<吉祥寺残日録>ゴジラ雲とメガネと菅政権1ヶ月 #201016

朝起きると、東南の空に奇妙な雲が浮かんでいた。

等間隔で並んだ波のような雲。

これって最近話題になった「ゴジラ雲」に似ている・・・と思った。

こちらが、今年の夏、青森県で撮影された「ゴジラ雲」。

地に足がついているので、確かにゴジラが行進しているように見える。

これに比べると、私が見た雲はゴジラとは言い難いが、それでも現象としては同じだった気がする。

そこで調べてみると、どうやら「ケルビン・ヘルムホルツ波による雲」という現象のようなのだ。

「ケルビン・ヘルムホルツ不安定性」とは、密度の異なる流体が、お互いに異なる速度で水平運動するときに発生する流体の不安定性のことで、この雲の場合には、雲の上と下で風の速さが違っていて、風の流れが乱れて波を打ったような雲ができるらしい。

ちょっと珍しいと思い、私が写真を撮っていると、先に起きた妻もその雲の写真を撮ったという。

お互いそれだけ暇になったということだが、こんな日々も決して悪いことではない。

明日の土曜日は朝から一日中雨だというので、午前中に井の頭公園を軽く走る。

空気はずいぶんひんやりしてきていて、木の葉もだいぶ秋色になってきた感じだ。

天気予報では今日は一日中どんよりとした空模様だと言っていたが、公園で体をほぐしている間に頭上には青空が広がってきた。

中にはすっかり紅葉が進んだ木もあって、青空をバックに赤い葉が輝いて見えた。

とはいえ、公園のほとんどの木は、まだ緑色のままだ。

一口に紅葉といっても、樹木によって葉を落とす時期はかなり違う。

この赤く変色した木は、何という木なのだろう?

この機会に、井の頭公園の生えている木々の名前や特徴を、一つずつ覚えてみようと思い立った。

井の頭池の周囲には、グリーンアドベンチャーという仕掛けがあって、クイズ形式で植物の名前を知ることができる。

どうせ吉祥寺で過ごす時間が長いのだ・・・今年の秋から早速、井の頭公園の自然について勉強しようと決めた。

さて、今日は、先日注文した手元用メガネのレンズが入荷する日。

昼すぎ、これまで使っていたメガネを持ってお店に行き、2時間後に左目だけ新しいレンズに交換してもらったメガネを受け取って帰った。

これで、白内障手術に伴う一連の作業は終わったことになる。

今もそのメガネをかけてブログを書いているのだが、まあ多少は見易くなった気がする。

でも、右目をつぶって左目だけで見た時には、少しぼやけて見える。

「よく見えるようになった」とはっきり書けないのはそのせいだ。

先日お店でレンズ選びをした際にも違和感を感じ、スタッフの人に訴えたのだが、「右目が効き目なので、このぐらいがいいんです」と言われ、「それならば」と納得したのだが・・・。

左目は白内障の手術で人工レンズになったため、レンズの厚みを調整する機能を失っている。

だから、本来の人間の目のように瞬時にピントを合わせることができなくなったのだろうと理解しているが、どうも今一つすっきりしない。

とはいえ、大きな支障はないので、まずは慣れるしかないのだろう。

さてさて、そんな金曜日、早いもので菅政権発足から1ヶ月を迎えた。

政権の正体は、私のメガネ同様、まだはっきりしない印象だ。

携帯料金の値下げを筆頭に、政府のデジタル化、不妊治療や待機児童問題への取り組みなど、国民生活に関係の深い分野で素早い対応をしている点は高い支持率となって表れている。

菅さんが中心になって推し進めてきた一連の「GO TO キャンペーン」も、懸念されたほどの感染爆発は引き起こしておらず、これまでのところ好意的に受け止められているようだ。

その一方で、日本学術会議の任命問題では、6人のメンバー入りを否認した理由を説明せず、逆に行政改革の問題にすり替えようとしている。

総理や政権の負の部分が露呈しているのだろうか?

今日、問題発覚後初めて、日本学術会議の梶田会長と会談した菅総理だが、6人の否認理由については明らかにしなかった。

政権を批判する者は排除する。

安倍政権が持っていた右寄りのイデオロギーを継承し、都合の悪いことは一切説明せず、人事権を行使して強行突破する。

それが菅政権の基本方針だとすれば、国民受けする政策で目先を誤魔化そうとする極めて危険な政権と判断せざるを得ないだろう。

一方で菅総理は、安倍路線の単なる継承ではなく、独自色を強めようとしているようにも見える。

私が一番注目したのは、今日発足した「成長戦略会議」である。

安倍政権が立ち上げた未来投資会議を廃止して成長戦略会議に衣替えしたのだが、そこには菅総理のブレーンとされるデービッド・アトキンソン氏らが加わった。

元ゴールドマンサックスのアナリストだったアトキンソン氏は、インバウンド政策や観光立国を立案した中心人物で、菅さんが中心となって推し進めてきた外国人観光客の誘致成功によって各省庁に強い影響力を持っている。

さらに、未来投資会議から居残る形で、竹中平蔵氏や三浦瑠璃氏も成長戦略会議のメンバーに選ばれた。

民間委員の数は、未来投資会議の15人から8人に絞り込んでいて、この組織が今後の菅カラーを作っていく要となるのだろう。

こうした菅政権のブレーンのリストが日本経済新聞に出ていたので、今日はそれを拝借するに止め、まずは今後の推移を見守りたいと思う。

もう一つ、今日気になる会議があった。

政府のデジタル化については、平井卓也デジタル担当相、河野太郎行政改革担当相、小此木八郎国家公安委員長の3大臣が集まって、運転免許証をマイナンバーカードと一体化させる方策を議論したという。

運転免許証がデジタル化されれば、マイナンバーカードの普及は一気に進むだろう。

行政の効率化という観点では、当然あるべき方向だとは思うが、一方で大きな懸念もある。

デジタル化の先頭に警察庁が出てくることで、中国のようなデジタル監視社会へと進んでいくのではないかとの不信感だ。

あらゆる個人情報を一元管理するデジタル政府の実現にとって、最も重要なのは、政府に対する信頼である。

日本学術会議から政府批判をした者を排除したり、中曽根元総理の葬儀に当たって国立大学に弔意の表明を求める通知を行ったり、そんなニュースを聞いていると、政府に対する警戒心がどんどん生まれてくる。

日本が目指すべきは、中国型の監視社会ではなく、国民に信頼される透明性の高い北欧型のデジタル政府である。

メディアはもっと、北欧諸国がどのようにして透明性を担保しているのか、その具体例を取材し我々に提示してもらいたい。

もし菅総理が目指しているデジタル政府が、効率的だが統制色の強い政府であるならば、非効率なアナログ政府のままの方がずっとマシである。

デジタル化は使い方によって、毒にも薬にもなりうるのだから・・・。

菅総理にまず求めたいのは、説明責任。

安倍さんとの違いを是非見せて欲しいものである。

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