東京に戻ってきて疲れが出たのか、先ほどまで昼寝をしていた。
テレビをつけると広島駅の駅ビルでトイレから不審物が見つかったとかで、新幹線が一時運転を見合わせたという騒ぎが報道されていた。

広島サミットを来月に控え、すでに警備体制が強化されているのだろうが、中身のわからない不審物が見つかっただけで新幹線を止めるという対応は少し前までは考えにくかった。
安倍元総理が射殺され、岸田総理にも爆弾が投げつけられて、警察の対応も昔に比べてエスカレートしている気がする。
左派がまだ力を持っていた頃ならば「過剰警備」だと糾弾される可能性もあるが、今の日本人は安全第一、警察や自衛隊が前面に出ることに抵抗感を感じる人も少なくなったのだろう。

ここ数日間、テレビのトップニュースになっていたのは日本人には馴染みの薄いアフリカのスーダン情勢だった。
スーダンといえば、学生時代、エジプトからケニアに向かうルートとして入国を試みたがビザが取れずにカイロに引き返したことがある。
それ以来、一度も入国したことのない私にとって未知の国だ。
そのスーダンでは15日から国軍と準軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」の間で戦闘が勃発し、首都ハルツーム中心部でも激しい内戦が続いている。
すでに市民400人以上が死亡し、国連職員なども犠牲となっているという。
突然戦闘に巻き込まれた自国民を国外に脱出させようと各国が一斉に救出作戦を開始、日本も今回は素早い対応で自衛隊機をスーダンに近いジプチに派遣した。

そして昨日から今朝にかけて、出国を希望する日本人58が無事周辺国に脱出。
一昨日の午後ハルツームを出発し陸路で2つのルートを使い紅海沿岸のポートスーダンまで移動、そこから自衛隊機に乗って今日未明ジプチに脱出したのだ。
今後はスーダン南部に滞在し出国を希望しているもう1人の支援を続けるという。
日本政府には忘れられない苦い記憶があった。
一昨年の8月、米軍が撤退した直後のアフガニスタンで政権が崩壊した際、大混乱となったカブールから相次いで外国人が脱出する中で日本は完全に出遅れた。
自衛隊機がカブールの空港に到着した時、市内は大混乱になっていて在留邦人が空港に近づくことができなかった。
そういう意味では今回のオペレーションは日本としては素早かった。
しかし、諸外国と比べると依然として遅く、日本人が脱出したのは最初の停戦合意が終わった後だった。

岸田総理は、「成功裏に邦人退避を遂行した大使館や自衛隊をはじめとする関係者の努力への敬意と感謝を申し上げたい」と述べ、協力を得たフランスや韓国、アラブ首長国連邦などに謝意を表明した。
ウクライナでの戦争以来、すっかり「有事の総理大臣」として自信をつけた岸田さんは今回のオペレーションでも大きなミスを犯さなかった。
ただ、まだ課題はありそうだ。
政府が救出作戦の検討を始めてから、自衛隊機が日本を離陸するまでに数日を要していて、この辺りは引き続き改善の余地があるだろう。
危機対応の鉄則はまずは現場近くに部隊を進め、その間に現地の情報を収集することにある。
今回はうまくいったけれど、緊急事態の場合には数日の遅れが取り返しのつかない致命傷となるのだ。
中国、北朝鮮、ロシアとの関係が悪化し、自衛隊の役割が大きく変わろうとする中で、今回のような「実戦」経験はとても重要である。
災害対応には精通している自衛隊だが、戦地での経験は全くと言っていいほどないのが実情だ。
それは幸いなことではあるが、いざという時には実戦経験がものをいう。
平和国家日本の軍隊として自衛隊がどのように実戦力を身につけるのか、それは防衛予算の増額とは全く別次元の問題である。

