予想されていたこととはいえ、新型コロナウィルスの日本国内での感染者数が累計で1000万人を突破した。
それでも最初の感染者が見つかってから約2年半でようやく日本人の10分の1弱が感染したということで、欧米に比べれば驚くほど少ないし、100年前のスペイン風邪と比べてもその被害は限定的と言えるだろう。

まず考えられる理由としては、早い段階から徹底した行動制限が行われ、多くの国民が文句も言わずに家に引きこもったこと。
海外のように罰則があるわけでもなく、軍や警察が取り締まるわけでもないのに、みんなが政府の決め事を真面目に守る、これを「同調圧力」と呼ぶ人もいるが、日本人らしい「自律」の精神だと私は考える。
「自律」によって自ら行動を制限していた人たちも、そろそろコロナも終わりだろうと考え、もそもそと動き始めたのが今年の動きだ。
私も自らの判断で引きこもり生活をやめることにした。
そのせいか、「BA5」への置き換わりによって第7波と呼ばれる過去最大級の波がやってきても、人々はこれまでのように行動を制限しようとしてはいない。

今日の東京の新規感染者数は1万9059人。
過去最多だった第6波の1日2万1562人を超えるのは時間の問題だ。
1週間で2倍以上に増える傾向が続いていて、来週には1日3万人の声も聞かれるかもしれない。
全国でも感染が広がっていて、今日1日の新規感染者は10万人を超え過去最多に迫った。
ただ重症者の数はまだそれほどでもないため、政府は「現段階では行動制限などは考えていない」と繰り返している。

政府は今日「新型コロナ感染症対策本部」を開き、第7波に対する新たな対策を決定した。
当面は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による行動制限は課さず、検査やワクチンの4回目接種の対象拡大で対応する。お盆など夏休み期間に備えて8月5~18日、全国100カ所に臨時の無料検査場を設ける。これまで60歳以上などが対象だったワクチン接種は医療従事者らに広げる。
引用:日本経済新聞
これまで運よくコロナの苦境を逃れてきた岸田総理。
経済を回したいという気持ちはわかるが、果たしてどこまで耐えられるのか?
8月には再び「まん延防止措置」か「緊急事態宣言」に追い込まれる可能性が高いのではないかと私は見ている。

とはいえ、私自身は「自律」の精神でポストコロナの行動様式に徐々に移行することを決めているので、政府の方針がどうなろうとあまり影響は受けないのではないかと思っている。
この連休は三男夫婦が遊びに来る予定で、一緒に畑仕事を楽しむ予定だし、連休明けには東京に戻って友人たちとのゴルフの計画も入っている。
来月初めには中学生の孫が初めて一人で岡山まで来るというので、普段できないような男同士の話をするのがとても楽しみだ。
9月にはブドウの収穫があるし、10月には大学時代の仲間たちと北海道旅行の計画もある。
それ以外にも気の向くままに旅行やゴルフに出かけるつもりだ。

そういえば、今月末には4回目のワクチン接種の予約を入れていることを思い出した。
私は今回帰省する前に予約を入れてきたのだが、ここにきての感染急拡大によりワクチンの予約を取るのが難しくなっているとも聞く。
私の妻は3回目接種の後に不眠症になったため、4回目の接種はもう受けたくないと言っている。
それにしても、国産ワクチンや国産の治療薬はいつになったらできるのだろうか?
塩野義が開発したコロナ治療薬は2月に承認申請したまま未だに承認される目処が立たない。
一方で塩野義はこの薬は今流行中の「BA5」にも有効だと発表したりしている。
日本の薬事行政の闇にも、そろそろメスが入ってもいい頃だろう。
「岸田さん、少しは仕事をしろよ」と言いたくなってくる。
日本で急拡大しているオミクロン株の「BA5」は、欧米では以前から置き変わりが進んでいて相当の感染者が出ていると見られるが、最近欧米のメディアを見てもほとんど記事になっていない。
累計の感染者は9000万人、コロナで100万人以上の人が死んだ世界一の感染国アメリカでは、人々は感染が拡大してもすっかり日常生活を取り戻し、この夏にはバカンス客による航空機の需要が非常に高まり、航空運賃がかつてないほど値上がりしているという。
過去2年間、夏休みを棒に振った人々の気持ちはもう抑えが効かないようだ。
ちなみに、コロナによる累計の感染者数のランキングは当初とあまり変わっていない。
- アメリカ 9091万人(死者104万人)
- インド 4369万人(死者52万人)
- ブラジル 3307万人(死者67万人)
- フランス 3267万人(死者15万人)
- ドイツ 2946万人(死者14万人)
- イギリス 2288万人(死者18万人)
- イタリア 1977万人(死者17万人)
- 韓国 1864万人(死者2.4万人)
- ロシア 1847万人(死者38万人)
- トルコ 1518万人(死者9.9万人)
- スペイン 1303万人(死者10万人)
- ベトナム 1075万人(死者4.3万人)
- 日本 990万人(死者3.1万人)
これは7月14日段階の統計なのだが、日本は感染者数で13位、そして昨日ついに累計の感染者数が10万人の大台に乗った。
この数字を見て印象的だったのは、いつの間にかお隣の韓国が8位に浮上していることだ。
しかし死者の数は日本よりも少ない。
これはおそらく、検査数が日本より圧倒的に多いからだろう。
要するに無症状の人が検査を受けなければ数字には反映されないので、感染者数を比較してもあまり意味がないということだと私は理解している。
徹底した「ゼロコロナ政策」で世界と一線を画する震源地の中国は、累計の感染者数が22万人、死者は5200人あまりでランキングは110位となっている。
2ヶ月に渡ってロックダウンが続いた上海では全ての住民に対して度重なるPCR検査が実施され、国全体の検査数は日本の数百、数千倍、ひょっとすると数万倍の数が実施されているだろう。
それでも習近平さんの鶴の一声でウイルスをここまで抑え込んでいる組織力は、有事の際の中国の力を見せつけている。
阿部さんの死が日本人の愛国心と国防意識を高めているように見えるが、この人権のない超大国と本気で事を構えることを考えるならば、日本人は今味わっている自由は捨てる覚悟が必要だと思う。
考えるだけで恐ろしい。

しかしさしもの中国も、最大都市上海を2カ月間ロックダウンした影響は大きく、15日に発表された4〜6月期のGDPは前年同期比0.4%の伸びに止まった。
これはコロナ発生時のマイナス成長に次ぐ2番目に低い数字であり、今後BA5が流行しても「ゼロコロナ政策」を堅持するとすれば、中国経済の減速がいよいよ本格的に始まるかもしれない。
そして中国がくしゃみをすれば世界経済が風邪をひき、日本企業も当然大きな打撃を受けることになる。
コロナの死者数よりも、世界恐慌による死者数を気にした方がいい、そんな段階になりつつあるようにも感じるのだが、果たしてどうなるのだろう?