<吉祥寺残日録>365日連続で『残日録』を書いて、今日63歳の誕生日を迎えた #210302

日本列島をコロナ禍のパニックが襲った去年の3月3日、私は<吉祥寺残日録>という日記を書き始めた。

あれから365日、曲がりなりにも毎日何かしらを書き続け、今日私は63歳になった。

妻からのプレゼントは、ミモザの花。

私も妻も大好きなミモザの花言葉は「感謝」と「友情」、黄色いミモザには「秘密の恋」という意味深な意味もあるらしい。

3月8日は「ミモザの日」で、本当は男性から女性にミモザを贈るのが慣しだ。

『残日録』という名前は、「三屋清左衛門残日録」という藤沢周平原作の時代劇から拝借した。

<吉祥寺残日録>の1回目、このシリーズに託す思いを次のように書いている。

多くのサラリーマンが好きな作家として名前をあげる藤沢周平だが、私はこれまでまったく縁がなかった。

時代劇を見ながら、「これか」と思った。

忙しい現役時代には考えもしなかったような心境が、一線から退いた時に初めて理解できる、私もそんな歳になったのだろう。

大相撲が好きになり、地味な時代劇に心を動かされる。

子供の頃に見た、「おじいさん」の行動パターンはこういうものだったのかと、今頃になって気づかされる。

でも、そこに寂しさはない。

現役時代、実力以上に頑張ったり、多くの失敗を重ねたりして、懸命にもがいてきた。

そしてようやく、少し静かな時間の中に身を置くことができる境遇になったのだ。

時代が大きく変わっても、人間の営みというのは大して変わらないものである。

吉祥寺@ブログ「<吉祥寺残日録>トイレットペーパー #200303」

去年3月のブログを読み返してみると、大混乱の時期だったことを思い出す。

店頭からトイレットペーパーが消え、センバツが中止、大相撲も無観客となった。

マスクがまったく手に入らなくなり、花見も自粛、そして月末には志村けんさんが亡くなったのだ。

1月ごろからコロナの拡散を予想して自主的に在宅勤務に入った私は、この頃、間違いなく世界恐慌が来ると思っていた。

事実、3月に入って世界中の株価が暴落、世界中の国が国境を閉ざして、かつて見たことのないような無人の大都会を我々は目撃した。

ところが1年たった今、私が目撃しているのは、公務員の接待問題。

7万円の過剰接待を受けたとして非難された山田真貴子内閣広報官は体調不良を理由に入院し、結局辞任することになった。

犯した罪に比べて過大なバッシングのようにも感じるが、これが今のトップニュースであることは、一年前に想像していた事態と比べると、拍子抜けするほど平和な光景といえなくもない。

当時私が心配した経済は、世界恐慌とはほど遠く、アメリカ株は史上最高値を更新し、日経平均もバブル以来の3万円を突破しているではないか・・・。

すべては、各国政府が前例のない金融緩和と財政出動で協調し、市場をジャブジャブにしているせいなのだが、ワクチンが予想外のスピードで実用化されたことも大きい。

ある意味では、人類が過去の教訓からいろいろ学んだ証拠とも言えるだろう。

多くの人が職を失ったとはいえ、農村の娘たちが次々に身売りされた100年前の世界恐慌の悪夢は避けられたのだ。

昨日、今年の新卒採用が解禁となった。

赤字転落で採用を減らす企業がある一方で、逆に採用を増やす企業もあって、予想したほど日本企業全体のダメージは大きくなかったんだと実感している。

将来のことはさておいて、どうやら当面の光は見えてきた。

正直、少しホッとしている自分を感じる今日この頃だ。

そろそろ日本でも将来に夢が抱けるような話題が欲しい。

昨日、ヤフーとLINEが経営統合して日本最大のIT企業が誕生したが、アメリカや中国の巨大IT企業と比べると全然足元にも及ばない規模でしかない。

それでも、日本市場で圧倒的なシェアを持つような「スーパーアプリ」が普及すれば、様々なデジタルサービスの基盤になりうる。

一方、エネルギー政策でも出遅れが目立つ。

昨日の日経に出ていたショッキングな世界地図。

緑に塗られた国ではすでに、最も安いエネルギーが火力や風力といった再生エネルギーになっているのに対し、日本ではいまだに石炭が最安であり、しかもその値段が外国に比べて倍ぐらい高いというのだ。

これは、送電網の問題が大きく、このままではまったく勝負にならない。

確かにいろいろ批判はあろうが、菅政権が掲げる「グリーン&デジタル」は絶対に進めなければならない改革であって、メディアには接待問題だけでなく、そちらにもしっかりと目を向けてもらいたいと私は願っている。

私ごとに立ち返ってこの一年を振り返ってみると、<吉祥寺残日録>を書くことによって、日々変化していくコロナの状況を自分なりに記録する中で、私自身、少しずつ会社を辞める決心をしていったように思う。

私が辞めることで、1人でも若者が職に残れればいいと当時は本気で考えていた。

それほど行く末を絶望視していたのだ。

今となっては単なる取り越し苦労だったが、それでもやはり、コロナ禍は私にとって「潮時」だったんだと思う。

その証拠に、会社を辞めた後、後悔したり退屈したりしたことは一度もない。

日々やりたいことがたくさんありすぎて、時間が足りないぐらいだ。

それというのも、すっかり気が緩んでしまって、昼メシを食うとすぐに眠たくなり昼寝をすることが増えたせいでもあるのだが・・・。

63歳になると、年金の一部が受け取れるというので、申請書類が我が家に送られてきた。

近く手続きをするつもりでいる。

退職後、夫婦で家計の出費を月末ごとにチェックして、固定費をなるべく安く済ませられるよう通信料金の見直しなども進めてきた。

おかげで、生活をかなりスリムにできたので、日々の生活はほぼ年金だけで賄えそうだ。

現役時代の蓄えは、計画的に取り崩して主に旅行に使おうと思っている。

コロナのおかげで当分旅行には行けそうにないので、その間に残りの人生で使えるお金の見通しも立てるつもりだ。

週末に行われた「びわこ毎日マラソン」では、一般参加の鈴木健吾選手が2時間4分56秒という日本新記録を叩き出した。

日本人で初めて2時間5分の壁を突破した快挙だ。

しかし彼は、東京オリンピックには出場できない。

これまで日本記録更新者に与えられてきた1億円の賞金も、資金が底をついたという理由でもらえないという。

ついていないといえば、本当についていない。

それでも彼は悔しさを微塵も見せず、素直に自分が新記録を出したことを喜んでいた。

その姿が、とても清々しくみえ、スゴい奴だなあと思う。

欲を言い出せば、キリがない。

運命を呪っても、仕方がない。

人の評価を気にするのではなく、自分自身が納得できる生き方を貫いていれば、心の中はいつも満たされているだろう。

そんな生き方を心がけていこうというのが、63歳になった私の目標である。

1件のコメント 追加

  1. wildsum より:

    誕生日、おめでとうございます!

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