<吉祥寺残日録>AmazonベゾスCEO退任!アナログな日本人にはデジタルは不向きなのか? #210204

Amazon帝国を一代で築いたカリスマ経営者ジェフ・ベゾス氏がCEOを辞めるという。

コロナ禍の巣篭もり需要でAmazonの四半期決算は3期連続で過去最高益を記録し、売上高は四半期として初めて1000億ドルを超えた。

文字通り絶頂期で身を引く形だが、現役を引退するわけではないらしい。

煩雑なAmazonの日常業務から少し離れて、2024年の月面着陸や宇宙コロニーなど新たな事業に注力するようだ。

ベゾス氏が思い描く未来の「宇宙コロニー」。

宇宙空間に円筒形の巨大構造物を浮かべ、太陽光を反射させる3枚のパネルを回転させて人工重力を作り出し、人類をそのコロニーに移住させる壮大な計画だ。

航空宇宙企業Blue Originの創業者であるBezos氏は2019年5月にワシントンDCで開催されたイベントで、人類の生活圏を地球外に拡大する計画を発表した。

 「私たちが太陽系に出て行けば、人類は太陽系に1兆の人口を抱えることが可能になる。それは1000人ものモーツァルトや1000人ものアインシュタインを擁することを意味する」「これは驚異的な文明になるだろう」と同氏は述べた。

引用:CNET JAPAN『ジェフ・ベゾス氏のスペースコロニー計画、ベースは70年代に発表の円筒コロニー』

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今や世界一の大富豪となったベゾス氏自身が宇宙人のようにも見えるが、ポジションに安住するのではなくどでかい夢にチャレンジする姿は格好いい。

どうしてこんな人物がアメリカ社会には生まれてくるんだろう?

その理由の一つは、多様性にあるように感じる。

ベゾス氏の両親は共にデンマーク移民の子孫だったが、幼い頃離婚し、母はキューバ移民の男性と再婚した。

その男性がベゾスという姓だったのだ。

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アメリカ経済の強さの源泉である「GAFA」は、世界中から優秀な人材をかき集めて、グローバル市場を支配する多国籍企業を作り上げてきた。

もちろん最大の武器は英語という世界言語だろうが、若い移民たちを受け入れることによって、人口ピラミッドの裾野を広げ、社会のダイナミズムを維持している点も見逃せない。

中でもAIやディープラーニングの技術者は、世界中で激しい争奪戦が展開されているという。

今や、ゴールドマンサックスなどの金融機関でも、従来のディーラーを首にして、優秀なITエンジニアを積極的に採用している。

なぜ日本はIT分野で敗れたのか?

見えてくるのは、日本企業の弱点である「グローバル」と「デジタル」である。

その現実と共にちょっとした希望を感じさせてくれる番組を見た。

BS1スペシャル「インド“世界最高の頭脳”を獲得せよ〜密着!就職面接会3日間」。

2019年に制作されたドキュメンタリー番組の再放送だったが、実に興味深かい現実を見せてくれた。

舞台となるのは、インド・コルカタ郊外にある「インド工科大学」。

この大学はインドの熾烈な受験戦争の頂点に君臨し、GoogleのCEOサンダー・ピチャイ氏など多くの優秀な卒業生を輩出している。

年に一度、この大学の学生を採用したいという企業による就職面接会が開かれるのだが、そこにはGAFAをはじめ世界の名だたる一流企業が集結する。

面白いのは、面接会は企業ではなく大学が主導し、大学が企業をランク付けして面接日を設定することだ。

初日の枠を得られれば優秀な学生を採用できる可能性が高まるが、内定した学生はそこで就職活動を辞めるので、後に回された企業は不利になる。

初日にはGAFAやゴールドマンサックスなど、破格の待遇を用意する超一流企業が顔をそろえるが、その中に一社だけ日本企業が含まれていた。

それは、「メルカリ」だった。

メルカリは積極的にインド人学生を採用していて、それが大学側に評価された。

メルカリで働くインド人社員には積極的にSNSで日本での仕事や生活について発信するよう働きかけ、インドでハッカソンを実施するなどして知名度を上げる戦略をとってきた。

