<吉祥寺残日録>河野太郎さんが出馬会見!安倍・麻生体制は果たして変わるのか? #210910

今日は久しぶりに青空が広がった。

家にいると暑くもなく寒くもない。

晴れ渡った空を見ていると、気分もスッキリしてくる。

一方、政界でも総裁選の構図がはっきりしてきたようだ。

自民党の異端児と言われた河野太郎さんが、今日夕方、正式に総裁選出馬を発表した。

私は菅さんが不出馬を表明した直後から、この人が本命になるのではないかと睨んでいて、8月26日のブログでも岸田さんではなくあえて河野さんの写真を使ったのだ。

突破力とやや非常識なことで知られる河野さんだが、今回の総裁選については実に慎重に根回しをした。

派閥のボスである麻生太郎さんにいる財務省に連日通い、ついに出馬への了承を取り付けた。

「三顧の礼」をもって出馬に後ろ向きだった麻生さんに礼を尽くした形を取ったのだ。

いち早く、高市早苗さん支持を打ち出していた安倍さんにもわざわざ挨拶に行き、段取りをきちんと踏んだ上で今日の出馬会見に臨んだわけである。

河野太郎さんは本気で総理になるつもりだと私は感じる。

自民党の有力者だったおじいさんの河野一郎さん、お父さんの河野洋平さんがともに果たせなかった総理大臣の座が、すぐ手の届きそうなところまで来ているのだ。

私も、河野さんがまだ若手の論客と呼ばれていた頃、何度かお会いしたことがある。

テレビによく顔を出す政治家たちは、テレビ局のプロデューサーにも愛想よく振る舞う人が多いが、河野さんは決して愛想が悪いわけではないが、不必要にこちらに迎合するところがなかった。

お父さんの洋平さんが堂々とした良識派というイメージだったのに比べて、太郎さんは少し変わっていてやんちゃな印象があり、まさかこの人が総理になるとは当時思いもしなかった。

しかしSNSをいち早く武器に使って国民の人気を集め、あれよあれよという間に総裁候補に登り詰めた。

「河野は危なっかしい」という評価が自民党内には根強いが、それが河野さんの魅力でもある。

注目された今日の出馬会見で河野さんはこんなことを話した。

自由民主党は保守政党であります。私は保守主義とは度量の広い、中庸な、あたたかいものだと思っております。そしてこの日本を日本たらしめている日本の一番の礎となっているものがこの長い伝統と歴史と文化に裏付けられた皇室と日本語、これが日本を「他の国と何が違うの?」と聞かれた時に「日本語と皇室です」と。そしてその上に我々の先祖が築いてきた様々な歴史や文化や伝統がそれぞれの地域地域で根付いています。

自民党支持者を意識して、冒頭で保守主義や皇室についてあえて言及した。

安倍さん支持層の不安を意識したのかもしれない。

ただ、「度量の広い」や「中庸」といった言葉を織り込み、安倍さんや高市さんとの違いをさりげなく表現したように私は感じた。

政治家の口から「中庸」という言葉を聞いたのはいつ以来だろう。

私はとても良い立ち位置だと感じた。

ただ政策面では「ワクチン」「ハンコ」「テレワーク」「子育て支援」「カーボンニュートラル」「デジタル化」など菅政権が進めてきたものと大差はなかった。

現役大臣として独自の政策を練り上げる時間がなかったのか、菅さんと目指す方向が同じなのか、きっと両方なのだろう。

菅内閣の目指す方向を支持してきた私としては、むしろ河野さんの政策は歓迎なのだが、総裁選の討論の中では他の候補者から菅さんと一緒だとしてきっと攻撃を受けることになるに違いない。

