<吉祥寺残日録>シニアのテレビ📺BS1スペシャル「潜入10年 北朝鮮・武器ビジネスの闇」 #210913

今日から東京など19都道府県の緊急事態宣言が延長されたが、岡山は宮城とともに宣言が解除され「まん延防止措置」に移行した。

全国的に新規感染数は減ってきていて、それに伴って繁華街や観光地での人出は増えてきているという。

同じことの繰り返しではあるが、新型コロナのワクチン接種はそれなりに順調に進んでいて、この週末には全国民の半数が2回目の接種を終えたと政府から発表があった。

左から、私が接種したファーザー、真ん中がモデルナ、そして右側がアストラゼネカ製のワクチンだそうだ。

9月10日段階での集計によれば、各国の接種状況は「英国が64.2%、フランスが62.5%、ドイツが61.5%、米国は52.9%」ということで、近い将来、出遅れた日本もアメリカを追い越すことが確実である。

生真面目で集団行動が得意な日本人の気質を考えると、国民の8割接種という高い目標も達成可能だろう。

政府は11月をめどに行動制限を大幅に緩和する「ワクチン・検査パッケージ」というプランを公表した。

「灯りが見え始めている」と言って批判を浴びた菅総理だが、事実、コロナ禍の出口は見え始めているようである。

そんな中で今朝、北朝鮮が新型の長距離巡航ミサイルの発射実験に成功したとのニュースが飛び込んできた。

2時間6分20秒飛行し、1500キロ離れた標的に命中したという。

先月行われた米韓軍事演習や韓国が独自の潜水艦発射ミサイルSLBMを開発したことに対抗するものだと見られているが、北朝鮮のミサイル技術は確実に進歩を遂げているようだ。

メディアが騒ぐほど、私は北朝鮮の脅威は感じておらず、その背後にいる中国の方が圧倒的に怖いのだが、それでも情報が極端に少ない北朝鮮の動向は時々チェックする必要があるだろう。

今年2月、北朝鮮の武器ビジネスに関する大変興味深いドキュメンタリー番組が放送された。

BS1スペシャル『潜入10年 北朝鮮・武器ビジネスの闇』。

2020年に制作されたノルウェー・デンマーク・イギリス・スウェーデン合作のドキュメンタリー番組だ。

しかしこれは、私たちがイメージする北朝鮮を描いたドキュメンタリー番組を遥かに超えていて、北朝鮮取材に執念を燃やすデンマーク人ジャーナリストで映画監督であるマッツ・ブリューガーと彼に連絡をとってきたデンマーク人の料理人ウルリク・ラーセンが行った10年以上にわたる超危険な「潜入取材」の記録である。

国際社会から長年疑惑を持たれてきた経済制裁下の北朝鮮による海外への武器輸出。その実態を映像で克明に記録、衝撃的な内容で世界を驚かせたドキュメンタリーを日本初放送。 デンマーク人のウルリクは、北朝鮮の闇を暴きたいという思いから、スペインに本拠地をもつ北朝鮮との文化交流団体KFAにスパイとして潜入していた。長年にわたる団体への貢献によりKFA会長の信頼を得たウルリクは、会長から北朝鮮との武器取引ビジネスの話を持ちかけられる。そして、偽の投資家とともに北朝鮮を訪れたウルリクは、そこで驚くべき武器輸出ビジネスの実態を目撃、彼ら自身も闇のビジネスに巻き込まれてゆく。

引用:NHK

ここまでリアルに北朝鮮の秘密に迫った映像を私はこれまで見たことがない。

新型巡航ミサイルが発射された日に、番組が描いた衝撃の内容を、ブログに記録しておきたい。

そもそもの始まりは、料理人ウルリクが「デンマーク北朝鮮友好協会」に潜入するのでドキュメンタリー映画を撮らないか」とブリューガーに持ちかけたことだった。

監督は「金は払えない」と伝えたが、ウルリクは自主的に潜入を続けたという。

2011年友好協会に入ったウルリクは熱心に会合に通ううちに筋金入りの共産主義者であるクリステンセン会長の直属の部下となり、協会の活動をネットで宣伝するという名目でビデオを回すようになる。