ところで、今回のスーダンのニュースで私が興味を抱いたのは「RSF」という準軍事組織の存在である。
テレビニュースではほとんど紹介されないが、時事通信が次のような解説記事を配信していた。
スーダンで軍と戦闘を繰り広げている準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は、イランの革命防衛隊と同様、軍がクーデターを起こしても、それを迎え撃てるよう想定された「第2の軍隊」だ。軍と互角に戦える装備や訓練を施されている。
RSFの最近の総兵力は10万人と報じられてきた。スーダン軍は陸軍の10万人が圧倒的で、空軍は3000人、海軍は1000人。兵力数を見れば両者は互角のはずだった。
2019年まで30年に及んだバシル独裁政権が構築した「カウンター・クーデターのための暴力装置」だったが、最後は軍と手を組み権力を奪った。この協力をきっかけに、RSFは軍から大量の「出向者」を受け入れ、スーダン全土へ急速に膨張する組織を整えた。双方の総兵力数には重複があったとみられ、15日の戦闘勃発の翌日、軍はこうした出向者に「原隊復帰」を命じた。現在の正確な勢力比は分かっていない。13年に発足したRSFの源流は、西部ダルフール地方で住民弾圧を担った民兵組織「ジャンジャウィード」だ。03年から激化したダルフール紛争で「スーダン解放軍(SLA)」や「正義と平等運動(JEM)」など反政府勢力に対し、軍の先兵となって戦った。軍による空爆の援護を受けつつ、ジャンジャウィードはダルフールの町や村を略奪し蓄財した。バシル大統領の個人的な保護を受け、RSFを率いるダガロ司令官の一族は今やダルフールの金鉱の利権を握り、幾つも企業を経営する富豪となっている。
引用:時事通信
さらに、RSFは過去10年、海外との関係を強化した。サウジアラビアのムハンマド皇太子が介入し15年から激化したイエメン内戦に数万人のスーダン人傭兵(ようへい)を送り込み、サウジを支えた。
リビア内戦では、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」と関係を深め、リビア東部のハフタル派のため傭兵を送り込んだという。イエメンやリビアの最近の内戦沈静化はこうした「RSFの資金源」に影響を与え、ダガロ氏に焦りが生まれていた可能性もある。
私はスーダンについてほとんど知識を持っていないが、「RSF」というのは世界のさまざまな紛争と関わる興味深い組織だということがわかる。

さらにCNNは独自情報として「RSF」とロシアの軍事会社「ワグネル」の関係について伝えている。
ロシアの民間軍事会社ワグネルがスーダンの準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」に対して、国軍との戦闘を支援するためにミサイルを供与していることが分かった。スーダンや地域の外交筋がCNNに明らかにした。
スーダンではRSFのダガロ司令官と、軍事指導者で国軍トップでもあるブルハン将軍が権力争いを繰り広げている。複数の情報筋によると、供与された地対空ミサイルはRSFの戦闘員やダガロ氏にとって大きな追い風になっているという。
隣国リビアを捉えた衛星写真には、ワグネルの基地での活動が異常に増加している様子が写っており、こうした主張を補強している。リビアではワグネルの支援を受ける反政府のハフタル将軍が国土の広い部分を支配する。
衛星画像やオランダに拠点を置くオープンソースの専門家によると、イリューシン76輸送機の動きは、スーダンでの衝突が始まる2日前の13日に増え始め、少なくとも19日までその状態が続いた。
この輸送機は13日、ハフタル氏が押さえるリビア北部のアルカディム航空基地からロシアの大規模航空基地があるシリアの沿岸都市ラタキアに飛んだ。翌日にはラタキアからアルカディムに帰還。その翌日には同じくハフタル氏が押さえるリビア北部のアルジュフラ航空基地に飛び、隔離されたエリアに駐機したが、前述のオランダの専門家によれば、これはかなり異例なことだという。スーダンでの軍事衝突が発生したのはこの日だった。
輸送機は18日に再びラタキアに飛び、その後アルカディムに帰還してからアルジュフラへと再度飛行した。その日、ロシアがスーダン北部にあるダガロ氏の部隊の陣地に地対空ミサイルを空から供与したと同地域やスーダンの情報筋は語る。
ダガロ氏は長年、ロシアのスーダンへの関与から大きな恩恵を受け、ロシアの兵器や訓練の主な受け手になってきた。
CNNの2022年7月の調査では、ロシアとスーダン軍指導部の関係が深まっていることが判明。スーダン軍指導部は軍事支援や政治支援と引き換えに、同国が豊富に埋蔵する金へのアクセスをロシアに付与した。この関係が本格化したのは14年のクリミア侵攻後で、ロシアは西側の制裁を回避するためアフリカの金に目を付けた。
22年のウクライナ侵攻やその後の相次ぐ制裁を受け、ロシアがスーダンから金を持ち出す動きが加速した。軍事政権を支える動きもさらに強まり、スーダン国内でのワグネルの活動が増加する結果になった。
引用:CNN

