<吉祥寺残日録>岡江久美子さんもコロナで #200424

女優の岡江久美子さんの訃報が伝えられたのは、昨日の夕方だった。

私が洗面所でうがいをしていると、テレビを見ていた妻が「岡江さんが死んじゃった」と言った。

私は聞き間違えたと思って、「赤江さん?」と聞いた。

アナウンサーの赤江珠緒さんが新型コロナウィルスに感染したことは、すでにニュースになっていたからだ。

しかし、亡くなったのは、妻が言った通り岡江さんだった。

岡江さんは、昨年末にごく初期の乳がん手術を受けて退院した後、放射線治療を続けていて免疫力が落ちていたのではと指摘されている。今月初めに発熱し、主治医から4-5日自宅で様子を見るよう指示されたという。ところが3日目に容体が急変、緊急入院して新型コロナに感染していたことが判明した。

それから2週間以上、集中治療室での治療が続いていたが、一般には公表されないまま、家族に看取られることもなく一人で息を引き取ったのだ。

あれだけ多くの人に愛されて、周囲に元気を振りまいた女性に似つかわしくない最期。

本当に、言葉を失った。

私は、岡江久美子さんとも、赤江珠緒さんとも仕事でお会いしたことがある。

お2人とも、さっぱりしていて明るくて、とても仕事しやすい人だった。

テレビの世界では、個性の強いタレントさんとの付き合いも避けられないが、お2人は常識的で前向きで礼儀正しく、特に自分を支えてくれる番組スタッフにまるで家族のように暖かく接し、スタッフから愛されていた。

岡江さんというと、私は「足先写真」を思い出す。

TBSの「はなまるマーケット」で岡江さんがご自身が撮影した写真を紹介していたことがある。旅行先で景色を撮影する際に、さりげなく自分の両足のつま先を風景と一緒に写しこむのだという。その写真がとても魅力的で、それを撮影している時に岡江さんの姿勢などの話でスタジオは盛り上がった。

スマホができてから自撮り写真を撮る人は多いが、岡江さんの足先写真はとても記憶に残っていて、岡江さんとお会いした時もその足先写真の話をした。

本当に、楽しい気持ちのいい人だった。

あの底抜けの明るさが強烈な印象として残っているだけに、63歳でのコロナ死は信じられない。

心より岡江さんのご冥福をお祈りすると共に、闘病中の赤江さんの回復をお祈りしたいと思う。

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緊急事態宣言が出て2週間が経ち、少しずつ具体的な動きが始まっているが、どうもまだ物足りない。

東京都の感染者数は10日連続で1日100人超えが続いているが、「爆発的な感染拡大は見られない」というのが公式見解だ。

しかし・・・

PCR検査の件数が一向に増えていないので、感染者数が劇的に増えるはずがない。市中感染率は一向に確認できないまま放置されているのだ。

世界中の国があっという間に増やした検査数を、なぜか日本だけはいまだに増やすことができないのはなぜだろう?

日経新聞に「滞るコロナ検査、結果まで1週間 民間委託拡大カギ 」という記事が出ていた。PCR検査が増えない理由は、実績を重んじる医療界の慣行だという。

4月中旬に入ってからのPCR検査の実施数は、全国で1日当たり8000件前後が続く。うち民間の検査会社による受託件数は2000件ほどで、残りは国立感染症研究所(東京・新宿)や地方衛生研究所などの公的機関が担っている。民間検査数は2月下旬まではゼロの日もあった。みらかホールディングス(HD)など国内の主要な検査会社の検査能力の合計は1日当たり約4000件と見られており、能力を活用できていない。

民間シフトを阻む一因にはスピードよりも実績を重んじる医療界の慣行がうかがえる。各自治体の指定病院は、検査を民間ではなく地方衛生研究所に委ねる傾向が目立つ。「感染症は国が担うものだという意識が強い」(検査会社)。長野では県が優先度に応じて民間か行政かの検査委託先を決める方針だが、こうした調整に乗り出す自治体はまだ少ない。

民間が主に担ってきた軽症者の検体検査が増えにくい問題もある。現状では、熱が出て気分が悪いといった程度ではすぐには検査を受けられない。京都大学病院は15日、院内感染予防の視点から「無症状であっても公費でPCR検査を受けられるようにすべきだ」との声明を出した。

民間側もPCR装置の調達に苦戦している。世界中で新型コロナの感染拡大が続いており「装置の争奪戦になっている」(国内検査会社)。

出典:日本経済新聞

何ヶ月経っても堂々巡りが続く検査の問題。

この一点だけでも、イライラしてしまう。

人並外れて呑気で、滅多にイライラすることがない私が、コロナについてはテレビを見ながら本当にイラつくのだ。

日本は本当に大丈夫なのだろうか?

そんな中で、小池都知事の発信力はちょっと目を引く。

ゴールデンウィークを前にして、5月6日までの期間を「ステイホーム週間」と名付けて、様々な呼びかけを行うと発表した。

「○○ウィーク」を設定して、そこにいろんな企画を集中させるのはテレビ局がよく使う手だ。

「クールビズ」なども仕掛けたテレビキャスター出身の小池さんらしいイメージ戦略だが、連休中に多くの人が家にとどまる動機付けとなる何かを作るべきだという発想は、安倍政権よりも優れている印象がある。

片付けのカリスマ近藤麻理恵さんを使ったりITを活用したり、一般受けするコンテンツ作りには期待感がある。

スーパーが混み合っていることを防ぐために、「買い物は3日に1回」という呼びかけを始めた。

企業に対しても、ゴールデンウィークを利用した「12連休」を提案した。確かに、ゴールデンウィークならでは実現可能な大型連休である。

これでどの程度の効果が出るのか、まずはゴールデンウィークまでの様子を見守りたいと思う。

安倍総理も「オンライン帰省」を提案していたが、どうせなら鉄道や高速道路の入り口で体温チェックするなど、海外で行われている目に見える対策を導入した方がいいと感じる。

「12連休」などサラリーマンが出社しないための方策こそ、政府が率先して経済界と力を合わせて実現してもらいたいものだ。

絶望することなく、ゴールデンウィークも私は自宅にとどまるだけである。

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