そして2012年初めて北朝鮮を訪れ、そこでアレハンドロというスペイン人と会った。

上の写真の右側がウルリク、そしてウルリクが握手する左側の人物がアレハンドロ・カオ・デ・ベノス、「KFA(朝鮮親善協会)」の会長である。

「KFA」は世界中に数十万人の会員を持つと主張していて、その創設者であるアレハンドロは北朝鮮を支持する外国人たちの中でも最も力を持つ大物だという。

北朝鮮から帰国したウルリクは2013年バルセロナでアレハンドロに面会する。

アレハンドロは「KFAのデンマーク支部を立ち上げ代表になってほしい」と持ちかけ、ウルリクはそれに応じた。

こうしてウルリクはKFAデンマークの代表として、ヨーロッパ各地でKFAの集会に参加、2年後にはKFAの北欧代表となりメディアへの対応を任されることになる。

北朝鮮に不都合な報道があれば反論するのが彼に与えられた任務だったが、やがてアレハンドロはさらに北朝鮮に投資する「金づる」を探すように彼に求めてきた。

「北朝鮮に3つの投資プロジェクトがあり、5万〜100万ユーロの資本が欲しい」とアレハンドロは言ったが、北朝鮮への投資には国連が厳しい規制をかけていた。

コペンハーゲン郊外で暮らすウルリクには妻子があったが、活動については妻に内緒で続けていた。

ウルリクから投資の話を聞いた映画監督のブリューガーはここでもう一人の仕掛け人を用意する。

元フランス外人部隊のジムという男で、麻薬の密売で逮捕されたこともある人物だ。

彼をスカンジナビアの石油王「ミスター・ジェームズ」という投資家に仕立て、ウルリクが彼を紹介するという口実でアレハンドロをノルウェーのオスロに呼び出したのだ。

アレハンドロは初対面の「ミスター・ジェームズ」に対して次のように話した。

「私には、キム・ジョンウン元帥にまでつながるコネがあり、必要なら直接連絡できます。北朝鮮は国連、特に米国の圧力で厳しい制裁を受けているので別の方法で物事を進めている。中東や東南アジア諸国に会社を持ち、あらゆる取引を行っています。表向きは制裁に従いながら実際は無視しているのです。

DPRK(北朝鮮)はいかなるルールも守る必要がない唯一の国です。何をしようと国外には漏れず、口座や資産には誰も手を出せない。インターポールにも非加盟なので他国では不可能なことができます。ほかの国で禁止されている薬の開発もできます。カナダの製薬会社からはある物の製造依頼がきました。それは覚醒剤と基本的に同じ物です。我々の主要産品は武器です。今は複雑な問題もありますが、潜水艦工場や戦車工場も造れます。戦車はネジまで全部自前のものです。ミサイルも製造しイランに売っています。イランには中距離ミサイルの技術しかないが、DPRKの大陸間弾道ミサイルは世界中に到達できる。私はどんな国営企業や省庁との接触も取り計らえます。ビザはいつでも発給でき、どの大臣にも根回しできます。私は直接の窓口なのです。」

商談の様子は複数の隠しカメラによって記録された。

公式には、KFAは30カ国以上に会員を持ち、北朝鮮の文化や歴史に取り組む平和的な組織とされているが、実際は北朝鮮の武器・麻薬取引の隠れ蓑になっているのか?

ウルリクはアレハンドロに密着してそれを確かめようとした矢先、アレハンドロは母国スペインで逮捕された。

武器の違法取引の容疑だった。

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2016年、ウルリクは保釈中のアレハンドロに連絡を取り、北朝鮮製の武器と麻薬を購入したいと持ちかけた。

そしてマドリードでアレハンドロに再会したジェームズは「イスラエルの敵に武器を売りたい」と伝える。

複数の隠しカメラが仕掛けられた部屋でアレハンドロは次のように語った。

「私は複数の国の情報機関から追跡されている。パスポートを取り上げられスペイン領から出られない。理由は武器の所有だ。家に機関銃があった。昔からあらゆる武器が好きでね。