さらに、若い採用スタッフは英語が堪能で欧米企業に劣らぬフレンドリーな対応で、インド人学生に接していた。

テレビで紹介されたメルカリ社内の様子も通常の日本企業とはまったく違って、多国籍の若者たちがカジュアルなスタイルで働いていて、もし自分が若かったらこんな企業で働いてみたいと思わせる自由さを感じられた。

2日目に登場した企業の中に、日本勢は2社。

「ヤフージャパン」と、もう一社はちょっと意外な「ビズリーチ」だった。

転職アプリの会社として急に知名度をあげた新興企業だが、外国人の学生にとっては「三菱○○」も「ビズリーチ」も同じ日本企業である。

むしろAI人材に特化した採用計画が大学にも学生にも評価されているようだ。

この番組は2019年の制作なので、その後「メルカリ」や「ビズリーチ」がどのような採用活動を行なっているのかはわからないが、日本を代表する老舗の大企業がその場にいないことが面白い。

日本人が漠然とイメージする企業価値は、海外から見ると全然違って見えるのだということに気づかせてもらった。

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インドではすでにコロナワクチンの接種が始まっている。

これに先立ってインド政府は「Co-Win」というデジタルプラットフォームを立ち上げた。

特筆すべきは、ワクチン接種に関してデジタル・プラットフォームの開発が進んでいる点だ。インド政府はデジタル・プラットフォーム「Co-Win」を開発した。インドは個人ID(通称:アダール、インド版マイナンバー)が人口13億5,000万人の大半に普及済みで、このアダールとひも付けることにより、優先接種対象外の人が抜け駆けて接種を受けるなどの不正を防ぎ、接種間隔・回数を適切に管理することが可能となっている。

また、政府は接種証明書をデジタルで発行する。各自が携帯アプリ上で政府が発行するデジタル証明書を閲覧表示できる。政府のクラウド上に発行する証明書で偽造は不可能だ。1回目の接種で暫定証明書、2回目の接種後に完全な証明書が発行される。レストランなどで提示するといった活用を想定している。1回目の接種後、一定期間(原則3週間)後に再度の接種日時を通知する機能もある。

出典:JETRO『デジタル活用し、新型コロナワクチン接種推進』

厳しい封鎖措置を導入した昨年には、封鎖開始から1週間後に感染追跡アプリ「アローギャ・セツ」を立ち上げたという。

その性能はともかくとして驚くべきスピードであり、13.5億人の人口を抱える巨大国家を動かすためにはデジタルの活用は避けて通れないのだ。

しかも、インドにはそれを可能にするデジタル人材が育っている。

中国も然りだ。

それに対して日本では、昨日またお寒いニュースが明らかになった。

厚生労働省が導入した接触確認アプリ「COCOA」のアンドロイド版が、去年9月から機能していなかったことが明らかになったのだ。

アップデートの際のミスとされるが、機能しかなった事実もさることながら、そのことに気づくのは4ヶ月以上かかったことの方が深刻である。

このアプリを開発した会社はどこなのかと調べてみたら、人材派遣会社「パーソル」の子会社「パーソルプロセス&テクノロジー」だった。

「パーソル」は官公庁に食い込んで公共事業を多く手がける企業の一つだ。

果たしてどれだけの技術力があったのか、私には判断できないが、官庁の側にも業者の能力を判断できる人材がいないだろうことは容易に想像がつく。

日本がデジタル社会に変貌するためには、開発者だけでなく発注者側にもデジタル人材が必要になる。

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日本人はもともと物事に白黒つけることを好まず、間を取ったり、あうんの呼吸を大切にしたり、ある意味では最もデジタルから遠い民族なのかもしれない。

いっそのこと、デジタル化で競うことを諦めて、日本人らしいアナログな、独自の文化力で生き延びる道を探った方がいいのではないか?

そんなことを感じるほど、コロナ禍でデジタル分野における日本社会のダメダメぶりが浮き彫りとなった。

いつまでも年寄りが社会を牛耳っていたのでは、先はない。

「メルカリ」や「ビズリーチ」のような若い企業が羽ばたけるように、せいぜい国を挙げて応援するべきなのかもしれないと感じた。

2件のコメント 追加

  1. dalichoko より:

    絶好調のときにトップを降りるってすごいですね。
    老いてなお立場に恋いこいとする日本のあの人と比べてもなお余りある潔さ。
    でもそれだけ私財を蓄積したから辞めるんでしょうから、創業者株主利益って絶大ですね。
    (=^・^=)

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