さらに、CNNはスーダン国内から産出されている金が、ロシアのウクライナ侵攻の資金源になっているとして独自取材を進めている。
ロシアがウクライナに残忍な戦争をしかけてから数日後、赤茶色の砂に囲まれたスーダン首都ハルツームの滑走路にはロシアの貨物機の姿があった。積み荷目録にはクッキーと記載されている。スーダンからクッキーが輸出されることは、仮にあったとしても、ごくまれだ。
ハルツーム国際空港のバックオフィスでは、職員の間で激しい議論が繰り広げられていた。機内検査をすることで、親ロシア色が強まりつつあるスーダン軍指導部の機嫌を損ねるのを職員たちは危惧していた。これまで何度か怪しいロシア貨物機の出発を阻止しようとしたこともあるが止められていた。だが最終的に、職員は機内に乗り込むことに決めた。
貨物室の中には、色とりどりのクッキーの箱がずらりと並んでいた。箱の真下に隠されていた木箱には、スーダンでもっとも貴重な資源が納められていた。金だ。ざっとみて1トンはあった。
この1年半、アフリカ第3の貴金属産出国スーダンからロシアが金を密輸したのは、わかっているだけでも16回。そのうちの1回が、スーダン当局筋がのちにCNNに語った今年2月のこの出来事だ。
スーダン政府高官や米国政府職員との度重なる取材や、CNNが検証した山のような文書から、ロシアの巧妙な策略が浮かび上がってくる。厳しさを増す西側諸国からの制裁に対抗し、ウクライナでの戦争を支えようと、スーダンの富を略奪しているのだ。
米国政府の現職および元職員がCNNに語ったところでは、ロシアは2021年にスーダンで起きた軍事クーデターを積極的に支援していたという。暫定文民政権を転覆させたこのクーデターは、その2年前にオマル・バシル大統領を失脚させたスーダンの民主化運動に壊滅的な痛手を負わせた。
「ロシアがスーダンの天然資源を搾取していることは、ずいぶん前から知っていた」と事情に詳しい元米国職員はCNNに語った。「こうした資源へのアクセスを維持するために、ロシアは軍事クーデターを支援したのだ」
「全世界が(ロシアを)包囲する中、ロシアがスーダンの将官とこうした関係を結び、彼らが権力の座に居座れるよう力添えをすることで得られるものは大きい」と元職員は続けた。「そうした『力添え』は、軍事訓練や諜報(ちょうほう)支援に始まって、奪ったスーダンの金の利益配分に至るまで多岐にわたる」
引用:CNN