わが軍が外国政府に売っているのは、通常、武器の製造技術なので、短・中距離ミサイルなどを個人に売る交渉は複雑だ。しかし技術や部品であれば話は簡単だ。こちらの技術と専門家をあなたに“貸す”のだ。完成品の売却ではない。私がしかるべき人との交渉を取り持ち、この件の専門家を国外に派遣させる。交渉条件を決めるのはあなただが、私の最も親しい同志がサポートする。」

こうして、北朝鮮への訪問は2017年1月と決まった。

ここで映画監督のブリューガーはウルリクとジェームズと直接話をし、北朝鮮と接触する際の注意を伝える。

「隠しカメラの使用も小細工もダメだ。君からは仕掛けず相手から来るのを待つんだ」

さらにアメリカでウルリクにスパイ技術を学ぶ短期集中コースに送り入念に準備を進めた。

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平壌に到着すると、文化省高官のカンとリが空港で出迎えVIP用のラウンジに案内された。

外に出ると高級車が待っていて、初日は女性歌手たちがもてなす晩餐会、その後の数日は市内観光ばかりで過ぎて行った。

私も1984年に北朝鮮を取材したことがあるが、連れていかれる場所は当時とほとんど変わらない。

3日目の朝、突然迎えの車が来て、平壌郊外のスラム地区に連れて行かれた。

指示に従って地下に降りていくと、豪華な会議室とたくさんの料理が現れた。

そしてそこに武器工場の社長がいたのだ。

情報機関の役人と仮面のように無表情の男も同席し、尋問のような質問を受けた後、兵器のカタログや価格表を見せられた。

通常のスカッドミサイル5基で1400万ドル、日本にも届く射程1350キロのスカッドEミサイルだと5基で2500万ドル。

そしてその場で武器売買契約書にサインしたのだが、驚いたことに北朝鮮側はウルリクが調印シーンを撮影することを許可したのだ。

契約の相手はナラエ貿易会社(Korea Narae Trading Corporation)、北朝鮮の外に武器及び覚醒剤を製造する工場を建設することで合意した。

前例に倣って工場は地下に建設するよう勧められた。

工場の建設場所として最初北朝鮮からナミビアが提案されたが、国連制裁のせいで候補から外れ、次に提案されたのがウガンダだった。

二人は北朝鮮の武器売買に関する機密書類を手に無事デンマークに戻り、ウルリクは「ナラエ貿易会社 ビジネス代理人 名誉職」という肩書を北朝鮮側からもらっていた。

ウルリクは契約締結の話をアレハンドロに伝えるためにスペインのタラゴナを訪ねた。

それは契約の条件となっていたのだ。

アレハンドロはアフリカでのビジネスについてアドバイスを始める。

「アフリカでは誰も守ってくれない。君や私の命の値段は50ドルだ。つまり殺し屋を雇うのにかかる金額だ。やつらは喉をかき切って殺す。連中は強い。太陽の下で一日中肉体労働をしているからね。目を離した瞬間に何でも盗む。水1滴までも。連中には主人が必要だ。命令されないと寝てばかり、寝るか盗むかどっちかだ。白人の主人がいないと獣のようにすべて壊してしまう。誰かを任命する時は命がけで働く人間を選ばないといけない。」

ビジネスの話をする時は用心しろと言ってアレハンドロは盗聴器の探知機を取り出してきた。

隠し撮りをしているのが見つかると、見るものを極度に緊張させる瞬間。

しかし何とかその場を切り抜けたウルリクは、2017年ウガンダに乗り込んだ。

ジェームズは自分のPR映像を撮るためと称してプロのカメラマンをウガンダに連れて行った。

そこで待っていたのは、ダニーという北朝鮮の武器商人と平壌で会った仮面のような顔をした男だった。

ちょうど北朝鮮がミサイル発射を繰り返し、トランプ政権と激しく対立していた時期である。

ジェームズはヴィクトリア湖に浮かぶ島に地下工場を作る計画だと北朝鮮側に話す。

これに対し武器商人のダニーはこう反応した。

「実にいいアイデアだ。工場が完成次第、何を製造するかによって必要なものを供給する。その購入方法だが、たとえばミサイルを数種類製造するとしよう。あなたは自分の飛行機を使い、人道援助の名目でわが国に衣料品や食料を届ける。空になった飛行機に契約した品を積み代金を払い飛んで帰る。何でも提供可能だ。銃弾から大型ミサイル、電子戦用の兵器に至るまで、レーダー、通信システム、作れない物はない。」

