シリア攻撃

何かとても唐突感のある攻撃だった。

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アメリカがシリアを攻撃した。地中海の軍艦からシリアの空軍基地に59発の巡航ミサイル「トマホーク」を発射したのだ。現地時間の午前4時40分。トランプ大統領は、この基地はシリア軍による化学兵器を使った空爆に使われたと主張し、今回の攻撃によってアサド政権の化学兵器使用能力の弱体化に成功したとしている。

シリアのアサド政権に対し、アメリカが実施した初の攻撃となる。

シリア政府は、この攻撃により6人が死亡したと発表した。アサド政権も、それを支援するロシアも今回の攻撃を激しく非難している。この先、何が起きるのか、事態は一気に流動化した。

トランプ大統領は、攻撃後、こんな声明を発表した。

『 米国民の皆さんへ

シリアの独裁者バッシャール・アサドは火曜日(4日)、神経剤を使った恐ろしい化学兵器攻撃を罪のない市民に行った。男女や子供を窒息させ、多くの人々をゆっくりと残酷な死に至らしめた。かわいい赤ちゃんまでもが野蛮な攻撃で犠牲になった。どんな子供に対してもそのような恐怖を与えてはならない。

私は今夜、化学兵器攻撃を行ったシリアの空軍基地への攻撃を指示した。化学兵器の使用と拡散を防ぐことは米国の安全保障上、非常に重要な国益だ。シリアが禁止された化学兵器を使ったことに疑いの余地はない。化学兵器禁止条約で定められた義務を侵し、国連安全保障理事会の要求を無視した。

アサドの行動を変えさせる過去数年の試みは全て、劇的な失敗に終わった。結果として難民危機は深まっている。地域の不安定化は続き、米国と同盟国を脅かしている。

今夜、私は全ての文明国に対し、シリアにおける殺りくと流血を止める米国の行動に参加するよう求める。あらゆる種類のテロを終わらせる。

困難な世界の課題に向き合っている我々に神の英知を求めたい。(アサド政権の化学兵器攻撃で)傷ついた人、亡くなった人々に祈りをささげる。米国が正義の側にいる限り、平和と調和が勝利することを願う。

米国と世界に神のご加護を。ありがとう。』

トランプ大統領にとって初めての軍事行動。どんな決定プロセスが取られたのか気になるところだ。過去のアメリカの軍事行動に比べて、唐突感が強い気がする。

それでも安倍総理は直ちに、「化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意を支持する」と表明した。

果たしてどこまでの情報があるのか。攻撃後のプランはどこまであるのか。甚だ気がかりだ。

大量破壊兵器の存在を理由にイラク攻撃に踏み切ったブッシュ大統領を思い出す。結果的に大量破壊兵器は見つからなかった。あの時の大量破壊兵器というのも、化学兵器だった。

似ている気がする。ただ、あの時の方がそこまでのプロセスがあった気もする。

トランプ大統領が、FOXニュースを見て、けしからんと言って攻撃を命じた。そんな事さえありそうな単純さを感じてしまう。

同時に、今回の攻撃が、中国の習近平国家首席のアメリカ訪問中に行われたのも偶然とは思えない。アメリカはいつでも軍事力を使う用意がある、というメッセージを伝える演出としてシリアを利用したという疑念が湧く。

明日も米中首脳は会談を行う。今回のシリア攻撃についてどんなやりとりがなされるのか。発表されることのないであろう会談の中身がとても気になる。

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