<吉祥寺残日録>ミサイルとロケットとドローン!「専守防衛」のために必要な装備とは? #220606

ウクライナの首都キーウにロシア軍の巡航ミサイルが打ち込まれた。

キーウ周辺ではロシア軍が撤退して以来、比較的安定した状態が続いていたが、NATO各国がウクライナへのさらなる最新兵器の供与を決め、中でもアメリカが提供を決めた高機動ロケット砲システム「ハイマース」に危機感を募らせ、鉄道の関連施設を攻撃したと見られている。

キーウに打ち込まれたのはカスピ海上空を飛行する爆撃機から発射された巡航ミサイルだという。

現代の空爆は危険を冒して敵の領空に侵入しなくても長距離から精度の高い攻撃ができるということだろう。

北朝鮮も昨日またミサイルの発射実験を行ったが、今年に入って繰り返し行われている新型ミサイル開発のための実験とは少し様子が違っていた。

なんと4か所の地点からほぼ同時に8発のミサイルが発射されたのだ。

同じ標的を複数の場所から同時に攻撃することによって、迎撃を困難にする「同時着弾射撃」の訓練ではないかと専門家は指摘する。

北朝鮮のミサイルもすでに開発の段階から運用のレベルにまで進んでいるということだろうか。

韓国で保守系政権が誕生したことで、北朝鮮への対応もだいぶ違ったものになってきている。

8発のミサイル発射を受けて直ちに国家安全保障会議を招集し、「韓国の新政権初期の安全保障体制を試すものであり新政権への挑戦」として糾弾するとともに、「北のいかなるミサイル挑発も即時に探知・迎撃できる連合防衛能力と態勢を確認した」と韓国の防衛能力の高さを強調した。

そして今朝、米韓合わせて8発のミサイルを日本海に発射し、力には力で対抗する姿勢を見せた。

韓国とアメリカは今月2~4日、沖縄東南の公海上で米海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」を投入した共同訓練を実施した。

これも韓国の政権交代を象徴するもので、これに北朝鮮が反発したとも受け止められている。

米韓の共同訓練に原子力空母が参加するのは2017年11月以降、4年7カ月ぶり。

朝鮮半島の緊張は今後ますます高まることが予想される。

一方、ウクライナよりも北朝鮮よりも昨日私が気になったのが、中国の有人ロケット打ち上げ成功のニュースだ。

北京時間の2022年6月5日10時44分、有人宇宙船「神舟14号」を搭載したキャリアロケット「長征2号F遙14」が、酒泉衛星発射センターで予定時間に正確に点火されて打ち上げられ、陳冬氏、劉洋氏、蔡旭哲氏の3人の宇宙飛行士を順調に宇宙へと送り届けた。飛行状況と乗組員の状態は良好で、打ち上げは成功した。

これより前の報道によると、3人の宇宙飛行士がコアモジュールに入り、軌道上に6ヶ月滞在する。神舟14号の乗組員は地上と協力し宇宙ステーションの組立・建設作業を行い、単一モジュールコンビネーション飛行から徐々に3モジュールコンビネーション飛行状態を完成させる。神舟14号の乗組員はさらに初めて実験モジュール「問天」「夢天」に入り、有人環境などを構築する。また、神舟14号と15号の乗組員が初めて軌道上での交代を実現し、共に宇宙ステーションに5−10日間滞在することで、連続有人滞在を実現する。

引用:人民網日本語版

いつの間にか、中国の宇宙技術はすごいレベルに到達している。

宇宙開発の歴史を振り返れば、冷戦時代、米ソが国家の威信をかけて巨額の予算を投じて宇宙への進出を競ったが、ソ連崩壊とともにそのエネルギーが失われてしまった。

日本も宇宙の平和利用を早くから推し進めてきたが、軍事予算と切り離されているため長くやっている割に手工業的な段階に留まっていて、中国が「宇宙強国」を目指し始めたこの10年であっという間に追い越されてしまった。

技術的に難しいとされる月の裏側への着陸や火星探査など、その技術の向上は目を見張るほどで、今度は単独で宇宙ステーションを完成させようとしている。

中国の宇宙開発は日本のようなフワッとした「平和利用」目的ではなく、軍事的な目的と資源確保などの経済的な目的が明確だ。

アメリカの宇宙開発が民間主導で「宇宙旅行」の方向へと向かう中で、中国だけが虎視眈々と宇宙の軍事利用を推し進めているように見える。

実は、ウクライナ問題が宇宙開発の分野にも影を投げかけている。

現在日本も参加して運用されている国際宇宙ステーション(ISS)はロシアも加わった国際的なプロジェクトだ。

しかし欧米からの制裁に反発したロシアはISSからの離脱もちらつかせている。

ウクライナ侵攻後の3月、ロシアはイギリスから受注していた通信衛星の打ち上げを突如拒否した。

英ワンウェブ社が予定していたのは、648基の小型衛星を打ち上げて巨大な通信ネットワークをつくり、インターネットサービスの提供するという計画で、イギリス政府やソフトバンクも出資していた。

こうした軋轢は、宇宙が今後ますます安全保障上欠かせない重要な分野になりつつあることを示している。

ここにきてミサイルやロケット技術が急速に進歩し、民間企業も宇宙ビジネスに進出するようになった背景には、ドローンなどでも使われている姿勢制御技術が汎用品になったことも影響しているのだろう。

ウクライナの戦場でも、アメリカやトルコの高価な軍事用ドローンだけでなく、安価な民生用ドローンが大活躍しているという。

上空から敵の配置を監視し、場合によっては自爆用にも用いられる。

小さなドローンは探知や迎撃も難しく、それを大量に導入することで戦車などの旧来型兵器よりも強力な兵器となりうるのだ。

そして民間ドローンの最大手「DJI」は中国の企業であり、世界シェアの7割を握っているとされる。

こうした世界の軍事環境の変化の中で、心配になってくるのは日本の防衛装備のあり方だ。

日本は戦後一貫して「専守防衛」を貫いてきたが、そのためミサイル・ロケット・ドローンという分野は甚だ弱い印象がある。

自衛隊の装備も戦闘機やイージス艦、戦車といった重装備ばかりが注目され、ウクライナで注目された「ジャベリン」のような携帯式の最新兵器について自衛隊が保有しているのかほとんど報道されることがない。

先日の日米首脳会談で、岸田総理は防衛費の大幅増額を約束したが、問題となるのは時代に合わせた装備の見直しだろう。

自民党内ではにわかに「反撃能力」、すなわち敵基地攻撃能力の議論が活発化している。

侵略から国を守るためには何が必要なのか?

単に威勢の良い主戦論ではなく、しっかりとした戦術的な分析を踏まえた「専守防衛」議論をおこなって、国民的なコンセンサスを作り直すことが必要だと思う。

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