<吉祥寺残日録>メーデーの「八十八夜」にシニア雇用と「ネガティブさん」について考える #210501

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今日から5月。

そしてゴールデンウィークの5連休初日ということで、午前中にジョギングに行くと、いつもは人が少ない西園のグラウンドでも多くの人が体を動かしていた。

妻に付き合ってスーパーに買い出しに出ると、案の定、たくさんの人が街を行き交っている。

「ステイホーム」の呼びかけなどどこ吹く風。

サンロードの「ミスタードーナッツ」の前には長い行列ができていた。

一体何を目当てに並んでいるのか見当もつかないが、多くの人が遠出を避けるゆえにゴールデンウィークの吉祥寺はますます混雑してくるのかもしれない。

さて、そんな今日5月1日が「八十八夜」に当たるということを、トイレの歳時記カレンダーが教えてくれた。

「八十八夜」といえば『夏も近づく八十八夜・・・』、子供の頃に歌った唱歌「茶摘み」を思い出すのだが、八十八夜の意味をこれまで気にしたこともなかった。

そこで改めて調べてみると、「八十八夜」とは立春から数えて88日目を示す雑節で、この時期に遅霜の被害が出やすいことから、農家に注意を促すために作られた日本独自の暦だという。

そういえば、先日再放送された「北の国から」の特別編でも霜被害で夜逃げする農家の話が出てきたが、一瞬にして農作物をダメにする霜という存在は、農家にとって昔から恐ろしい存在だったのだろう。

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また、5月1日と言ったら労働者の祭典「メーデー」でもある。

昔は代々木公園に幟旗を持った多くの労働者が集まった「メーデー」も、ソ連崩壊とともにあまりニュースでも注目されなくなり、最近では「連合」でさえ別日にメーデー中央大会を開くように多くなった。

今年は4月29日にオンラインで実施されたそうだが、若い世代の労働組合離れは著しく、労働者が団結して資本家と対決するなどという構図はすっかり時代遅れになってしまった印象を受ける。

現代社会で労働組合がまだ比較的元気なのは、フランスや韓国ぐらいではないか・・・。

かつての盟主ロシアはすでに社会主義国ですらなく、中国や北朝鮮では一応メーデーの式典を行いはするが、労働者は完全に共産党の言いなりである。

むしろ中国人にとって、今やメーデーとは5連休のお休みでしかなく、コロナ禍の今年も2億5000万人もの人が国内を移動すると予測されているそうだ。

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私も若い頃から労働組合の雰囲気が好きになれず、「メーデー」に関する知識も乏しい。

そこで少し調べてみたのだが、労働者の祭典としての「メーデー」発祥の地が実がアメリカだったという事実を知り、少なからず驚いた。

労働者の日としてのメーデーは、1886年5月1日に合衆国カナダ職能労働組合連盟(後のアメリカ労働総同盟、AFL)が、シカゴを中心に8時間労働制要求(8-hour day movement)の統一ストライキを行ったのが起源。 1日12時間から14時間労働が当たり前だった当時、「第1の8時間は仕事のために、第2の8時間は休息のために、そして残りの8時間は、おれたちの好きなことのために」を目標に行われた。

出典:ウィキペディア

先日、就任後初の議会演説を行ったバイデン大統領は、「中産階級」を重視する政策を実行すると宣言し、企業や富裕層への増税を目指す方針を明らかにしている。

各国が競って法人税減税やキャピタルゲインへの減税を実施したため、世界的に貧富の格差が拡大した。

バイデンさんの政策が実現し、日本を含む世界へと広がっていくのか?

二極化が進む今日、「働く者が報われる社会」へと流れが変わることを大いに期待して今後の推移を注目していきたいと思う。

日本では、厚生労働省が昨日、2020年度の有効求人倍率の平均を発表した。

前年度比0.45ポイント減の1.10倍、石油危機があった1974年以来過去2番目の大きな落ち込みだという。

まあ、コロナ禍で世界は一変したから仕方がない。

むしろ「世界的なパンデミックにもかかわらず、この程度の落ち込みですんでいるのは上出来かもしれない」などと思いながらテレビを見ていると、70歳までのシニア雇用延長の問題を取り上げていた。

景気が悪くなると、シニア雇用の延長が若者の就職の妨げになる可能性があると警告しているのだ。

これは重要な指摘だと思った。

既得権を持っているシニア層の雇用を延長すると、人件費の総額を引き上げ、企業とすれば新規の雇用を減らす判断に傾かざるを得ない。

私が62歳で会社を辞める判断をしたのもそれが一因で、私が辞めることで若者たちの雇用を少しでも守りたいという気持ちがあった。

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しかし、多くのシニアは自らのことを客観視しない。

「元気なうちは働き続けたい」というシニアが多いのだ。

中には、会社が自分の面倒を見るのは当然だと考え、会社が支払う報酬以上の価値を自分が提供できているかも考えずに「辞めてもすることがないから」という自己中な理由で会社に居座る人もいる。

