寒く、制球にはまだ不安定さはあったものの、去年までに比べて一段と安定感を増した印象がある。
力む場面もほとんどなく、唯一のピンチだった4回には見事にギアを上げ完璧に相手をねじ伏せる力強さがあった。

打者としての開幕戦は3打数1安打。
湿りがちなエンゼルス打線の中で、いつものパフォーマンスを発揮した。
しかし大谷の後を打つレンドーンらが押さえ込まれ、8回のチャンスでは申告敬遠で勝負をしてもらえなかった。
せっかく好投している大谷に応えられないエンゼルス打線。
そして、1−0のリードを守りきれないリリーフ陣も去年までと変わらない。
結局8回裏、リリーフが次々に打ち込まれ逆転を許し、そのまま1−2で開幕戦を失った。
大谷の活躍を伝えるニュースの中で、毎回のように「なおエンゼルスは負けました」というフレーズが繰り返され、いつしか日本では「なおエ」という言葉が生まれた。
どうやら今年もたくさんの「なおエ」を聞くことになりそうである。

8回同点に追いつかれた時、ベンチで見守っていた大谷は自分自身を納得させるように何度も頷いて心を鎮めようとしていたのが印象的だった。
WBCの時の、あの闘志を全面に出して戦う大谷とは違う、受け入れ難い現実を飲み込もうとするような静かな大谷がそこにはいた。
野球はチームプレーだ。
日米を代表する大谷とトラウトがいてもエンゼルスは弱い。
今シーズン、打撃陣を補強しクローザーも獲得したというが、開幕戦を見る限りその効果は限定的だ。

ただ、大谷翔平だけに注目すれば、今シーズン何かさらにとんでもないことを成し遂げそうな予感がある。
MLBの公式サイトが大谷翔平をMVPとサイ・ヤング賞の最有力候補をして名前を挙げたように、私だけでなくメジャー関係者たちも大谷のさらなる進化を感じているのだろう。
メジャーリーグでは今シーズンから様々なルール変更が行われ、極端な守備のシフトが許されなくなった。
さらに試合のスピードアップのため、ピッチャーには15秒以内に投げることが求められるようになり、大谷の投球のテンポも格段に速くなった。
対応力の高い大谷はこうしたルール変更を自らに有利に利用しそうな予感がする。
開幕戦は自責点ゼロ。
防御率と打率に関しては、今シーズン自己最高の成績を残してくれるような気がする。
WBCの疲労を抱えたままシーズンに入った超人・大谷だが、心配なのはやはりケガだ。
誰よりも自己管理を徹底している大谷なので、常に一般人の常識を超えてしまうとはいえ、大きなケガをせずにシーズンを乗り切ることができれば結果は自然についてくるはずだ。
果たしてどんな超人技を見せてくれるのか、今年も大谷翔平から目が離せない。
<吉祥寺残日録>メジャー史上初!大谷翔平、投打で規定数到達という前人未到の大記録を残してシーズンを終える #221006