<吉祥寺残日録>岡山二拠点生活🍇人生初めての左官仕事!土壁の穴埋めをやってみた #220112

新型コロナの感染者が全国で1万人、東京で2000人を超えた。

オミクロン株の出現で感染者の急増は予想されたこととは言いながら、デルタ株の数倍の急ピッチだ。

そんな1月の寒い日、私は昨日に引き続き岡山で古民家に翻弄されていた。

朝6時すぎに目を覚ますと、妻がすぐに話しかけてきた。

「洗面所の巾木がおかしいんだけど、見てくれない」

昨日洗面台を交換するために床のシートを剥いだ際、床板が腐っているのが見つかり大工さんに板を貼ってもらったのだが、妻は今朝壁と床を繋ぐ巾木も腐っているのに気がついたというのだ。

これを放置したまま作業を進めてもらいたくないので監督役の水道屋さんに連絡するという。

妻はとにかく細かいことが気になるタイプで、なぜ床板だけ直して巾木はそのままにしたのか信頼していた業者さんにちょっとした不信感を抱いたらしい。

午前7時を待って妻が連絡を入れると、午後から来ること予定だった水道屋さんは他の予定を調整して朝からクロス屋さんを伴って来てくれることになった。

今朝は冷え込み、岡山でも雪が降ってきた。

昨夜から日本列島には強力な寒波が流れ込んでいるらしく、日本海側では風速40mの地吹雪となっているらしい。

妻の心配モードもオミクロン並に一気に高まったようで、昨日打ち合わせたばかりの工事の計画も振り出しに戻すと言い出した。

洗面所のクロスを剥いでみると床板が腐っていたように、築100年の古民家は気にし出すと問題が山積である。

シロアリ被害がひどい奥の和室の床を作り直し、押し入れだった場所にトイレとクローゼットを作ってもらうことにして見積もりをお願いしたばかりなのに、こちらからお願いしたそのプランもやめるという。

トイレを作る打ち合わせの際に、業者さんから換気の話が全く出なかったのが気になり出したようだ。

押し入れの中を確認したいから、古い和箪笥を運び出したいと妻は言った。

飾り金具がついた古い和箪笥、おそらく私の祖母か曽祖母の嫁入り道具だったのだろう。

まだ夜も明けない朝っぱらから、二人で重い箪笥を引きずるように土間まで運び出す。

箪笥を運び出して空になった押し入れは、予想したほどには傷んだ印象はなかった。

しかし、妻はお金をかけてトイレを新設する気がすっかり萎えてしまったらしく、シロアリに食われてべこべこになった敷居や畳の部分だけ補強してもらい、大掛かりな工事は取りやめることになった。

