昨日は暖かで、絶好の花見日和となった。
都心から少し遅れて井の頭公園のソメイヨシノも満開となり・・・
池の水面も桜色に染まった。
そんな3月最後の金曜日、テレビの世界も「変化の春」だ。
22年間にわたってフジテレビの朝の看板番組だった「とくダネ!」がこの日、長い歴史に幕を下ろした。
私も久しぶりに「とくダネ!」の冒頭を見たが、朝フジテレビ入りしたMC小倉智昭さんをカメラが追い、スタジオには初代アシスタントの吉川玲さんや大病を患った笠井信輔さんらも顔を揃えて22年間を振り返った。
裏のTBSでも立川志らくさんがMCを務める「グッとラック!」が終了。
コロナ禍の中で、この時間の絶対王者となったテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」の前に、2番組が撤退することとなった。
この週末には、32年続いたTBSの「噂の!東京マガジン」が地上波から姿を消すことになる。
MCの森本毅郎さんを筆頭に高齢の出演者が多く、コロナ対応として再放送を多用せざるを得なかった。
4月からはBS-TBSで放送を続けるというが、製作費の減額は避けられないのでどのような放送になるのだろう。
このほか、日本テレビでは25年続いた「メレンゲの気持ち」や12年続いた「火曜サプライズ」が終了となった。
NHKの「歴史秘話ヒストリア」やTBSの「サワコの朝」がなくなるのも個人的には残念である。
しかし、テレビの世界ではこれは宿命だ。
視聴率をベースとして広告収入を得るビジネスモデルである以上、ある番組が視聴率を取れば裏番組は視聴率を失う運命にある。
コロナ禍の中で、どの業界も過去の常識の見直しが迫られ、テレビも例外ではない。
この春の番組改編で私が最も注目しているのが、テレビ東京である。
夜の看板番組である「ワールドビジネスサテライト」をリニューアルし、夜10時スタートに繰り上げる。
長年この時間に君臨してきたテレビ朝日「報道ステーション」とのガチンコ勝負を挑んだのだ。
経済ニュースである以上、視聴率的に「報道ステーション」を上回ることはないだろうが、この判断は実に面白い。
「WBS」のメインターゲットであるビジネスマンだけを見れば、「報ステ」に勝てる可能性は十分あるだろう。
日本経済新聞の力も使ってスポンサーは集まるだろうし、大江麻理子、佐々木明子という「ジジ殺し」の二枚看板はなかなか強力である。
私自信はきっと、「報ステ」よりも「WBS」を中心に視聴するだろうと予想している。
ちょっと楽しみな、テレビ界の「変化の春」である。
一方、スポーツの世界でも「春の変化」。
去年は無観客を強いられたプロ野球は、観客を入れて昨日開幕を迎えた。
日本テレビが放送した「巨人ー横浜」の開幕戦は大接戦、9回表に横浜が追いつくと、9回裏に代打の亀井のホームランで巨人が開幕勝利を収めた。
サッカーでも、東京オリンピック世代のU24のテストマッチが強豪アルゼンチンを日本に迎えて行われた。
日本代表の次世代にどんなタレントがいるのか、久しぶりに試合に注目した。
試合は0−1で敗れた日本代表。
コロナ対策として久保ら海外組と国内組はピッチ以外では別行動を取るなど厳しい制約の中で行われた久しぶりの代表選だったが、チームの連携はまだまだだった。
それでもオリンピックに向けて、海外選手の受け入れを実際に試す段階に入ったともいえる。
世界的にワクチン接種が徐々に進むにつれ、工夫しながら日常が少しずつ戻ってくる、そんな段階に入りつつあることを感じた。
さて、政治の世界でも「春の変化」が見え始めた。
昨日、過去最大となる来年度予算が成立し、総務省接待問題などで防戦一方だった菅総理は解散総選挙のフリーハンドを手にした。
今のところコロナ対策最優先のスタンスは変えていないが、感染状況や社会の空気を読みながらいつ解散してもおかしくない状況となる。
北朝鮮が再びミサイルを発射し始めたのも、与党に有利に働くだろうか?
いずれにせよ、民主主義という仕組みは脆く、国民の良識頼みの危うさを秘める。
そんな菅総理は、4月上旬に訪米しバイデン大統領との首脳会談に臨む。
日米同盟の結びつきはますます強化される方向だが、懸念されるのは中国との関係である。
バイデン大統領は就任後初の記者会見を開き、中国との競争は「民主主義と専制主義の闘い」と述べた。
最大の外交課題と位置づける中国についてバイデン大統領は「衝突は望んでいないが厳しい競争になる。中国は国際社会のルールにのっとり公平な競争や貿易をしなければならない」と述べました。
また、習近平国家主席について「頭のよい人だ。民主主義は機能せず、専制主義がこれからの潮流だととらえている」と評し、米中関係については「21世紀における民主主義の有用性と専制主義との闘いだ」と位置づけました。
そして効果的に中国に向き合うために、国内の労働者や科学分野への投資を通じた最先端技術の強化、日本など同盟国との関係の再構築、自由、人権といった価値観の追求の3つを実行すると説明しました。
そのうえで「中国は世界のリーダーとなり、最も豊かで強い国になるという目標を持っている。私が大統領でいるかぎり、そうはさせない」と述べ、中国との競争を制することに力を注ぐと強調しました。
引用:NHK
トランプさんに比べて指摘は的確だが、迫力を感じない。
中国の海洋進出に対して台湾を防衛のため、沿岸警備を担当する米台当局間が綿密に調整を取り合う作業部会を設置することを発表したが、中国に本当にダメージを与えるだけの具体策はまだ見えない。
見た目も弱々しく、足元さえおぼつかないバイデン大統領は、中国側からするとあまり怖く見えないだろう。
中国外務省の華春瑩報道官は、すかさずバイデン大統領に反論した。
「50万人以上が新型コロナウイルスで死亡し、年間4万人以上が銃による事件で死亡し、意味も証拠もないねつ造をして他の主権国家に対して打撃を与えている国に、民主や人権のともし火などと、自慢する資格はない」
中国の言うのも正論ではある。
それでも、中国的な専制政治が世界に広がっていくことは何としても避けなければならない。
いろんな物事が変わる「激変の春」、新たな米中関係を軸に世界情勢がどのように変化していくのか?
私にはやはりそのことが一番気にかかっている。