<吉祥寺残日録>岸田新総裁誕生!1回目投票で河野氏を上回った自民党内の力学 #210929

菅総理の後継を決める自民党総裁選挙。

初めて女性2人が立候補した今回の総裁選を制したのは、事前の予想通り、岸田文雄さんだった。

岸田さんは現在64歳。

私よりも1つ年上だが、学年でいえば同級生なのだということに気づく。

新総裁に選出されると直ちに岸田さんのプロフィールが報道されるが、岸田さんは通産官僚の息子としてニューヨークで公立小学校に通い、帰国後も麹町中学から開成高校へと東京で育ったという。

岸田さんといえば熱烈なカープファンを公言し、広島というイメージが強いが、実は広島育ちではなかったんだと今日初めて知った。

そんな岸田さんが自民党総裁に選出されるプロセスを見届けながら、私がまずは思ったのは高市さんでなくて良かったということだった。

個人的には、安倍・麻生体制の終焉を願っていたのでその意味では残念ではあるが、人柄的には今回立候補した4人の中で岸田さんが最も信頼できる。

包容力だったり寛容さだったり、私が大事だと信じている価値観を共有してくれる指導者だと感じる。

安倍さんの支援に配慮して選挙戦では保守派に気をつかった発言も目立ったが、基本的な考え方は宏池会らしいリベラル派に属する政治家だと思う。

出馬会見の時から自らの政治信条を表すものとしてたびたび示してきたいわゆる「岸田ノート」。

全国を回り、国民の言葉を書き残してきたというこのノートを見せながら、自らの「聞く力」を最大限にアピールしてきた。

「聞く耳を持つリーダー」。

それはとても大切なことではあるが、岸田さんの場合、残念ながらそれが最大の不安要素でもある。

人はみんな勝手なことを言う。

有権者の声というのは聞こえがいいが、所詮はその人の利益になる都合の良いお願いばかりで、国全体のことやましてや将来世代のことを考えて「苦い薬を飲んでやろう」などという立派な人はほとんどいない。

さらに永田町の中に目を移せば、自らの保身や権力のために様々な要求が岸田さんに降りかかってくるのは確実だ。

それを聞くのはいいが、きちんと「NO」は「NO」と断れるのか、どこまで自分の信念を貫けるか・・・それが「いい人」である岸田さんの場合とても心配なのである。

結局大いに盛り上がった今回の総裁選も、終わってみれば自民党内での安倍・麻生体制はびくともしなかった。

菅政権の支持率低下でお尻に火がついて一時は大騒ぎしていた若手議員たちも腰砕となり、世代交代を訴えた河野さんのもとから徐々に引き剥がされていった。

これだけ総裁選が盛り上がれば、誰がリーダーでも選挙には勝てるだろうという楽観論が広がり、台風の目になると見られた当選3回以下の「党風一新の会」も目立った活躍を見せられなかった。

その結果、世論調査などでは国民的人気が高いと言われていた河野太郎さんは、議員票と党員票が同数で争われる1回目投票ではトップが確実視されていたが、岸田さんが党員票を予想外に集め、なんと1票差で河野さんを抑えて1位となったのだ。

「小石川連合」と呼ばれた河野さんと石破茂さん・小泉進次郎さんとの人気者トリオは、コロナ禍で街頭演説ができなかったこともあって、かつての「小泉旋風」のような大きな社会現象を作ることができず、狙っていた1回目投票での過半数獲得とはならなかった。

むしろ、安倍さんが全面支援した高市早苗さんが1回目の投票で河野さんを上回る議員票を集めたことで、キングメーカーとしての安部さんの存在感が嫌でも目についたのが今回の総裁選だろう。

この間、マスコミでは「安部・菅政権」という言葉がよく聞かれた。

しかし私が見るところ、安部さんと菅さんでは目指す政治の方向性が全く違う。

だから、安部さんは菅さんを見捨てて高市さんを担ぎ出したのだ。

そして菅政権時代には鳴りを潜めていた気持ち悪い安部応援団が高市支持で熱狂し元気を取り戻したように、今回の総裁選後、再び安部カラーが自民党内で一層強まることを私は心配している。

岸田新総理にはぜひ自分の信念を貫いて、自らが掲げた「分厚い中間層」を復活させる構造改革に邁進してもらいたい。

岸田さんが思い描く社会は、間違いなく私が希望する方向性に近いと思うからだ。

しかし果たしてそれができるのか?

しばらくの間、ハラハラしながら見守っていくしかなさそうである。

<吉祥寺残日録>河野太郎さんが出馬会見!安倍・麻生体制は果たして変わるのか? #210910

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