そして北朝鮮側は地下工場の上にリゾートホテルを建てるという案を提案してきた。

「技術者もいるしノウハウもある」と・・・。

ヴィクトリア湖で個人で買うことができる島を探し、500万ドルで買える島が見つかった。

住民が暮らしていたが、不動産ブローカーは4ヶ月で住民を退去させると約束し、政府関係者にも引き合わせた。

ウガンダ政府の役人たちはプロジェクトを歓迎し、話はとんとん拍子に進んでいく。

ウガンダ滞在中、ダニーが別の話をジェームズに持ちかけてきた。

それはシリアへミサイルや爆弾を運ぶ話だった。

協力すると伝えると、それでは北京で話し合おうとダニーは言った。

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北京に着くと、武器業界の重要人物と称する男が現れ、次の日には例の「仮面のような男」もやってきた。

「武器業界の重要人物」が口を開いた。

「我々が探しているのは輸送を任せられる人物だ。運ぶのはライフルや銃、空対空ミサイルなどだ。相手の国とは接触済みで後は実際の売買だけだ。

2〜3ヶ月のうちに確実に島を所有できるのか?

ウガンダ議会のトップとは親しいんだ。何かあれば力になろう。」

その後1年以上、彼らからの連絡は途絶えたが、「観光プロジェクト」というコードネームが付けられウガンダのプロジェクトは続いていく。

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ウルリクは途中経過をアレハンドロに伝えるためバルセロナに向かった。

そこでアレハンドロは新たな提案をしてきた。

それは北朝鮮とジェームズ、そしてヨルダンの実業家ヒシャム・アル・ダスーキを絡めた三角取引の計画だった。

アレハンドロとジェームズの商談は、2018年バルセロナの海に浮かべたヨットの中で行われ、アレハンドロは計画について次のように話した。

「北朝鮮は制裁のせいで石油輸入量を限られ、別の供給元を探している。制裁を気にせず石油を売りたいという相手だ。そこで北朝鮮のナラエ社はダスーキ氏と契約したい。するとカン氏から「ジェームズ氏ともビジネスをするのだから三角取引にしてはどうか」と提案があった。本来あなたは北朝鮮に代金を払うはずだが、制裁やビジネスの性質上、少々複雑になる。そこで直接北朝鮮に支払いをする代わりに、あなたは石油を買ってそれを北朝鮮が受け取る。そしてその金額分を”観光プロジェクト”のあなたの北朝鮮への支払い額から差し引く。」

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ジェームズは「ダスーキと直接会いたい」と条件をつけ、アンマンでダスーキと面会する。

ダスーキはこんなことを話した。

「事業を2つ手がけています。化学製品と石油です。政府にコネもあります。いいビジネスとアイデアと信用があれば、あと必要なのは資金だけ。何の心配も要りません。あなたの名前はもちろん私の名前も表には出ない。

北朝鮮へ輸出する時には、船が戻ったらその都度船名を変えます。ブラックリストに載るからです。輸出でも輸入でも重要なのは直接目的地に行かないこと、途中でどこかに停泊し書類を書き換えるのです。そこもお手伝いします。危険を伴う物、例えば機械でも何でも運べる。やり方は心得ています。」

そして翌日、契約書にサインすることになった。

「さあ、ビジネスだ。ロシアのビザ用の書類、石油貿易に必要だ。石油はロシアからヨルダン、ドバイまで運び、そこから・・・。自分の船に積んで行ける時もあれば、公海上で船を替える時もある。急ぎでなければ30〜40日かかります。かなり大回りしないとならない。管制の目を逃れないと。とにかくロシア政府との契約書があれば、どこへでも望むところへ航海できる。君の思いのままだ。」

そうして320万ドルの契約を結んだ。

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その後、ウルリクはストックホルムにある北朝鮮大使館に来るよう求められる。

