今さら、ではある。でも、やらないよりはいい。
安倍総理が、中国・韓国から入国した人に14日間の隔離を要請することを発表した。
これから始まる花見シーズンには多くの外国人がやってくる。
それを止めるのは、止めないよりいいと思うが、なぜ今なのか・・・?
一番大きいのは、4月に予定されていた習近平さんの来日が延期されたこと。逆に言えば、アメリカなどが中国からの入国を禁止する中で、日本政府が武漢縛りを続けたのも、習近平さんへの配慮だったことが明らかになった。
さらに、トランプさんが日本からの入国を制限する可能性に言及したことも大きい。すでに日本人の入国を禁止したり制限する国は増えているが、アメリカに入国制限を受けると経済的な影響は計り知れない。おそらく追随して日本人を締め出す国も増えるだろう。
今さらながら入国規制を強化した日本政府の決定は、アメリカ向けのパフォーマンスの意味合いが強い。
そして、心情的に一番影響したと思われるのが、中国の大都市が次々と入国した日本人を隔離する措置を始めたことだろう。「おいおい、もともとあんたのところが原因だろう」と誰しも感じる違和感。でも、徹底的な感染防止策をとって何とか出口が見えてきた中国人からすると、対策が緩く感染が広がっている日本からウィルスが逆流してくるのが怖いと感じるのも無理はない。
しかし、日本人からすると中国からウィルス扱いされることは到底受け入れられないだろう。
安倍さんが遅ればせながら中国人の入国をストップしたことで、そんな日本人の溜飲も少し下がるかもしれないが、双方で出入りを制限したのだから経済への影響はこれまでとはステージが変わってくるのは間違いない。
イギリスでは多くの地方路線を運航する航空会社「フライビー」が破産申請した。新型コロナウィルスは世界の航空業界に大きな打撃を与えているが、ヨーロッパではまだ始まったばかりだ。国境のない欧州には実に多くのローカル航空路線が張り巡らされているが、鉄道より安くて早い自慢の航空網は早くも破綻の危機に立たされている。
アメリカでは、「ダイヤモンドプリンセス号」と同じ会社が運航するクルーズ船で感染者が出たが、サンフランシスコは入港を拒否した。果たしてアメリカが誇るCDCがどのように対処するのか注目される。
もしこのクルーズ船で日本同様、多くの感染者が出れば、アメリカでも一段と危機感が高まるだろう。ウィルスについて楽観的な見通しを語ってきたトランプさんが、ある日突然、安倍さん同様強硬策に転換することも十分予想される。
日を追って、各国が扉を閉じ始めた世界。
景気後退局面入りがささやかれる中で、パウエルFRB議長が0.5%の金利引き下げをいち早く決定した背景には、巨大に膨れ上がった民間債務への懸念があるとする専門家の見方を目にした。
利下げにも関わらず、アメリカの株価は過去最大の乱高下を繰り返している。
借金の上に築かれたアメリカと中国の繁栄を、新型コロナウィルスが崩してしまうのか?
閉ざされつつある世界を眺めながら、注目していきたい。