<吉祥寺残日録>3度目の緊急事態宣言は、政府より国民や医療界に責任がある #210424

昨夜記者会見に臨んだ菅総理大臣は、カメラに向かって頭を下げた。

「感染防止に取り組んできた多くの人がいる。期間を限った措置とはいえ休業など踏み込んだ対策をお願いするのは心苦しく申し訳ない。再び多くの皆様方にご迷惑をおかけする。心からおわびを申し上げる」

口下手だが、会見のたびに国民にお詫びする菅さん。

詭弁を弄し論点をずらしてごまかした安倍さんよりずっとマシだ。

そもそも、2回目の緊急事態宣言解除からわずか1ヶ月で3回目の宣言に追い込まれたのは、決して政府のせいばかりではない。

桜が咲き始めるとみんながルールを無視しすっかり緩んでしまった以上、宣言解除もやむを得なかった。

企業も去年のようにはテレワークに協力しなくなった。

暖かくなるにつれ、年寄りも平気で街に出歩くようになり、感染力の強い変異株の流行で一気に感染者が増えてしまったのは必然なのだ。

誰が悪いかといえば、大した用事もないのに「ストレスが溜まるから」と無防備に行動している多くの国民であり、その結果として感染者が増えたら人の流れを止める以外に方法はない。

ゴールデンウィークに合わせた今回の緊急事態宣言は、短期集中で人流を止めるため、これまでのよりも踏み込んだものとなった。

飲食店に対してお酒の提供を禁止するというのは英断だ。

お酒で利益を出しているお店が多い以上、居酒屋などを中心に休業するところが増えるだろう。

デパートやテーマパークなど人が集まりそうな大規模施設に広範囲に休業を要請したのもいいと思う。

みんなが行きたい場所が休業になれば、それだけ出歩く人が少なくなる。

電車の本数を大幅に減らすことも効果があるだろう。

都会人はせっかちなので、どうせなら20分に1本ぐらいに電車を減らせば、多くの人が出かける気がなくなるのではと思う。

世界的には一般的な「ロックダウン」に近い状況を作るのが、流行を押さえ込むには一番なのだ。

小池都知事はさらに、夜8時以降、看板の明かりやイルミネーションなど街灯以外の灯りを消すよう要請した。

これを受けて「今時、灯火管制かよ」とネット上で批判が出ているそうだが、こういう見た目の変化はまさに「緊急事態」の演出であり、人間の行動を変えるためには有効だ。

試してみる価値は十分にあり、とにかくやるからには徹底的にやるべし。

私の個人的意見では、警視庁の警察官を大量動員して夜の街で声がけしてもいいと思っている。

警察官は知事の権限が及ぶ範囲であり、街の見回りは警察の通常業務のうちである。

夜間営業は違法ではないのであくまで要請ベースだが、警察官が要請して回ることも違法ではない。

本当ならば、国民全員が状況をわきまえて「ステイホーム」を守れば警察が出るまでのことはないのであって、都庁の職員が言っても聞かない人に対しては警察の持つ「怖さ」をもって説得することも一つの合法的な手段である。

そしてもし、酔っ払いが警察官に対して暴力を振るえば、即座に公務執行妨害罪が適用されるのだ。

しかし個人的にはメディアの論調がどうも気にいらない。

テレビはどちらかといえば連日の感染者数の増加で危機感を煽り、「早く強力な対策を取るべきだ」と主張していたように見えたが、いざ強めの緊急事態宣言が出されるとそれを歓迎するのではなく、ダメージを受ける人たちの声ばかりを放送して妙に同情的になる。

これは完全なマッチポンプであり、自らの立ち位置があやふやすぎる。

メディアに携わる者としてあまりに無責任だろう。

昨日の会見の中で、私が唯一「いい質問だ」と思ったのは、大手メディアではなくフリーのジャーナリストから出た医療体制に関する質問だった。

質問の内容を簡単にまとめると、「欧米に比べて桁違いに少ない感染者数でなぜ医療が逼迫するのか?」「総理はあらゆる手段を使うと述べていたのに、いまだに病床数が増えないのは、総理が言ってもダメな理由があるのか?」というものだった。

そもそも今回の緊急事態宣言を出すのも、大阪を中心に医療が危機的な状況に陥ったためであり、至極まっとうな質問である。

これに対して菅総理は、珍しく感情のこもった答弁をした。

「ワクチンの接種が世界に比べて遅れていると批判されるが、海外では国内治験を必要としない国がほとんどなのに対し、日本は国内でも治験をやる仕組みになっている。病院についても、国で予算を支援しているところもあるし、地方自治体と協力してお願い、要請をする中で手伝っていただいている方がたくさんいらっしゃるし、現場で大変な思いで頑張っていらしゃる方がたくさんいらっしゃる。ただ、やはり医療関係者に対する政府の権限は、お願い、要請ベースでしかないというのが現実だ。そうした状況の中で緊急事態宣言をやらなければならないということをご理解いただきたい。しかし今回の感染症で、私たちはこうした緊急事態のときのことを学習している。落ち着いたら緊急事態の特別措置を作らなければならないと思っている」

政府や知事たちがいくら言っても改善しない医療界に対する苛立ちがあふれ出るような答えだった。

「一年経ってもどうしてコロナ対応病床が増えないんだ」という怒りに似た疑問は、我々国民以上に菅さんは感じているのだと思う。

確かに、日本社会にも緊急事態に対処できる法律が必要だと私も思う。

菅さんが総理を続けるのなら、事態が落ち着いた後で緊急事態に対応できる法整備が行われることになるのだろうが、その際には戦前の教訓を活かして「治安維持法」のようなアバウトな悪法を作らないようしっかり監視していく必要がある。

こうした本質的な質問が大手メディアから出なかったのはとても残念だ。

3度目となる緊急事態宣言は、明日25日から来月11日まで。

文字通り、ゴールデンウィークの人の動きを止めることに主眼が置かれていることは明らかだ。

突然の緊急事態宣言に備え、最後の買い物をする人も多いのか、今日の吉祥寺の街はいつもにも増して大賑わいだった。

一方で対象となる施設では、明日からどう対応するのか突然の決定に頭を悩ましている最中だろう。

今日訪れた吉祥寺図書館も、明日以降閉鎖するのかどうかまだ対応が決まっていないと話していた。

果たして明日、人の流れは止まるのだろうか?

どうせなら、2週間完全に人の動きを止め、どの程度効果が表れるのかを見てみたい。

これまで通り、だらだらと人が出歩いていたら、来月11日の宣言延長は避けられないだろう。

再び、日本社会の民度が問われる。

どんな政策を打ち出そうが、肝心なのは国民がルールを守るか、それとも自分を甘やかすかで、コロナの感染状況は変わってくるのだから・・・。

<吉祥寺残日録>緊急事態宣言解除へ!リバウンド以上に心配な「文春的」密告社会 #210319

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