菅さんとは違い弁が立つ河野さんなので、その攻撃にどう反論するのか、注目して聞いてみたい。

個人的には、ハト派の代表格である岸田文雄さんにも総理をやらせてあげたい気持ちはある。

菅再選が有力視されていた段階で、岸田さんが勇気を持って名乗りをあげたことで菅さんが不出馬に追い込まれたのは間違いない。

そして発表した政策も、自民党主流派であった宏池会の流れを汲むものであり、新自由主義から脱却して弱者にも目配をして配分を重視した政策に舵を切るという。

池田勇人、大平正芳、宮沢喜一といった穏健路線が自民党内で力を盛り返すことは、日本にとって決して悪いことではない。

しかし、岸田さんの相手が菅さんではなく河野さんになったことで、安倍・麻生両氏の力を頼らなければならなくなった。

「いい人」である岸田さんが総理になっても、「悪い人」である安倍・麻生組の傀儡になってしまう。

これでは岸田さんの魅力が半減である。

河野ー岸田の争いになると自民党がリベラルに傾きすぎると感じた安倍さんは、いち早く自らの子飼いである高市早苗さんの支援を打ち出した。

弁のたつ高市さんは連日テレビに出まくって、安倍路線の継承を声高に訴えている。

私もYouTubeで高市さんの出馬会見を聞いてみたが、具体的な政策がびっしり詰め込まれていて出馬に向けしっかり準備してきたことがよくわかる内容だった。

政策の中には傾聴に値するものもたくさんあったが、財源についての言及がなく、総花的な内容にはポピュリズム的な臭いも感じる。

力強い高市さんの演説を聞いてネット上ではしばらく大人しかった安倍応援団が息を吹き返した。

高市さんを絶対視して絶対視して対抗候補たちを攻撃する不愉快で耳障りな言説が再びのさばり始めたのは極めて気分が悪い。

最大派閥の細田派の中でも、「安倍さんに恥をかかせるわけにはいかない」と公言し、高市さんを支持する議員も増えているようだ。

高市さんが決選投票に残ることは難しいとメディアでは伝えられているが、こればかりは結果を見るまでわからない。

何と言っても、投票日まではまだ20日もあるのだ。

もう一人、去就が注目されるのが石破茂さんだ。

石破派の中では出馬を取りやめて河野さんの支援に回るべきという意見があり、石破さんも自らの出馬について決めかねているようである。

確かに、国民的人気の高い河野=石破連合ができれば強そうに見えるが、ちょっと話が漏れるのが早すぎた。

まだ総裁選が公示されてもいない段階で「河野=石破」の話が出たため、サプライズ効果が長続きせず、選挙の日まで期待値が続かないだろう。

どうせなら、石破さんも出馬を表明し、テレビの討論会にも参加して、ギリギリの段階で自らの出馬を取り下げて河野さん支援を打ち出せばきっと一気に流れを作れたのにと、個人的には残念に思う。

河野支持に動く石破さんの側近が報道陣に漏らしたのだろうが、いかにも知恵がない。

とはいえ、今回の総裁選は何が起きるか予想は困難である。

議員票と党員票が同数の「フルスペック」の総裁選であることに加え、派閥の締め付けがほとんど効かないと予想されているからだ。

日本経済新聞に載っていた上のグラフを見ると、派閥の集金力が昔に比べて比較にならないほど弱くなっていることがわかる。

政党の収入のメインは国から支給される政党交付金であり、その差配をめぐり党執行部の力が飛躍的に強くなった。

自民党内には安倍政権下で当選してきた3回生以下の議員が半数を数えるという。

彼らは派閥の結束よりも自分の選挙、つまり選挙の顔になる総裁や幹事長を望んでいるのだ。

河野総裁、石破幹事長、小泉官房長官といった布陣になれば理想的なのだろう。

もしも石破さんが本当に河野さんを応援することになれば、小泉さんを含めたドリームチームも夢ではない。

しかし、それは安倍さんにとっては悪夢であり、長期政権の膿が白日の下にさらされる危険を意味している。

一方、野党はと言えば、これがまったくダメダメである。

「総裁選にうつつを抜かし、政治の空白は許されない」というだけで、総選挙に向けた魅力的な政策発表がちっとも見受けられない。

立憲民主党は先日、市民グループ「市民連合」の働きがけによって共産党・社民党・れいわ新撰組と4党による政策合意を結んだ。

しかし、その内容には新味がなく、聞いてガッカリしてしまった。

「森友、加計問題などの真相究明」などほとんどの項目について異論はないのだが、これって野党の主張であって、与党になった時にどのような国づくりを目指すのかという大方針が抜けている。

中でも気になったのが「消費税減税」を公約に掲げることである。

世界一の超高齢化社会で消費税を減税してどうやって社会福祉を回していくのだろう?

富裕層の負担強化はもちろんやるべきだが、それによって捻出できる歳入は消費税減税であっという間に吹っ飛んでしまうだろう。

それでなくても、国の歳入不足で国債の残高は積み上がるばかりである。

「消費税減税」を訴えるならば、アメリカ共和党のような「小さな政府」を作るべきだが、実際に目指しているのは高福祉の社会なのだ。

そんな都合の良い政策などあり得ない。

高福祉社会を目指すのはいいと思うが、それならば北欧並みの高い税率が必要である。

自民党は「中負担・中福祉」のどっちつかずの国づくりを行っている。

それに対抗するには、野党は「高負担・高福祉」の国づくりか、「低負担・低福祉」の国づくりかのどちらかを打ち出すしかない。

無駄の削減によって財政を健全化させるという夢物語は、前の民主党政権の時に破綻したではないか。

立憲民主党は、もし政権を取ったら初閣議で実現させる政策というのも発表した。

赤木ファイルもスリランカ人女性もいいし、ぜひ実現してもらいたいけれども、政権を取りたいのであればもっと斬新で魅力的な政策を打ち出してもらいたい。

これらを見ていると、野党にはやはり人材がいないんだと不安になってしまうのだ。

もともと私は自民党嫌いでほとんど野党に投票してきた人間だが、民主党政権以降、素直に野党に投票できなくなった。

安倍政治と完全に決別する意味でも、ここは河野さんの頑張りとともに、ぜひ野党の中身のある奮起を期待したい。

<吉祥寺残日録>自民党総裁選は来月29日!さてこの先何が飛び出すか? #210826

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