そして、スーダンとロシアを繋いでいたキーマンがウクライナですっかり有名になった「プーチンの料理人」プリゴジン氏である。
このようなロシア政府とスーダン軍事政権による持ちつ持たれつの関係の中心にいるのが、ロシアの新興財閥(オリガルヒ)でウラジーミル・プーチン大統領の重要な協力者であるエフゲニー・プリゴジン氏だ。
厳しい制裁を科されている61歳のプリゴジン氏が牛耳る怪しげな企業ネットワークには、準軍事組織ワグネルもある。シリアや中央アフリカなど戦争により荒廃した国々で、拷問や大量殺戮(さつりく)、略奪に関与したとみられる組織だ。プリゴジン氏はワグネルとの関係を否定している。
スーダンにおけるプリゴジン氏の足がかりとなっているのがメロイー・ゴールド社だ。同社はプリゴジン氏が所有するMインベスト社の子会社で、米国の制裁対象にもなっている。CNNが確認した請求書によれば、同社は金採掘を行う一方で、スーダン軍や民兵組織に武器や軍事訓練を提供している。
「プリゴジン氏はメロイー・ゴールドや自社従業員とゆかりのある企業を通じてアフリカ諸国に介入し、現地政府を支援する見返りとして、これらの国々の経済資源を略奪する戦略を作り上げた」。こう語るのは、ロンドンに拠点を置くドシエセンターの調査員デニス・コロトコフ氏だ。同センターではロシア政府と関わりのある様々な人物の犯罪活動を追っている。創設者のミハエル・ホドルコフスキー氏はかつてロシア最大の富豪だったが、現在はロンドンで亡命生活を送っている。
CNNはドシエセンターの協力を得て、ワグネルの上級工作員のうち少なくとも1人、アレクサンドル・セルゲービチ・クズネツォフ氏が、ここ数年スーダンの主要な金採掘地や加工・搬送地で操業の監督をしていることを突き止めた。
「ラチボア」や「ラジーミル」の呼び名で知られるクズネツォフ氏は誘拐の前科があり、隣国リビアでは戦闘に参加し、14年にはワグネル最初の攻撃偵察隊の指揮を執った。ロシアの勇敢勲章を4度授与され、17年にはプーチン大統領やワグネルの創設者ドミトリー・ウトキン氏と並んで写真にも写っている。21年には、欧州連合から制裁対象とされた。
スーダン軍指導者とロシアの癒着が深まることで、複雑な金密輸ネットワークが生まれた。スーダン当局筋の証言や、飛行機の運航を追跡するツイッターユーザーGerjonの協力でCNNが検証したフライトデータによれば、昨年スーダン当局は少なくとも16本のフライトを阻止しようとしたが、それはいずれもロシアの主要空軍基地があるシリアの港町、ラトキア発着の軍用機だった。
複数のスーダン当局筋やドシエセンターによれば、金の輸送は陸路でも行われ、ワグネルが圧政政権の後ろ盾となっている中央アフリカに運ばれる。ワグネルは中央アフリカで国民に対する残虐極まりない戦術を実施したと報じられている。
スーダンの金にロシアが本格的に干渉を始めたのは14年、クリミア侵攻で西側諸国から相次いで制裁を科された後だった。金の輸送は富の蓄積と移動に効果的な方法であることが証明された。国際金融監視システムを回避しながら、ロシア政府の懐を潤すことができた。
引用:CNN

CNNはスーダン北東部にある金の中心地の取材もしている。
ロシアの金採掘事業の中心地はスーダン北東部の砂漠の奥地にある。白茶けた景色にぽっかり空いた割れ目が点在し、鉱山労働者たちが灼熱(しゃくねつ)の暑さの中で根気よく作業している。休息が取れるとすれば、シートの切れ端と砂袋で作ったテントの中だけだ。
毎朝こうしたへき地の小規模鉱山から、鉱山労働者たちが「黄金の町」と呼ばれるアルイバイディヤに集まる。金の入った袋をロバが引く荷車に積んで、舗装されていない道沿いに運んでくる。自分たちの商品に最高値をつけるのは、ほぼ間違いなく近くの加工工場から派遣される商人だと人々は言う。地元の人々はこの工場を「ロシアの会社」と呼んでいる。
ロシアの金密輸の中核にあるのは雑な売買プロセスだと情報筋はCNNに語る。CNNが確認した公式統計によれば、スーダンの金の85%前後がこうしたやり方で売買されている。鉱山の内部告発者や治安当局者など複数の情報筋によれば、こうした取引のほとんどは記録されず、またロシアが市場を独占している状況だという。
少なくとも10年間、ロシアはスーダンでの金取引を公式な記録から隠ぺいしてきた。ロシア政府による膨大な金取引を示す多くの証拠があるにもかかわらず、スーダンの公式海外貿易統計には11年以降、ロシアからスーダンへの金輸出量がゼロと一貫して記載されている。
ロシアは政府の把握しない多数の場所で利益を得ているため、スーダンから持ち出された金の正確な量を確認するのは困難だ。だが少なくとも7人の事情通が、スーダンの金密輸の大部分を進めているのはロシアだと非難している。公式統計によれば、近年ではスーダンの金の大半が密輸に流れている。
スーダン中央銀行の内部告発者がCNNに提示した集計表の写真には、21年に32.7トンの金が所在不明であることが記されていた。現在のレートで換算すれば、1トン6000万ドル(約81億円)計算で19億ドル(約2600億円)相当の金が行方知れずということになる。
だが複数の現旧の当局者は、行方知れずの金の数量はさらに多いと言う。非公式の小規模鉱山で産出される金の量をスーダン政府が大幅に低く見積もっているため、実際の数字がゆがめられているというのだ。
CNNに内部情報を提供した人々の多くが、スーダンで産出される金の約90%が国外に密輸されていると主張する。これが事実なら、ざっと134億ドル(約1兆8000億円)相当の金が関税や規制を逃れていることになり、政府の歳入が数億ドル失われている可能性がある。CNNはこの数字について独自に確認できていない。
数年にわたりロシアの金取引を追ってきたスーダンの汚職対策捜査官が、ロシアの主要加工工場の位置をCNNに提供してくれた。CNNが現地に行ってみると、そこはアルイバイディヤから8キロほど離れたところで、施設の頭上にはソビエト連邦の旗がはためいていた。施設前にはロシアの給油トラックが1台停まっていた。
引用:CNN

