<吉祥寺残日録>中国の「一帯一路」にも打撃か?スリランカの“革命”に感じた「諸行無常」 #220714

6月中に異例の早さで梅雨明けが発表されたものの、今月に入って日本各地で雨が降り続いている。

岡山は今日も朝から雨である。

今年は6月に太平洋高気圧が異常に強くなり梅雨前線を北へ押し上げて過去に例のない猛暑日が続いた。

気象予報士の中には梅雨が戻ると予想する人もいたが、あまりの暑さに気象庁もたまらず梅雨明けを発表したのだが、AIの時代になっても天気はまだまだ人間の思い通りにはならないものだ。

思い通りにならぬといえば、新型コロナウィルスも人間様の都合通りには消えてなくならない。

オミクロン株の「BA5」という型が世界的に流行し、日本でも先週あたりから倍々ゲームで感染者が急拡大している。

東京では2日連続で1日の感染者が1万人を超え、西日本では過去最高を記録する自治体も目立ち始めている。

今のところ感染者数に比べて重症者はそれほど増えておらず、医療機関もまだ逼迫していないので政府は当面行動制限を行うつもりはないと言っているが、この調子で感染が広がれば来週には過去最大の感染状況になるのは間違いないだろう。

この大流行が参院選の前であれば、票の行方にも影響したかもしれないが、そういう意味でも岸田さんは運がいい。

今月にも開始する予定だった「GO TO トラベル」に代わる「全国旅行支援」を秋まで延期することを決めたが、「何もしない」岸田流で今回の流行を果たして乗り切れるのだろうか?

権力者の思い通りにならないということで言えば、遊説中に射殺された安倍元総理もまさにその代表例だが、私は同じ時期に南アジアのスリランカで起きていた“革命”の行方が気になっている。

巨額の対外債務と物価高に対する市民の怒りが爆発し、道路を埋め尽くした群衆が大統領府になだれ込む映像は私に1986年フィリピンで起きた革命を思い起こさせた。

この時大統領はすでに避難していたが、ついに政権を投げ出して国外に脱出したという。

主人のいなくなった豪邸で自由気ままに振る舞う市民たち。

こうした光景もフィリピン革命の時と同じで、マラカニアン宮殿からイメルダ夫人の大量の靴が発見され話題となった。

独裁者というものは、いつの時代も同じような過ちを繰り返すもののようである。

日本人には馴染みのないスリランカの政治状況が報道で明らかになった。

亡命したゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は元軍人。

2005年から15年まで大統領を務めた兄のマヒンダ・ラジャパクサ氏のもとで、タミール人武装勢力を打倒し26年に及ぶ内戦を終結させた英雄だった。

この軍事作戦では、中国やパキスタンから巨額の軍事支援を受けたとされる。

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ラジャパクサ一族は大統領と首相、さらに閣僚の3分の1を身内で固めると共に、中国やインドなどから支援を受けて、空港や港、高速道路などの巨大プロジェクトを進めた。

スリランカは、習近平さんが進める「一帯一路」構想の重要なルートに当たっていたため、中国からも巨額の援助が流れ込み、マヒンダ・ラジャパクサ大統領時代に対外債務が急増した。

その陰でラジャパクサ一族による不正が横行し、内戦終結の英雄は腐敗した独裁者に変貌したのだ。

2015年の大統領選挙でマヒンダ氏が敗北するが、この時点で中国からの債務は膨れ上がっており、後を継いだ政権は中国に対し南部ハンバントタ港の99年間の運営権を中国側に渡す決断をする。

かつてアヘン戦争に負けた中国がイギリスに対して99年間の香港の統治権を渡したのと同じやり方を今度は中国が途上国に対して行ったわけで、「債務のワナ」という言葉が世界中で取り沙汰され中国に対する警戒心が一気に高まるきっかけとなった。

スリランカでの革命がどこへ向かうのか?

私にはとても気になる。

なぜならバンコク特派員時代、多数派シンハリ人と少数派タミール人による内戦を取材した経験があるからだ。

当時は首都コロンボでも頻繁にテロ事件が発生していたが、「インド洋の真珠」と呼ばれた仏教国スリランカに私はとても魅力を感じたものである。

革命は人々を高揚させ一時的な達成感をもたらす一方、その後の国の再建は容易ではない。

支援国が借金を棒引きにしてくれれば良いが、スリランカの場合、中国やインド、ロシアなどからの債務が多いようで簡単に交渉には応じてもらえないだろう。

20日には新たな大統領が決まる予定だとされているが、ひとたび混乱した社会を平穏な状態に戻すのは容易ではない。

そうしてスリランカの混乱が続くようであれば、外国に利用される隙がますます広がる。

ウクライナで西側諸国が手一杯の中で、誰がスリランカを助けるのか?

中国はスリランカ支配をさらに強めるのか、それとも隣国のインドの影響力が強まるのか?

資源高が長期化し今後スリランカのように経済的に破綻する国が増えることを考えると、この島国の行方は日本にとっても無関係とは言えないだろう。

<吉祥寺残日録>シニアのテレビ📺 NHKスペシャル「追跡・謎の中国船〜“海底覇権”をめぐる攻防〜」 #220628

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