<吉祥寺残日録>トイレの歳時記🌸七十二候「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」、公園の花見会場は封鎖されていた #210315

今日は啓蟄の末候『菜虫化蝶』

「なむしちょうとなる」、すなわち・・・

『菜の虫が蝶になり、飛び交い始める頃』という意味である。

井の頭公園に「菜の花」って咲いてたっけ?

いつものように、公園をうろうろ探してみることにした。

それらしき黄色い花を、御殿山の山野草エリアで見つけた。

これは「菜の花」なのか、それともただの雑草か?

そう思って調べてみると、「菜の花」という植物は存在しないという事実を知った。

菜の花(なのはな)は、アブラナ科アブラナ属の花の総称[1]。特にアブラナまたはセイヨウアブラナの別名としても用いられる。また、菜花(なばな)は、ナタネ、カブ、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、カラシナ、ザーサイなどアブラナ科アブラナ属で主として花を食するものをいう[1]

出典:ウィキペディア

なんと、カブもハクサイも、キャベツもブロッコリーも全部アブラナ属の植物で、その花はすべて「菜の花」だったとは・・・。

知らなかったのは、私だけなのか?

では、井の頭公園で見つけたこの草は、「菜の花」ではないのだろうか?

菜の花の中には雑草も含まれるようだが、「ハルザキヤマガラシ」という要注意外来生物も似ているようなので、正直この草の正体はわからなかった。

そして、蝶々はまだ飛んでいないが、土曜の雨と4月並みの陽気によって、公園では一斉に春が芽吹きが・・・。

御殿山の山野草エリアには、たくさんの「フキノトウ」。

もうかなり大きくなって花を咲かせている。

天ぷらにするには、もう時期が遅く、いわゆる「薹(とう)が立った」状態なのだろう。

「フキノトウ(蕗の薹)」には雄株と雌株があるそうだが、ネットに出ている写真から判断すると、これはフキの雄花のようだ。

まだわずかだが、タンポポも咲いていた。

この白い小さな花は、「ニリンソウ」だろうか?

上を見上げれば、コブシの花が満開だ。

写真を撮っていたら、「この花、何ですか?」と2人の人に聞かれた。

あまりに目立つので、みんな気になるらしい。

井の頭弁財天の目の前に立つコブシも、不自然なほど白い花に覆われていた。

でも、この日私が一番気になったのは、こちら。

御殿山エリアの雑木林だが、いつの間にか木の上の方が淡く色づき始めている。

望遠レンズで眺めてみると、黄緑色の毛虫のようなものがたくさん小枝からぶら下がっていた。

これは、「イヌシデ」の花だそうだ。

この花穂が、神主さんが使う紙垂(しで)に似ていることから樹木の名前になったという。

赤い花穂がぶら下がっている木もある。

「アカシデ」の雄花のようだ。

つい数日前ここを歩いた時には、全然気づかなかったのに、一斉に木々に色がついたので、正直驚き、上ばかり見て歩いていたので、周囲の人からはさぞ不審だっただろうと思う。

モミジの若葉も出てきていた。

まだ一部のモミジだけなので、同じモミジでもいろいろ種類があるのかもしれない。

昨日、東京靖国神社の標準木ではソメイヨシノが数輪咲いたそうで、東京の桜開花が発表された。

平年より12日早く、去年と並び過去最も早い開花宣言だそうだ。

井の頭池周辺のソメイヨシノも蕾がかなり膨らんでいたので、ここ数日で開花を迎えるだろう。

ところが・・・

池の南側にあるお花見ができる広場は、12日から立ち入り禁止になっていた。

コロナのせいで、去年に続き今年も花見の宴会は禁止である。

池の北側に回ると、こちらもベンチは利用できないようにフェンスが設置されている。

さらに・・・

子どもたちの遊び場も使用禁止だ。

井の頭公園は東京都の管理下なので、とにかく花見の人混みは作らせないという意思表示なのだろう。

せっかく春本番なのに、無粋なことである。

私はといえば、毎年恒例の花見の宴はもうオンラインと決まっているので特に問題はないが、『菜虫化蝶』という春の訪れを心から楽しめる状況に戻ってもらいたいものだ。

<吉祥寺残日録>トイレの歳時記🌸七十二候「桃始笑(ももはじめてさく)」、梅と桜と桃の見分け方 #210310

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