偶然出くわした警備員は施設がいわゆる「ロシアの会社」だと認めた。警備員との軽いやりとりは、すぐさま緊迫した状況に転じた。
「ロシア人のマネージャー」と話をしたいというCNNの要望を警備員がトランシーバーで伝えると、スーダン人男性の一団が現場に駆けつけて取材陣に退去を命じた。その後CNNの車両は警備部隊に跡をつけられた。
「ここから立ち去れ」と別のスーダン人の工場従業員も取材陣に告げた。「ここはロシアの会社じゃない。アルソラジというスーダンの会社だ」
アルソラジはスーダン企業だが、米国の制裁対象となっているロシアの鉱山企業メロイー・ゴールドのダミー会社だ。このことは5人のスーダン当局筋とCNNが検証した会社登記簿で確認されている。
昨年アルソラジが設立されたことで、スーダンでのロシアの目に見える存在感は重要な転機を迎えた。新たなビジネスモデルでは、ロシアの取引は裏に消えて、その段取りはより一層スーダン軍指導部の手にゆだねられるようになった。ロシア側は地元企業を装って、海外企業を対象にした規制を含め政府機関をさらに回避できるようになった。CNNはスーダン軍指導部にコメントを求めたが、返答は得られなかった。
本記事を書くにあたり、CNNが参照したいくつかの現地報道ネットワーク――ムジョプレス、アルバシュム、活動家でジャーナリストのヒシャム・アリ氏のフェイスブックページなど――はこの数か月で標的にされ、関係者は暗殺の脅迫を受けて亡命を余儀なくされている。6月だけでも抗議デモ中に銃で撃たれた10人のうち3人が民主化運動の著名な活動家だった。CNNの治安当局筋は、みな意図的に標的にされたと考えている。
スーダン政府の複数の高官はCNNのニマ・エルバジル記者に、抗議デモの現場には近づかないよう何度も念を押した。複数のスーダン治安当局筋の話では、CNNがこの記事の調査を始めてからというもの、エルバジル記者は軍事政権の暗殺リストに名前が挙がっているという。
2月下旬、ウクライナ首都キーウを包囲しようとするロシア軍戦車の映像がハルツーム国際空港のテレビ画面に映し出される中、空港職員はクッキーと金を積んだ飛行機が離陸するのを眺めていた。結局は上級将校が介入してきたのだった。そして不吉な予感が走った。
事情に直接詳しい情報筋によると、密輸品を発見した職員の一部は転属となり、地方に飛ばされたり、軍の予備部隊に派遣されたりした。
「みな自分の仕事をしたがために代償を払うことになった」とその情報筋はCNNに語った。
引用:CNN
なかなか興味深いルポルタージュだ。
日本では邦人救出の話ばかりが注目されたが、スーダンの状況はウクライナを含めた世界の紛争がつながっていることを示している。
私たちの知らないアフリカの国々で、ロシアや中国が何をやっているのか?
CNNのレポートはその氷山の一角を捉えたものに過ぎないのだろう。
西側の経済制裁に耐えるロシアの抜け道は私たちの目に見えない世界の隅々に張り巡らされているようだ。