もちろん、定年までに十分な蓄えができず生きるためには働かざるを得ない人もたくさんいるだろうが、ある程度の資産を持ち特に働かなくても年金で生きていけそうな人でも、会社にしがみつく人が多いのは困ったものだ。

年寄りの多い会社はどうしても活力が衰え、過去の成功体験を引きずり、進取の精神に欠けてくる。

世界的なデジタル化競争で日本企業が遅れをとっている大きな理由は、企業が高齢化していることと無縁ではないと私は心配しているのだ。

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食うに困っていないシニアには、会社にしがみつかず、さっさと楽しい「隠居」生活に入ることを勧めたい。

お荷物扱いされながら会社にいたって達成感は得られないだろう。

シニア雇用で待遇に文句を言っている年寄りほど格好の悪いものはない。

会社だって政府に言われて嫌々シニア雇用を延長しているだけなのであって、本心はシニアを辞めさせて代わりに若者を採用したいに決まっている。

そして日本の将来にとっても、その方が望ましいはずだ。

まだまだ自分には力があると思っているシニアは古巣にしがみ付くのではなく、自ら起業するなり、全く違う会社に自分を売り込むなりして活躍の場を作ればいいのだ。

しかし、62歳でリタイアした私から見れば、そこまで仕事に固執しなくても、自分のやりたいことだけやって毎日のんびり暮らす「隠居」生活の方がずっと魅力的だと思うのだけれど・・・。

そんなことを思う2021年の「八十八夜」兼「メーデー」に当たり、ふと目にしたある雑誌の記事について書いておこうと思う。

経済誌「プレジデントオンライン」でたまたま見つけた幸福論的なコラムである。

タイトルは『ハーバード大75年の追跡調査「人間の幸福と健康」を高めるたった1つの方法』。

明治大学教授で言語学者の堀田秀吾さんが書いたもので、今更ではあるが、残りの人生を「幸福」に生きていくためにこの記事から私も何か学ぼうと思ったのだ。

気になるハーバード大学の調査とその結論については、記事の冒頭部分に書かれているので、まずその部分から引用させていただく。

人間の幸福度は「年収、学歴、職業」では決まらない

「人の悩みの90%は人間関係である」なんてよく言われますが、このことにまつわるある研究があります。

ハーバード大学が進めている成人発達研究の調査としてヴェイラントらが行ったもので、ハーバード大学卒の男性たちと、ボストン育ちの貧しい男性たち、この2つのグループ(約700人)の追跡調査をしました。

この研究のすごいところは、その追跡期間です。なんと、75年にわたって対象者の幸福度と要因について調べていったのです。

この長い研究の結論は、こうでした。

「私たちの幸福と健康を高めてくれるのはいい人間関係である」

家柄、学歴、職業、家の環境、年収や老後資金の有無といったことではなく、人間の幸福度、健康と直接的に関係があったのは人間関係だったという結果になったのです。

しかも、友人の人数は関係なく、たった一人でも心から信頼できる人がいるかどうかが重要だということがわかりました。

対人関係がうまくいっている(信頼できる人がそばにいる)状況では、緊張がほどけて脳が健康に保たれる、心身の苦痛がやわらげられる効果が見られた一方、孤独を感じる人は病気になる確率が高く、寿命が短くなる傾向も見られました。

つまり、「お金持ちになれば幸せ」であるとか、「ステータスの高いパートナーがいれば幸せ」であるとか、そんなことは一切ないということなのです。

引用:プレジデントオンライン

私たちに幸福をもたらしてくれるのは「いい人間関係」、これは至極当然のことではあるが、ついつい忘れがちになってしまうので再度認識し直すのは重要だろう。

私の場合も、会社の人間関係を離れた今、家族や友人との人間関係が良好なことが何より心の平穏をもたらしてくれている。

中でも最も重要なのは、妻との関係である。

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ここから記事はハーバードを離れて、「ポジティブな人」と「ネガティブな人」の話に入っていく。

私はむしろ、この部分に興味を持ったので引用を続ける。

見栄や世間体を重視した付き合いはムダでしかない

人間は、とても共感能力が高いのです。それが幸福な気持ちであっても、不安や怒りなどのネガティブな感情であっても、相手が発しているものをそのまま受け取ってしまい、同じような感情を抱いてしまうことがわかっています。

つまり、ネガティブな人ではなく、ポジティブな人と接していったほうが人生はポジティブな方向に向かいやすいということです。

現代社会では、人間関係でもメリット・デメリットが重視されがちで、「つながっておくといいことがありそう」だから付き合う、なんていうこともあるかもしれません。また、見栄や世間体を重視した付き合いなどもあるかもしれません。

ですが、ムリした付き合いには意味がないどころか、幸福度を下げてしまうこともあるのです。

ですから、よけいなことを考えずにポジティブな友人と一緒にいる。そして、自分自身もポジティブでいることに努める。そうして、幸福度の高い人間関係をつくってみてください。

冒頭の研究の結果を考えれば、人生の最終的な勝ち負けなんていうのはないも同然です。財産も、恋愛も、肩書も、ステータスというのは一瞬の間不安を遠ざけるものに過ぎず、本質的には問題を解決してくれないのです。

引用:プレジデントオンライン

この部分ももちろん納得できる。

私自身、50代半ばから人間関係を整理し、人との付き合いを減らす努力をしてきた。

私自身は周囲から「超楽観主義者」と見られることが多かったし、基本的には「ポジティブ」な人間だと思っている。

一方で、妻は真面目で心配性、時には私とは全く違うかなり「ネガティブ」な思考をするタイプの人だ。

私は大きな不満もなく平和に暮らしているつもりだが、果たして妻はどうなのか?

