<吉祥寺残日録>緊急事態宣言最後の日は雨。人のいない井の頭公園を歩く #210322

2ヶ月半にわたった緊急事態宣言がようやく解除された。

この期間中、どれだけ外出を控えていたか、顕著なデータが残っていた。

データが残っていたのは、iPhoneに内蔵されている『ヘルスケア』アプリ。

月ごとの歩数計を見直してみたら、緊急事態宣言が発令された今年1月は1日の平均が2400歩、2月は2581歩だった。

1回目の緊急事態宣言の時と比較すると、去年4月は3356歩だったので、あの頃よりも外出しなかったということになる。

ちなみに、コロナ前の去年1月をチェックしてみたら6138歩、一昨年の1月も6176歩で、コロナ前にはだいたい1日平均7000歩ぐらい歩いていたことがわかった。

そう考えればこの2ヶ月半、私はかなり頑張った。

自宅に引きこもっていた2ヶ月半、私の外出の中心はもっぱらこの井の頭公園だった。

おそらくこの期間の歩数の半分は、公園内の散歩やジョギング、そして植物観察のためにうろうろした時のものだろう。

今月初めにはまだ枯れ木に覆われていた公園の景色が、この1週間ほどの間に日に日に色彩が増してきた。

樹木の枝先から、モヤモヤと若葉や花が出てきているのだ。

緊急事態宣言下での最後の日曜日、雨が降る中、レインウェアを着て長靴まで履いて井の頭公園を散歩してみた。

誰もいないベンチ。

この日は、朝から終日雨が降り、強風も吹いていたため驚くほど人影が少ない。

例年なら花見客で賑わう井の頭池の南側エリアも立ち入り禁止のフェンスが張られ、虚しく桜が咲いていた。

緊急事態宣言慣れし「緩んでしまった」多くの人たちが行き交った公園も、雨のせいとはいえ、宣言の最終日になってやっと無人になったというのはなんとも皮肉な話である。

宣言が解除されると我慢していた人たちが一斉に動き始め、変異株も手伝って一気にリバウンドすることが懸念されている。

それにしても、いつの間にやらソメイヨシノがずいぶん咲いたものだ。

もう五分咲きと言ってもいいだろうか・・・。

誰も座らない桜の下の特等席。

ロックダウンを思わせる、ちょっと不思議な光景である。

そういえば、東京オリンピックに関する5者協議が開かれて、外国人客の入国を認めないことが正式に決まった。

日本人の観客をどうするかは感染状況次第だろうが、よほどのことがなければ収容人数の半分程度の客入れをして開催する方向なのだろう。

とはいえ、競技場に日本人しかいないオリンピックというのはどうなんだろう?

日本在住の外国人を無料で入場させるとか、大型スクリーンをスタンドに設けオンラインで応援できるようにするとか、何かオリンピックらしい雰囲気作りはできないものだろうか?

参加各国を応援するため各地にホストタウン決められたが、ホストタウンの住民たちが各国の人たちに代わって、それぞれ受け持ちの国のチームを応援をする案もあるかもしれない。

私が住む武蔵野市は、確かルーマニアのホストタウンになっていたはずだ。

武蔵野市民は競技場に行ったら、日本ではなくルーマニアの応援をする。

やっぱり、無理なんだろうなあ。

私はといえば、緊急事態宣言が解除されても、特段何かが変わるわけではない。

夜8時までだった飲食店の営業が夜9時まで認められるだけで、私には何も関係がない。

それでも、4月に入ったら一度岡山へ帰省するつもりだ。

年明けに予定していた用事がいくつか、先延ばしになったままになっているからだ。

年老いた親たちも、この3ヶ月の間に確実に老化が進んでいる。

それにしても、人間って、家でじっとしているとどうして次第に気力が失われていくのだろう?

図書館で借りてきた本も、読まないまま返却期日を迎えたりしている。

昼メシを食べたら眠くなり、一眠りして起きるともう大相撲の時間が始まるのだ。

現役時代には考えられないような自由気ままな生活。

これはこれで別にいいのだけれど、もう少しピリッとした方がいい気がし始めてもいる。

昨日の雨と風によって、「シダレヤナギ」の花がほとんど散ってしまった。

コロナがあろうとなかろうと、自然界の営みは変わらない。

春が来たら花が咲き、雨が降ったら花が散る。

私の暮らしも、こんな具合でありたいものだ。

緊急事態宣言が出れば止まり、解除されたらまた動く。

もう一度自分の生活をリセットするには、宣言が解除された今はいいタイミングなのかもしれない。

<吉祥寺残日録>年の始めには大きなことを考えよう!「サピエンス全史」と司馬遼太郎の言葉 #210102

コメントを残す