大使館に行くと、北朝鮮が作成したウガンダで建設する武器麻薬工場のデザイン画を渡された。

リと名乗る北朝鮮の外交官はデザイン画を渡しながら、「素晴らしい。外観はリゾートに見える。だが内部は先進的でまるで映画のようだ」と言い、ホテルの名前はどうするのかと聞いた。

「北朝鮮をにおわす名は避けるように。何かあっても当大使館は一切関知しない」と念を押した。

北朝鮮の大使館内部で交わされた会話の一部始終がウルリクによって隠しカメラで記録されたのだ。

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2019年、北朝鮮はコペンハーゲンでのジェームズとの交渉にジュという新たな人物を特使として送り込んできた。

文化省高官のカンからナラエ社の武器取引を任され、さらに「観光プロジェクト」の連絡役も務めるよう言われているという。

そして新たな契約書を持参した。

それは、ジェームズが石油を北朝鮮に運ぶこと、北朝鮮が渡す物品と技術者をウガンダに運んでプロジェクトに用いることなど三角取引の詳細が記されていた。

取引を始めるには、まずジェームズがまず北朝鮮に送る石油の代金数百万ドルをヨルダンのアル・ダスーキに送金し、その石油が実際に届いたら、北朝鮮は約束のものをジェームズに渡すことになっている。

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また武器商人のダニーもジェームズとの取引を進めたがっていて、カンボジアのプノンペンで会うことになった。

ダニーは新しい武器のリストを手渡しながらこう言った。

「特別な品物ばかりだ。普通は見せない。まず1番は敵の戦車を攻撃するもの、11番はドローン攻撃用、強力な電波をドローンに送り強制着陸させることができる。 シリアではイスラミックステートが敗れ、今兵器が欲しいという顧客を見つけるのは厳しい状況にある。あなたに仲介してほしい。」

映画監督のブリューガーはここで取材を終える決断を下す。

彼の手引きによりジェームズはある日突然電話もメールも通じなくなり忽然と姿を消したのだ。

ウルリクはアレハンドロの元を訪ね、ジェームズが失踪したことを詫びた。

それでもアレハンドロはまだウルリクを全面的に信用していて、その年のKFA年次総会の主催者に選ばれたのだ。

そして番組のラスト、ブリューガー監督はアレハンドロに真実を告げる。

つまりウルリクがスパイであり、全てを撮影していたという10年にわたる秘密を明かしたのだ。

前代未聞のドキュメンタリーは、イギリスBBCなどで放送された後、未公開映像を加えて劇場映画に再編集された。

「ザ・モール」というタイトルで、来月日本でも公開される予定だという。

その予告編がYouTubeにアップされていたので、このブログでも紹介させてもらいたい。

改めて見直してみても、日本では考えられないようなドキュメンタリーである。

しかし、作品中に映し出される北朝鮮兵器の価格表などはまさに極秘情報の塊と言ってもいい。

果たしてウルリクやジェームズ、さらにはブリューガー監督の命は大丈夫かのだろうか?

これについても作品の中で触れられていて、元外人部隊だったジェームズは「何もしなくていい」と安全確保の助言を断ったという。

ウルリクに対しては、「アフターケアプログラム」が用意し家族ともども身の安全を確保するそうだ。

しかし、ジャーナリストであり映画監督であるブリューガー監督に本当にそんなことができるのだろうか?

金正男でさえ暗殺した国である。

建国73年の記念日に姿を現した金正恩総書記は、見違えるように痩せて引き締まった印象を与えた。

コロナ禍で国境を閉ざしたままの北朝鮮では経済状況が非常に厳しくなっているとも伝えられる。

果たして北朝鮮は今、どんな状況なのか?

憶測ばかりが伝えられる北朝鮮の実態を知るうえで、このドキュメンタリーの価値は疑いようがない。

しかし、これはジャーナリストの仕事なのか・・・かつて東ドイツなどで隠しカメラでの取材を試みたこともある私が見ても、恐怖で身がすくむような作品だった。

彼らの身の安全を祈るばかりである。

「宣戦布告」

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