<吉祥寺残日録>雨の木曜日、姉妹サイト「旅したい.com」を閉鎖する準備を始める #210514

今年の梅雨は例年より早いようで、梅雨前線が本州南岸まで北上し、すでに鹿児島あたりは梅雨入りしたという。

東京も朝から小雨が降り続き、5月半ばだというのにもう梅雨のようなお天気である。

コロナの感染が全国に拡大中で、テレビをつけるとギスギスした内容ばかりで気が滅入るのでワイドショーなどは見ないようにしている。

医師会の会長が政治家の資金集めパーティーに主催者として参加していたとか・・・どこどこの町長がズルをして自分だけ先にワクチンを打っていたとか・・・。

長引く自粛の中で、みんなの気持ちがささくれだっているのはわかるが、どうも人間の醜い部分ばかりが強調されているようで、もう少し忍耐力を持てないものだろうか。

オリンピックがいつの間にかすっかり「悪者」になってしまい、アスリートたちまでが肩身の狭い思いをしているのは、どう見てもやりすぎだろう。

私はオリンピックという大会は、先人たちが戦争に変わる愛国心のはけ口として編み出した素晴らしい「幻想」であり、他のスポーツ大会と同列に扱って欲しくないという気持ちを持っている。

商業主義にまみれ、たびたび政治利用されてきたオリンピックだが、一応「平和の祭典」として世界の国々がリスペクトする存在は他にはないのだから、たかがコロナごときでゴタゴタ言わないでもらいたい。

外国人がやってくることで確かに感染のリスクは多少高まるかもしれないが、戦争よりはずっとマシだ。

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世界に先駆けてワクチン接種に成功したとして注目されたイスラエルでは、コロナの脅威が去った途端、パレスチナとの紛争が再燃した。

イスラエル側が東エルサレムに暮らすイスラム教徒に立ち退きを求めたのが発端で、ハマスがロケット弾を発射するとイスラエル軍はガザ地区に激しい空爆を加え、2014年以来となる本格的な軍事衝突に発展しそうな勢いだ。

世界中の人が大きなストレスを抱えている。

そのやり場のない気持ちを吐き出すために手近な敵を探して攻撃する動きは、今後ワクチン接種が進むにつれて増えていくだろう。

アメリカでは、アジア系の人を狙ったヘイトクライムが後を絶たない。

米中対立を煽れば煽るほど、こうした犯罪は増え、日本人もその標的とされる。

中国でもコロナ発生の直後、アフリカ人に対する激しい差別が渦巻いたという。

見えない恐怖とストレスは、普通の人を犯罪者に変える。

日本でも、ネット上で様々な人々が攻撃されているようで、インド種の猛威が報道されるにつれてインド系の人たちがリアルに攻撃を受けるのではと心配になってしまう。

こういう時こそ、他者への理解を深めることが重要だ。

私は開店休業状態の旅行に特化した姉妹サイト『旅したい.com』を閉鎖することを決め、過去の投稿をこのブログに集約する作業を始めた。

「旅したい.com」は、まだ会社勤めをしていた2019年の4月に立ち上げたもので、この頃には私の旅行熱が激しく高まっていた。

そのトップページに私はこんなメッセージを書いた。

さあ!旅に出よう

世界を知り、日本を知り、歴史を知り、未来の自分をデザインする。

旅は生きる力とヒントをきっと与えてくれるでしょう。

旅したい.com

私にはいろんな夢があった。

まずは、まだ足を踏み入れていない国々を旅行し、100カ国歴訪を達成すること。

観光名所ではなく、歴史の舞台となった場所やニュースの現場をできるだけ自分の足で訪ねること。

日本の津々浦々をのんびり旅して、日本のことをもっと理解すること。

その気持ちは今も変わらない。

しかし、私が旅先で得た情報を他の人に読んでもらおうという「旅したい.com」の目的は、コロナを経験したことによって私の中で少し変わった気がする。

人様のために書くのではなく、自分のために旅の記録をつけるだけで十分だと思い始めたのだ。

その方が、自分の気持ちを素直に吐き出せる。

より主観的な旅の記録となり、後で読み直した時、私自身にとって価値の高いものとなると考えたのだ。

それなら、手間をかけて別のサイトを運営するよりも、このブログにまとめてしまった方が楽だ。

人様を意識することなく、私の興味の赴くままに私が感じたことを記録していけばいいので、ずっと気楽で楽しく続けることができるだろう。

「旅したい.com」を閉鎖する前に、まずはこのサイトに書き込んだ投稿を「吉祥寺@ブログ」に移す作業を行わなければならない。

手始めに、今日はヨーロッパ旅行の記録をいくつか転載した。

上の写真は、北アイルランドのベルファストでの一枚。

カトリックとプロテスタントの住民同士が壁を作って対峙した北アイルランド 問題を知るためのツアーに参加した時のものだ。

同じベルファストでは、タイタニックの博物館にも行った。

ちょうど今、大ヒット映画「タイタニック」をテレビで再放送していて、おそらく今日後編の放送があるはずだ。

このタイミングで私が「旅したい.com」の閉鎖を決め、タイタニック博物館の投稿を改めて読み直しているのも何かの縁かもしれない。

そういえば、私がこの博物館を訪れた日に、タイタニックを建造した老舗の造船会社が経営破綻した。

タイタニック号には、そうした不思議な「運命」のようなものがつきまとっている。

ヨーロッパの旅行といえば、ルクセンブルクも面白かった。

フランス、ドイツ、ベルギーに挟まれた小国ながら、一人当たりのGDPは世界一。

それでいて、中東のようなバブリーな感じはまったくなく、本当の豊かさとは何かを考えさせられる美しい国だった。

私が訪れたのは2019年の夏だが、ルクセンブルクでは2020年から公共交通機関をすべて無料にすることを決めていた。

もちろん世界初の試みだ。

ヨーロッパの統合を推し進める確固とした意志を持ち、政治も経済も日本と比べてずっと成熟しているように感じられた。

日本にとって手本となる国はいくらでもあるのだ。

ルクセンブルクはとても小さな国なので、日帰りでフランスにもドイツにも遊びに行くことができる。

でも私がぜひ訪れたかったのは、シェンゲンという国境の小さな村。

ここは、戦乱が続いたヨーロッパから国境をなくすという壮大な理想のもと、EU各国が「シェンゲン条約」に調印した欧州統合の象徴的な場所だ。

橋を渡るとそこはもうドイツ領で、道を一本曲がるとフランス領にも歩いて行ける。

物価が安いフランス側に住んでルクセンブルクに通勤してくる人も多いという。

尖閣問題で怒る日本人にとって、国境とは何かという根源的な問いを考える貴重な場所だ。

日本の中だけで暮らしていると、発想が貧弱になり、自分とは違う他者を攻撃したくなってくる。

でも、「日本の常識は世界の非常識」かもしれない。

常に自分を客観的に見る習慣は大切だ。

家に引きこもっていても、旅気分を味わいながら、いくらでも心を落ち着かせる方法はある。

たとえワクチン予約の電話がつながらなくても、誰もロケット弾を撃ち込んだりしてこない平和な日本なのだから、安心して家でゆったり構えていればいいのだ。

37回目の結婚記念日に新しいブログ「旅したい.com」を立ち上げる

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