と、記事を読みながら思った。

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「ネガティブ」な妻と付き合っていく上で、能天気な私が心に留めて置くべきこと、それがこの後に書かれていた。

「何事もポジティブシンキング」は間違っている

では、ポジティブな態度とはどういうことなのでしょうか?

アメリカからの自己啓発ブームもあってか、世の中では一般的に「ポジティブシンキング」が重要だと考えられています。

もちろん、ものごとをネガティブに考えるよりもポジティブに捉えられたほうが都合のいいことは多いのですが、必ずしも「ポジティブシンキングがいい」とは言えません。

ミシガン州立大学のモーザーらは、「ネガティブな人に前向きなことを言うと逆効果になる」という研究を発表しています。

この実験ではまず、参加者に自分が「ポジティブ思考」か「ネガティブ思考」か自己申告をしてから行ってもらいます。

そのうえで、「男が女性の喉にナイフを突きつけている」などのショッキングな映像を見せるのですが、これらをできるだけポジティブに(楽観的に)解釈するように指示します。

このときの参加者の脳の血流の反応を調べたのです。

まず、ポジティブ思考だと自己申告した人たちの血流には特に大きな変化はありませんでした。

一方、ネガティブ思考だと自己申告した人たちの血流は大きく反応し、非常に早くなったのです。血流が早いとは、あれこれ考えて、脳が高速回転しているような状況で、この速度が早くなるほどパニック状態になります。つまり、反応が少なく、血流がゆるやかなほうが精神は落ち着いているということです。

この結果を受け、血流の早くなった人たちに「もっと前向きに考えて!」と指示をします。

するとどうなったかというと……血流がゆるやかになるどころか、より早くなってしまったのです。

これは「バックファイア効果」と呼ばれるもので、ある情報を修正しようとすることで、かえってもともとの情報のネガティブさを強めてしまうというものです。

一度わいてしまった不安やネガティブな感情をムリにポジティブに捉えようとしたことで脳が混乱し、オーバーヒートのような状態になったのでした。

ですから、そもそもネガティブな状態になっている人がムリにポジティブになろうというのは自己矛盾を引き起こし、かえって自分のネガティブさに気づかされてしまいます。そして、よりネガティブ思考を深めてしまう原因になるのです。

落ち込んでダメージの大きい人に「がんばろう!」とか「元気出して!」と声をかけるのが逆効果なのは、このようなメカニズムが働くからです。

ネガティブな状態のときは、思考を変えようとはせず、まずは「ああ、今ネガティブだな〜」と認識するところから始めてみてください。

引用:プレジデントオンライン

結婚生活も長くなると、私の無責任な楽観主義が妻の怒りに火をつける場面は数え切れないほどあった。

あれは「バックファイアー効果」だったのかもしれない。

ではどうすればいいのか?

残念ながら堀田さんのコラムにはその肝心の答えが書かれていなかった。

「ネガティブな人」自身が心がける対処法だけが書かれている。

たとえば、「状態を客観的に認識して、意識をそらす」「行動をポジティブにすることで、結果的に思考がポジティブに」「とりあえず口角を上げて、ニッと笑ってる」「あれこれ悩んだり、考えたりする前にまず笑顔」。

私にはほどんど参考にならなかったが、「ネガティブ」な妻にあまりポジティブなことを強制しないこと、それだけは気をつけようと思った。

コロナ禍で「ステイホーム」を余儀なくされるゴールデンウィーク。

必然的に人との付き合いが制限される中、自分自身を客観視したり、大切なパートナーとの関係を再点検してみたりするにはいい機会かもしれない。

そんなことを考えた2021年の「八十八夜」である。

<吉祥寺残日録>会社勤めが終わった #200630

2件のコメント 追加

  1. 竹鶴庵 より:

    kichinm2016さん、私も2016年に移住してきたものです。
    ブログの井の頭公園の樹々の紹介を楽しみにしています。井の頭公園に2本あるカルミアの花が咲き始めたのを今日見ました。アポロチョコレートみたいな花でかわいいですよ。場所は弁財天と狛江橋の中間くらいにある日本庭園です。あと何日かで満開になりそうで、GW中は行くところもないし毎日通う予定です。

    1. kichijojinm より:

      情報ありがとうございます。早速見に行ってきて、掲載させていただきました。

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