日本中でラグビー熱が沸騰している。
最近では、スポーツ音痴の妻まで、ラグビーにはまっている。サッカーより面白いのだと言う。
確かに、ルールや選手を知らなくても、あの肉弾戦を見ているだけで興奮する。
その一方で、ウィングがディフェンスラインを抜けた瞬間、オフロードパスが繋がった瞬間に感じる爽快感もたまらない。

さて、台風19号のため開催が危ぶまれたグループリーグ最終戦であるスコットランド戦は、無事に開催にこぎつけ、試合前に台風の犠牲者への黙祷で始まった。
今回のワールドカップでは、台風などで試合ができない場合には、順延ではなく試合を中止して引き分けとする特別ルールが採用された。
そのため、イングランドvsフランスやニュージーランドvsイタリアなど3試合が中止となり、海外の関係者やメディアからは厳しく批判されていた。誰が決めたのか知らないが、私もこのルールはおかしいと思う。
このスコットランド戦がもし中止になっていたら、日本がベスト8が決まってもとてもスッキリとは喜べなかっただろう。

試合はスコットランドに先制されたものの、すぐに松島幸太朗のトライで追いついた。
負ければ予選敗退のスコットランドが相手だと苦戦も予想されたが、日本代表はそんな空気を吹っ飛ばすように素晴らしいプレーを重ねていった。

圧巻は前半25分、「笑わない男」稲垣啓太のトライ。
堀江翔太から、ジェームズ・ムーア、ウィリアム・トゥポウ、そして稲垣へ。
3連続のオフロードパスがきれいに決まって、稲垣がそのままトライ。
これだけ鮮やかな攻撃は、なかなか見られるものではない。

さらに怪我が癒えて今大会初めてのスタメンに起用された快速ウィング福岡堅樹が2つのトライをあげ、28対7と大きくリードした。
こんな一方的な試合になるとは、予想もしなかった。
ここまで3連勝の日本は、負けても7点差以内なら決勝トーナメント進出が決まる。この時点で、もう決まったと思った。
しかし、ここからスコットランドが怒涛の反撃、2トライを奪われ残り時間は20分。ハラハラしながらテレビに釘付けとなる。
昔の日本なら、ここから逆転を許し、「惜しかった」というパターンも多かったが、今年の日本代表はまったく違う。

姫野和樹がスコットランドの巨漢フォワードを突き飛ばす。
今まででは想像もできない光景だ。
スクラムでも一歩も引かず、体力でもまったく負けていない。
そして最後の最後まで集中力を切らさず、スコットランドの猛攻を防ぎきった。

終わってみれば、28対21。
前回のワールドカップで屈辱を喫した因縁の強豪国に堂々の勝利を収め、4戦全勝でグループAを1位通過した。
この勝利によって世界ランクも7位に浮上したという。
次の対戦相手は、南アフリカ。
ここから先は、もう当たって砕けろだ。ベスト8の顔ぶれは日本以外は常連国ばかり。どこが勝っても不思議はない。
そして、今の日本ならこうした世界トップレベルのチームにも十分勝機はある。
パワー系の人もスピード系の人も輝けるスポーツ。
日本人選手も外国出身選手も、分け隔てなく「ワンチーム」になれて、試合終了後は「ノーサイド」の精神が徹底されているラグビーの素晴らしさに、私たち日本人が広く接したのは、とても良かったと思う。
今こそ、ラグビーの基本精神が日本に必要だ。
誰が考えたのか、外国チームの国歌斉唱に合わせて日本人の観客たちが合唱したのもとても感動的だった。昨日の横浜でも、対戦相手のスコットランドの国歌は歌われたのだろうか?
日本だけでなく外国のチームにもリスペクトの姿勢を示して応援するスタイルが日本に定着すると、来年の東京オリンピックは世界に誇るべき素晴らしい大会になるだろう。
今こそ、そうした相手をリスペクトする姿勢が求められる世界だから・・・。
この感動を一日だけ余韻に浸らせてもらって、また明日から次の次元へ挑戦してほしいです。
満身創痍でボロボロのジャパンですが、戦う以上は勝ちにいってほしいと思います!
(=^・^=)