女心と秋の空。

私としては、妻の強い意向に従うしかない。

ただ妻の言うこともまんざら根拠がないことではなく、改めて古民家の柱を観察してみると、全体的に傾いていることに気づいた。

仏壇と柱の角度のズレを横から見れば一目瞭然だ。

他の柱も全て、家の玄関方向に傾いている。

100年という時間の経過の中で、家全体の歪みはもはや隠しようもない。

どこまでお金をかけて古民家を修繕するのか、妻が言う通り、いったん立ち止まってよく考え直した方が良さそうだ。

水道屋さんは、午前9時にクロス屋さんを伴ってやってきた。

妻が気になった巾木の話をすると、水道屋さんはちゃんと認識していて、もしこれを本気で直そうとすると壁紙を剥いで壁板全体を取り替える必要があると説明した。

巾木が傷んでいても部屋の強度には問題なく、洗濯機の裏に隠れてしまうので、ここは我慢して将来壁の工事をする際に直すのがいいと妻に提案した。

妻もようやく納得し、予定通り床のクロス貼りと洗面台の取り付け工事が始まった。

水道屋さんは本来午後から来て洗面台を取り付けてくれることになっていたが、妻が文句を言ったことで朝からやって来て、おかげで昼頃には洗面所の工事は全て終わった。

奥の和室のリフォーム工事についても私たちの気が変わったことを伝え、工事の規模は1日で大幅に縮小したのだ。

業者さんが帰った後、私は眠くなって少し昼寝をした。

起き抜けから妻の愚痴を聞き続け、疲れてしまったのだろう。

そんな私をよそに、妻は精力的に家の片付けに動き回っていたらしい。

私もいつまでも昼寝している雰囲気ではない。

私は納屋から使い古しの銅製の洗面器などを持ち出して、以前から気になっていた土壁の穴を塞ぐ作業を始めた。

使ったのは、ホームセンターで購入していた補修材。

「しっくい・モルタル・セメントのカベ・穴うめ補修材」という製品だ。

屋内外で使え、水を加えて練るだけで簡単に使えると説明書きには書いてある。

しかし私は人生で一度も左官仕事をしたことがなく、全くイメージが湧かない。

これらは、納屋の掃除をしていた妻が見つけた左官こて。

大小いくつか種類があった。

伯母が使っていたものか、さらにご先祖様が使っていたものかはわからない。

ただ、左官こてと一緒に使う板「こて台」は見当たらなかった。

でも素人は素人らしく、納屋にあった道具を適当に使って我流で土壁の穴を補修してみることにした。

製品の箱に書かれた説明を読みながら、まずは補修材の白い粉末を銅製の洗面器に出す。

粉を吸い込んだり目に入ったら危険だと箱に書いてあったので、マスクとゴーグルをかけて粉が舞い散らないよう注意しながらの作業だ。

一箱分の粉に水220ccを加えると書かれていた。

最初に100ccほど水を入れて、木切れで混ぜ合わせる。

まだ粉っぽく、水を含んだ粉がダンゴ状になるのでそれを木切れで潰していく。

さらに少しずつ水を加えて練っていくと・・・

おお、それっぽくなってきた。

高校の美術で使った石膏のような感じだ。

220ccの水を全部加えたところで、ちょうど良さそうな滑らかさになった。

これを洗面器から直接木切れを使って土壁に開いた穴に押し込んでいく。

少し深い穴なので、白い補修材はどんどん奥へ入っていって、少し下に垂れてくる。

それをすくい上げながらさらに補修材を押し込み、最後に左官こてを使って表面をならしていく。

5分ほどで穴は埋まった。

これが私の左官仕事第一号である。

プロの左官さんのようには当然いかないが、それでも穴はほぼ塞がった。

どうせこの壁の前には、今朝押し入れから引っ張り出した和箪笥を置くつもりで、穴はその陰に隠れる。

とりあえず、妻が気にする穴が埋まればそれでいい。

補修材がまだ半分ほど残っていたので、物置にできた別の大きな穴にも使ってみることに。

余った補修材だけでは全然量が足りないが、とりあえず残っていた分を全部穴に押し込み、そこに崩れ落ちていた土の破片を貼り付けていく。

どうせ人目につかない物置の中、外から動物が侵入してくるのを防げれば十分だ。

作業を終えて、使った左官こてや洗面器を洗う。

案外簡単に水で洗い流せたので、後始末は簡単だった。

今日の出来はいかにも素人だったが、こうした作業を繰り返していけば、いずれ左官こての扱いにも慣れて、汚れた漆喰の壁を自らの手で塗り直すこともできるようになるかもしれない。

古民家の再生には、やはりDIYがお似合いだ。

妻の反対で、欲しい電動工具がなかなか買えないが、少しずつ説得して道具を揃えていきたい。

プロにリフォームを依頼するのは簡単だが、これまでやったことのなかった手作業に挑戦し、スキルを一つ一つ身につけていって、自分で少しずつリフォームしていく方が圧倒的に楽しい。

結果が美しくなくても、愛着は湧くだろう。

妻の気まぐれに振り回された1日だったが、日曜大工への熱意を大いに高めた1日だったと言ってもいい。

果たして、怠け者の私がどこまでできるようになるか、自分自身とても楽しみになってきた。

<吉祥寺残日録>車のバッテリー充電とバキュームカー #211223

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