今日は、スポーツ界から元気をもらえるニュースがたくさん届いた。

まずはゴルフ。
渋野日向子が全米女子オープンで3日目を終わって単独首位を守った。
2度目の海外メジャー制覇に夢が広がる。
やはり彼女はただものじゃない。

午後になると、体操の全日本選手権。
鉄棒の種目別に登場した内村航平がH難度の大技「ブレトシュナイダー」を完璧に決め15.700の異次元の高スコアで優勝した。
ケガに苦しみ総合出場を断念した内村らしい素晴らしい復活劇だった。

そして夕方には、柔道男子66キロ級。
阿部一二三 VS 丸山城志郎。
2人の世界チャンピオンのどちらが東京五輪の代表になるのか、注目の一本勝負が行われた。
結果は、予想通り延長戦に突入し、24分の激闘の末に阿部が勝利、代表の座を掴んだ。
まさに柔道の歴史に残る死闘だった。
コロナ禍であってもみんな自らを限界まで追い込み、力を振り絞って戦っている。
だから見ている私たちは感動するのだ。

それに対して、私たちはどうか?
上の写真は昨日の渋谷駅、すごい人出だった。
今日私は一歩も外出していないが、買い物に行った妻によれば吉祥寺は今日も人で溢れていたという。
こうした状況の中で、昨日のコロナ感染者は全国で初めて3000人を超え、菅政権もさすがに堪えきれずに、東京と名古屋発着の旅行を「GO TO トラベル」の対象から外す調整に入ったようだ。
まあ当然と言えば当然だが、「GO TO」だけが悪者のような今の風潮やメディアの報じ方には強い違和感も感じている。
感染拡大は本当に「GO TO」が原因なのか?
違う。
本当の原因は、私たち国民一人一人の心の緩みや甘え、政治家や厚労省、医学界全体の準備不足と怠慢、そうした自らの行動に対する無責任さの集積が今の数字となって表れているに過ぎないのだ。

私は家に引きこもって録画した番組を見ていた。
NHK-BS「映像の世紀PREMIUM 第18集 ナチス狂気の集団」。
ヒトラーを支えた側近たち、ゲーリングやゲッベルス、ヒムラーを取り上げ、「ごく普通の人間がなぜ狂気に取り憑かれてしまったのか」をテーマに過去の映像を紐解いていく。
この番組の最後、15年の逃亡の後に逮捕されたアイヒマンの裁判を傍聴したユダヤ人哲学者ハンナ・アーレントの言葉が紹介される。
自分の昇進に恐ろしく熱心だったこと以外に彼には何の動機もなかった。この熱心さはそれ自体としては決して犯罪的なものではなかった。言い古された表現を使うなら、彼は自分が何をしているのかわかっていなかった。彼にはまったく思想がなかった。それゆえ彼はあの時代の最大の犯罪者の一人になるべくしてなったのだ。
まったく思想がなかった普通の人間が、ユダヤ人大量虐殺の実行者となった。
誰かに命じられれば自ら判断することなくそれに従い、命じられなければ何もしない。
これこそが歴史上何度も目撃されてきた非常時における人間の行動だ。
戦争と病はもちろん違うが、人間の行動としては共通する部分がある。
100年に一度と言われるパンデミックの時代、私は少しでも自分の頭で考え、自分の行動に責任を持つ人間でありたいと思う。
改めて自戒するとともに、日本人の多くがそうであることを願うばかりだ。