アメリカ下院は、トランプ大統領を弾劾訴追する決議案を可決した。
1868年のアンドリュー・ジョンソン大統領、1998年のビル・クリントン大統領に次いで、弾劾訴追を受ける3人目のアメリカ大統領となったのだ。
民主党急進左派の暴発を押さえ込んで、ペロシ下院議長は何とか弾劾訴追まで持ち込んだ。
でも、この高揚感のなさは何なのだろう?
攻める側も守る側もすべては来年の大統領選挙をにらんだ損得だけで動いていて、上院で無罪となることは織り込み済みだ。
トランプ政治が正面から裁かれることなど、まったく想定されていないのだ。
トランプさんは相変わらず支援者を集めて地方遊説。
「不法かつ憲法違反で党派の偏った弾劾により、何もしない民主党は、米国の有権者に対する深い憎しみと侮辱を宣言した」と、民主党を厳しく批判した。
それにしても、トランプさんはいつも地方遊説をしている印象だが、歴代大統領もこんなに自分の選挙キャンペーンばかりやっていたのだろうか?
あっという間にボロを出すと思われていたトランプさんは予想外にしたたかで、政治家が苦手な経済運営で自らの岩盤支持層を日に日に固めていった。
アメリカ経済は絶好調。株価は市場最高値を更新中だ。
経済が好調な間はトランプさんの岩盤支持層は揺らがない。アメリカ人の多くは外国にはまったく興味を持っていないと言われる。海外に行ったことがないというアメリカ人も多いらしい。ちょっと意外な感じもするが、自分の利益至上主義はアメリカンドリームの一つの側面なのだろう。
それでも、貧富の格差が極限まで広がると、大きな社会変革が起きるというのが、歴史が教えるところだ。
世界で初めて共産主義革命が起きた帝政ロシアは、皇帝を頂点とする絶対主義国家だった。イスラム革命が起きる前のイランは、パーレビ国王が絶対的権力を握る中東の世俗国家だった。
資本主義の総本山であるアメリカでも、若者を中心に社会主義者が増えているという。
トランプ政治が続く限り、その数は増え続けるだろう。
ひょっとすると、アメリカで社会主義革命が起きる未来というのも、まったく可能性ゼロではないのではないか、最近そんな気がしている。
鍵を握るのは世界経済の動向だ。
この好景気がいつまで続くのか?
それが終わった時、世界で起きることは、ひょっとすると我々の常識を打ち破るかもしれない。