以前このブログでもご紹介したが、吉祥寺を代表する老舗ステーキハウス「葡萄屋」が昨日37年の歴史に幕を閉じた。

営業最終日の昨日、ランチタイムに店の様子を見に行くと、次々にお客さんが店内に入っていく。
なくなると思うと行きたくなる、それが人間の心理なのだ。

5月に閉店したフランス料理の「芙蓉亭」の時もそうだったが、これだけお客さんが来ていれば閉店することはなかっただろう。
長期の営業自粛を終え、営業を再開した6月の初め、私が「葡萄屋」でテイクアウトをした時の異様な静けさが忘れられない。
あの頃、もう少しお客さんが来てくれていれば・・・。

6月5日、突然の閉店が発表された途端、店には予約が殺到した。
6月18日の段階で、閉店する7月12日まで予約ですべていっぱいになったという。
それだけ、吉祥寺の人々から愛されたお店だっただけに、惜しまれる。

一夜明けて、今日の昼、再び「葡萄屋」を訪れると、店の入り口に青いテープが張られていた。
特に挨拶文のようなものは置かれていない。
あまりにあっけない老舗の閉店。
公式サイトをチェックしてみたが、そのトップページには「吉祥寺・本町でお待ちしております」といつもの挨拶が掲載されたままだった。

何度もお世話になったお店がなくなるのは寂しいものだ。
でも、吉祥寺の街を歩くと、今も少しずつ閉店を決めた空き店舗が増えている。

今日は、ダイヤ街のアーケードにあった回転寿司店「元気寿司」や・・・

油そばの人気店「ぶぶか」近くにあった台湾スイーツのお店「MeetFresh 鮮芋仙」が閉店しているのに気づいた。
東京都の感染者が増える中で、経営への影響は今もじわじわと広がっている。
そんな中、テレビで気になるニュースを目にした。
三味線の最王手メーカーが廃業を決めたというニュースだ。東京新聞の記事を引用する。
三味線の最大手メーカー「東京和楽器」(東京都八王子市)が8月に廃業することになった。近年の需要の低迷や昨年10月の消費税率引き上げに加え、新型コロナウイルスの影響が追い打ちをかけた。個人経営からスタートし、前身の会社を経て創業135年、邦楽界を支えてきた老舗の幕引きに、業界では激震が走っている。
出典:東京新聞「日本文化の危機、三味線の最大手「東京和楽器」が廃業へ 需要激減にコロナが追い打ち」

コロナの影響で、4月、5月は注文がゼロ。
これをきっかけに、80歳の代表は廃業を決断したという。
確かに、三味線が今後バンバン売れる時代が来るとは思はないが、逆に三味線を作る企業や職人がいなくなるというのは、日本文化の一つが消えていくということを意味する。
政府が支援するか、支援企業を探すか、クラウドファンディングで一般から資金を集めるか・・・。
いずれにせよ、何らかの対策が必要なのは間違いない。

吉祥寺の街は、今日も大勢の人で賑わっていた。
しかし、表面的な賑わいの裏で、新型コロナは確実に私たちの生活を蝕んでいる。
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