<吉祥寺残日録>トイレの歳時記🌻七十二候「土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)」、台風とともにコロナ感染者も過去最高2848人に #210728

一年で一番暑い二十四節気の「大暑」。

今年はこの大暑に合わせて東京オリンピックが始まり、一段と熱い夏になっている。

大暑の次侯は「土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)」。

「強い陽気が湿りけを蒸発させて、蒸し暑い頃」という意味で、来日した外国人選手たちも東京の暑さにかなり苦しんでいるようだ。

テニスの世界王者ジョコビッチが、試合時間を夕方以降に見直すように要望したと伝えられているが、緊急事態宣言下で夜間の外出自粛を求めているご時世なので果たしてどうなるだろう?

オリンピックの年には、台風が迷走するというジンクスがあるらしい。

TBSの「ひるおび」で過去の例を紹介していたが、確かに時々おかしな動きをする台風というのが登場する。

今年の台風8号もある意味で「迷走台風」に該当するかもしれない。

通常台風は偏西風に乗って西から東へ進むのだが、今度の台風は東からやってきて、千葉沖で急に角度を変え、今朝6時に東北地方に上陸した。

台風が宮城県に上陸したのは、観測史上初めての珍事だそうだ。

この台風のせいで、屋外で行われるオリンピック競技のいくつかが影響を受けた。

その一つが千葉で行われていたサーフィンである。

台風の位置によって波がなくなってしまう可能性があるとして、今日行われる予定だった決勝が急遽昨日の午後行われた。

今回の大会からオリンピックの新競技となったサーフィンだが、男女とも日本人選手がメダルを獲得した。

サーフィン男子で銀メダルに輝いたのは、五十嵐カノア選手。

両親は日本人だがサーフィンの本場カリフォルニアで育った。

名前の「カノア」とは、ハワイの言葉で「自由」という意味だという。

サーフィンは1対1のトーナメント方式で勝敗を競う。

35分間の間に何度でも波に乗って、得点の高かった2回の合計点の高い方が勝ちとなる。

五十嵐選手は準決勝で優勝候補のブラジル選手に逆転勝利し決勝に進出したが、決勝では世界ランキング1位のブラジル選手の前に大差で負けた。

それでも、スケートボードに続き、サーフィンでも世界と戦える選手がいるということを多くに日本人に知らしめた意味は大きく、知らないうちに日本も多様性のある国になったんだなあと妙な感慨を覚えた。

女子でも、藤沢市出身の都筑有夢路選手が見事に銅メダルを獲得した。

男子に比べるとやはり見劣りする演技だが、それでも台風で白波が立つ海で巧みにボードを操る姿は文句なしに格好いい。

東京オリンピックも昨日で5日目。最大のサプライズはテニスの大坂なおみ選手だった。

この大会第2シードとして臨んだ大坂だが、どうも元気がなく、3回戦でチェコの選手に呆気なくストレート負けを喫してしまった。

全仏オープンでメディアの取材を受けないことでトラブルとなり、途中棄権して以来初めての試合、大坂はやっぱりどこかおかしい。

大坂なおみのメダル獲得はほぼ間違いないだろうと思っていただけに、かなり心配だ。

卓球男子のエース張本智和選手も、4回戦でスロベニアのヨルギッチにフルセットの末競り負けた。

東京オリンピックで中国選手打倒も期待された張本も、このところ伸び悩んでいる印象が強い。

水谷・伊藤ペアが中国を倒して金メダルを獲得した卓球チームだが、どうも伊藤美誠以外は成長が止まっているようだ。

一方で、ほとんど期待されていなかった柔道男子81キロ級の永瀬貴規選手が粘って金メダルを獲得したり・・・

重量挙げ女子59キロ級の安藤美希子が密かに銅メダルをもぎ取るなど、この日も日本人選手たちの活躍は続いた。

平日の昼間に行われる競技についても仕事を気にせずしっかりライブで楽しめるのは、会社を辞めた人間の特権である。

そして昨夜は、開会式前から注目されたソフトボールの日本代表がアメリカとの決勝戦を制し、13年越しの連覇を果たした。

金メダルを決めた瞬間、マウンド上にいたのは今回もエース上野だった。

上野はすでに39歳、相手のアメリカのエースも30代後半である。

東京大会で男子の野球と共に復活した女子のソフトボールが次のパリ大会以降、オリンピック競技から除外されるのも、こうした選手層の薄さを見れば致し方ないのかもと感じざるを得ない。

東京オリンピックでその名を日本中に知らしめた左腕・後藤希友投手が、上野投手に代わってこれからの日本代表のエースとなるのだろうが、オリンピック種目で亡くなると次に日の目を見るのはいつのことになるのだろう。

ソフトボールでの金メダルを加え、昨夜の段階で日本の金メダルは10個の大台に乗った。

アメリカ、中国がまだ9個なので、とりあえず日本がまだ金メダルのランキングで単独首位を守っているのだ。

あれだけオリンピック開催を批判していたテレビが、手のひらを返したようにオリンピックで盛り上がるのもある意味当然のことだろう。

しかしそんなオリンピックフィーバーに水を差すように、新型コロナの感染拡大が止まらない。

予想通り、東京都の新規感染者数は昨日2848人と過去最高を記録した。

街の人出があれだけ増えれば感染者数が増えるのは無理もないが、一時静かになっていたオリンピック反対派が再び活気づくのは間違いないだろう。

感染は全国に広がっていて、ひょっとすると8月の帰省シーズンに向けて、緊急事態宣言が全国に拡大される可能性も考えておかなければならない。

伯母の介護のため8月初めには再度岡山に帰省しなければならないのだが、このまま行くと、その頃にはとんでもない感染者数になっているはずだ。

みんな私のように、じっと家にいてずっとテレビでオリンピックを見ていればいいのに・・・。

自分の行動に責任を持たない人が多いというのは、本当に困ったことである。

<吉祥寺残日録>「東京在住者」はウイルス扱い!検査入院にも施設入所にもコロナが立ち塞がる#210630

【トイレの歳時記2021】

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