FANG・MANT

世界経済激動の予兆だろうか?

昨日のアメリカ市場で気になる動きがあった。アマゾンの時価総額が一瞬で4兆円失われたというのだ。世界の富をかき集める米IT企業。史上最高値に沸くウォール街に変化が起きるのか。気になる記事が日経新聞に載った。

永井洋一編集委員が書いた「アマゾン時価総額、一瞬で4兆円消失 米IT株に試練」という記事を引用させていただく。

『 米連邦準備理事会(FRB)の再利上げが確実視されるなか、アマゾン・ドット・コムや旧グーグル(アルファベット)といった時価総額が巨大な米IT(情報技術)株に試練が近づいている。

■米IT8社の時価総額340兆円

9日の米株式市場でアマゾンの時価総額が前日に比べ一瞬で4兆4000億円吹き飛んだ。8日時点の時価総額の8%、武田薬品工業1社分に相当する。すぐに半分以上を取り戻したが、「フラッシュ・クラッシュ(瞬間急落)」と大騒ぎになった。

証券会社のリポートを発端としたアップルの新型スマートフォンの発売延期観測がきっかけとされるが、「水鳥の羽音」にコンピューターの自動取引(アルゴリズム)が反応し、IT株やハイテク株全般に売りが出たのが真相のようだ。

QUICK・ファクトセットによると、フェイスブックやアマゾン、ネットフリックス、旧グーグルといったいわゆる「FANG(各社の頭文字をつないだ合成語)」にマイクロソフト、アップル、エヌビディア、テスラの「MANT」を加えたITの巨人8社の時価総額は合計3兆1000億ドル(約342兆円)。世界全体の時価総額の約4%を占めるまでになっている。うまみのある投資先が少なくなり、世界中のファンドマネジャーが殺到した結果だ。

似たような投資環境は40年以上前にもあった。成長株50銘柄にマネーが集中した1970年代初頭のニフティ・フィフティ(素敵な50銘柄)相場だ。コカ・コーラやIBM、ファイザー、ポラロイドなどは人気の裏返しでPER(株価収益率)が跳ね上がった。ジェレミー・シーゲル著「株式投資」によれば、「ニフティ・フィフティ銘柄の平均PERは41.9倍でS&P500種の倍以上」だったという。

■群集心理の裏に運用競争

金利上昇とともにニフティ銘柄は暴落した。短期金利(フェデラル・ファンド金利)は72年2月の3.29%を底に、73年7月には10.4%まで上昇した。売りは全般に広がり、その後、米国では株式投資を敬遠する時代が80年まで続いた。

ニフティ相場の原因を群集心理の一言では片づけられない。背景には年金マネーの膨張と運用競争の激化、そして証券分析が高度化し、市場のゆがみが少なくなった結果、ファンドマネジャーが市場平均には勝てないという「効率的市場仮説」の登場がある。だから誰もが上がった銘柄を買う、買うから上がるというバブルを生んだ。現代と通じる点だ。

70年代との違いはある。低成長で新市場の芽が少なくなり、一部の企業がテクノロジーや利益を独占する寡占化が「FANG・MANT」人気を演出しているという側面だ。そうであれば、潜在成長率の回復がみられない限り、フラッシュ・クラッシュは買いの好機と考える投資家も少なくないだろう。

ただし選別眼は必要だ。ニフティバブル崩壊以降、ファイザーは米製薬最大手に成長したのに対し、ポラロイドは市場から撤退した。過去1年以上に渡り、ナスダック総合指数が100ポイント以上下落した日は、ほぼ確実に米長期金利が上昇した日だった。予想PERはアマゾンが147倍、ネットフリックスは151倍だ。近づくFRBの利上げは、IT株をふるいにかける儀式になるかもしれない。』

「FANG」「MANT」という呼び方は知らなかった。ただその頭文字を提供している企業は知っている。時代を代表する代表的なIT企業ばかりだ。唯一日本ではあまり知られていない「エヌビディア」はAI関連企業で、株価は1年で3倍になった。

これらの企業が今世界経済を牽引していることは確かだろう。それにしても今の株価が適正かどうかはもう少し様子を見なければならない。

私も2年前、アマゾンジャパン社との仕事を経験した。会社に一歩踏み込んだ瞬間から、オフィスの雰囲気が日本とはまったく違う。一言で言えば格好いい。昔はテレビ業界も格好いいとされた時代があったが、その実態は徒弟制度そのものだった。しかし、IT企業は違う。クリエイティビティーを引き出すための自由な空間。最初に行った頃は、受付の周りがボルダリングができる壁になっていた。

世界の優秀な若者たちがこうたしIT企業で働くことに憧れ、シリコンバレーに集まる理由がわかった。そこには終身雇用の概念はなく、いずれ起業して自らの会社を立ち上げ、株を公開して瞬時で億万長者になるモデルが出来上がっている。

先月末アマゾンの株価が1000ドルの大台を突破したというニュースを見ながら、2年前もしアマゾンの株を買っていたら儲かっただろうなと思った。あれから2倍以上に上がっている。

しかし、こうした順風がいつまで同じ企業に吹き続けるのか。そろそろ潮目が変わるのではないか。そんな何の根拠もない予感が常に心の中に湧いて来る。その時は「FANG・MANT」だけでなく、世界経済が激しい逆流に呑み込まれる時だ。日本経済もただではすまない。

彼らが生み出したサービスを日々使わせてもらいながら、その素晴らしさに感心する日々。それがいつまで続くのか、心配のタネは尽きない。

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