<きちたび>両国国技館で一日中大相撲を観戦する② 序の口から幕内まで様々な角度から土俵を見てみた

朝乃山 vs 豪栄道

いよいよ優勝がかかる2番が始まった。

2敗でトップを走る平幕の朝乃山が土俵に上がり、1敗で追う横綱の鶴竜が力水をつける。

対戦相手は大関・豪栄道。懸賞が28本かかった。

懸賞金は1本6万2000円。そのうちの5万6700円が勝った力士に贈られる。つまりこの一番に勝てば、158万7600円をもらえる計算だ。

場所前、朝乃山の快進撃を誰も予想していなかった。令和最初の場所となった夏場所、NHKは令和を担う若手力士として貴景勝、北勝富士、阿武咲の3人を紹介した。これを見た朝乃山が自分が入っていないのが不満だと語ったとテレビで紹介されていたぐらいだった。

朝乃山は富山県出身の25歳。師匠は元朝潮の高砂親方だ。朝潮好きだったなあ。

ただ今場所の朝乃山は、対戦相手に恵まれたと私は思っている。朝乃山のせいではなく、鶴竜の独走を嫌った審判部が朝乃山と上位力士の取組を組まなかったことが原因だろう。

西前頭8枚目の朝乃山は11日目まで対戦した力士の中で一番上位が前頭5枚目の竜電。特に優勝争いが絞られてきた11日目に組まれた前頭13枚目の佐田の海との対戦には強い違和感を持った。

10日目までの成績で朝乃山は1敗で鶴竜と並んでトップを走っていたのだ。11日目に鶴竜が敗れ、朝乃山は単独トップに立った。

そして12日目に前頭3枚目の玉鷲、13日目には関脇・栃ノ心との対戦が組まれたのだが、栃ノ心との相撲は6分にわたる長い物言いの末、行司差し違えで朝乃山の勝ちとなった。再生ビデオを見る限り、栃ノ心の踵はついていないように見える。この一番で栃ノ心は優勝争いから脱落した。

さて、優勝をかけた豪栄道との一番である。

この相撲は朝乃山が力を見せつけ、2敗を守った。

今場所、大関陣は期待を大きく裏切った。貴景勝はケガで休場、豪栄道と高安は序盤から平幕に星を落とした。その意味では、ちょっとがっかりの場所だったと言える。

鶴竜 vs 栃ノ心

そして結びの一番。

鶴竜が負ければ朝乃山の優勝が決まる。一方の大関から陥落し復活を目指す栃ノ心は、大関復帰に必要な10勝までもう1つ勝ち星が必要だ。

どちらも負けられない大一番。懸賞は42本かかった。

あっけない勝負。

9勝1敗から平幕にまさかの3連敗を喫した栃ノ心のなりふり構わぬ立ち合いの変化だった。

この瞬間、平幕朝乃山の優勝と栃ノ心の大関復帰が決まった。

跳ね太鼓

朝乃山は、優勝と合わせて、殊勲賞と敢闘賞も受賞し、一気に注目力士の仲間入りだ。

絶対的な強さを誇った白鵬にも衰えが見え、日本人の若手の活躍が目立つようになった。

角界はいよいよ下克上の戦国時代に突入し、ますます面白くなってきた。

両国国技館での初めての大相撲観戦。

期せずして、十両優勝、幕内優勝、栃ノ心の大関復帰の瞬間を見ることもできた。

千秋楽には、アメリカのトランプ大統領が国技館にやってくる。優勝がすでに決まってしまったので、お客さんにとってはトランプさんが最大の見世物という千秋楽となるのだろう。

弓取り式が終わり、櫓から太鼓が響く。1日の終わりに鳴らされる太鼓は「跳ね太鼓」と呼ばれるそうだ。

この日、国技館を訪れた客は大満足で帰路につく。もちろん私もだ。

還暦を過ぎ、大相撲や国技館の魅力を知った。

これで、ますます相撲にハマりそうだ。

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