今日から7月。
コロナに翻弄されている2020年も、自宅に引きこもっている間に半分終わり、今日が折り返し地点となる。

昨日から東京でも雨が降ったり止んだり。
強い風が街を吹き抜けて時折強烈な雨が降ってくる。

銀行で記帳したいという妻に付き合って、傘を持って街をぶらぶら歩く。
長いこと休業を続けていた「パタゴニア」が店を再開したのは1週間前のこと。
やっぱりSDGsに敏感な国際企業は、コロナへの対応も慎重だ。

吉祥寺駅前の十字路に面した靴屋さん「ステップインステップ」は7月12日に完全閉店するらしい。
この店は大阪ベースで結構大手のようだ。

こちらは今日オープンの「コメダ珈琲店」。
名古屋ベースの大手チェーンだが、この店の開店がテレビで紹介された。

その理由は、喫茶店がオープンした場所がもともと大和証券の店舗があった場所だからだ。
入口にガラス戸には、「コメダ珈琲店」と「大和証券」が併記されていた。
店内では経済雑誌などが読み放題だそうで、証券会社が新規顧客の開拓のために喫茶店を誘致した格好だ。
図書館で新聞や雑誌を読んで時間を潰していたおじいさんたちが、結構集まりそうな気もする。

公園通りは金融機関が乱立する激戦地帯。
ただ客を待っているだけでは生き残ってはいけないのだろう。

今日発表された6月の日銀短観によると、大企業製造業の景況感を示す指数はマイナス34。リーマンショック直後以来11年ぶりの低い水準だという。
でも、特に驚く数字でもないので株式市場も大きく反応してはいない。
むしろ今、金融機関の関心は今日から受け付けを開始した「マイナポイント」だろう。

マイナンバーカードを持つ人を対象に、買い物などで使えるポイントを還元する総務省の「マイナポイント」。
電子マネーへのチャージやQRコード決済で買い物をすると5千円を上限に25%分のポイントを受け取れるのだという。
マイナンバーカードの普及とキャッシュレス決済の浸透。
二兎を追うこの政策に、果たしてどのくらいの人が飛びつくのだろう。
10万円の現金支給でも問題となったマンナンバーカードの交付率は、今もって17%に止まっているそうだ。

妻が記帳するのを待ってダイヤ街のアーケードへ。
風雨が激しい水曜日ということで、さすがに今日は人出が少ない。

吉祥寺のマスク最安値ゾーンであるダイヤ街だが、マスクの値段は50枚入り1500円から下がってはいなかった。
いずれコロナ前の値段に戻ると予測して路上マスクを買おうとしなかった妻も、我が家の在庫が少しずつ減っていくので少し心配になったようで、衣料品ディスカウント「マーブル」の店頭で売られていたマスクを1箱買い求めた。

東京都の新規感染者数はここ1週間50人以上のレベルが続き、世界的には第二波の感染拡大が懸念されている。
欧米でもマスク着用を義務付ける動きが出ていて、コロナ危機が続く間はマスクの値段がこれ以上下がることは期待できないかもしれない。
東京都は今日から新たなモニタリングの運用を始め、7つの項目を用いて感染の広がりなどを監視するという。でも数値目標は設けず、都庁やレインボーブリッジを赤くライトアップして警戒を呼びかける「東京アラート」はもう今後は出さない方針だ。
東京五輪も延期となり、休業補償に使うお金もなくなったために、経済を止めないことを優先する方針に転換したのだろう。

東京ディズニーランドも約4ヶ月ぶりに今日から営業を再開した。
若者たちは正常化する風潮を歓迎して街に戻っているが、それに合わせて感染者数がじわりじわりと増えている。
「夏場には感染は広がらない」という私たちが密かに抱いていた見通しも、どうも絶対的なものではなさそうだ。

妻がマスクを買っている間、ダイヤ街をうろうろしていると、アパレルの「グランドグローバル」が7月末までの閉店セールをやっていた。
マスクをいち早く路上で売り始め、取引先の中国企業に作ってもらっていると話していたのに、マスクぐらいじゃこの危機は乗り越えられないようだ。
ただ「閉店セール」と書いてあっても本当に閉店するのかどうかはわからないが、ネットを見ると去年9月にこの店を営むアパレル企業が倒産したニュースが載っていた。

さらに、メロンパンが人気だった小さなパン屋さん「ボンジュール・ボン」も6月26日で店を閉めていた。
中野や武蔵境のお店は営業を続けるようなので、やっぱり家賃が高い店から閉じることにしたのだろうか?

別の銀行にも寄りたいという妻に付き合って吉祥寺大通りまで来たので、今日のテイクアウトランチは台湾小皿料理の「旺旺」で。
今日のお昼を中華にしたのは、やっぱり香港のことが気になるためだ。

今日7月1日は、香港がイギリスから返還されて23年目の記念日。
香港では記念式典が行われたが、現地の空気は重いという。
中国政府はこの日を前に、反体制活動を禁じる「香港国家安全維持法」を成立させ、直ちに施行した。中国政府が香港に治安維持機関を新設し、司法や教育などあらゆる分野で直接監視に乗り出す。
香港に認められてきた「一国二制度」はこれによって崩壊した。

日本政府を含め欧米諸国はこうした中国の決定に反対しているが、香港の行く末は去年から予想されていた。
このブログでも何度か指摘してきたが、イギリスによる植民地支配が不当であり、中国本土の一般国民が香港の人たちに同調しない以上、中国政府の方針は決まっていた。
植民地主義によって奪われた領土を取り戻し元のように中国の一部とする、中国人の多くから見ればそこに間違いなく「正義」があるのだ。
民主主義社会で生まれ育った香港の人たちの気持ちを思うとなんとか応援したいと思うが、彼らは天安門事件の学生たちと同じく、中国流を受け入れるか海外に亡命するかの2つの道しか残されていない。
これで台湾の人たちの間で「一国二制度」は絶対に受け入れられないものとなるだろう。
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<吉祥寺残日録>日本が香港の立場に置かれたら? #200529
吉祥寺@ブログ

そして今日7月1日から、レジ袋の有料化が始まった。
そのためテイクアウトを持ち帰るために、去年フィンランドで買ったムーミンのマイバッグを持参した。

ところが、何のことはない。
中国人の店員さんは迷うことなくレジ袋に入れた料理を私に手渡した。
日本語もたどたどしかった彼女たちは、今日から日本ではレジ袋が有料化されることを知らないのだと思う。

昨年はSDGsが流行語となり、プラスチック削減の機運が日本でも高まったが、皮肉なことにコロナ危機によってプラスチック製品の消費が急拡大しているそうだ。
一つのウィルスが思わぬところにも影響を及ぼすという、ちょっと驚きのニュースだった。
毎日ランチをテイクアウトしている私も、相当余分にプラスチックを消費していることになる。
明日から少し気をつけなければならないと思った。

お持ち帰りの料理を手にぶら下げ、家路につく。
アトレでは、6月26日からサマーセールが始まっていることを知った。
あまり買い物をしない私だが、地元商店のために何か買ったほうがいいのかもしれない。

映画館「吉祥寺オデヲン」の前には、わずかながら人の姿が戻った。

上映されているのは、ジブリの4作品。
新作映画の製作がコロナの影響で滞っているせいもあるのだろう。
それにしても、「一生に一度は、映画館でジブリを。」というコピーにはどきっとした。
日テレが毎年のようにジブリ作品を放送し、その都度高い視聴率を叩き出す珍現象がテレビ界ではすっかり定着した。若い人たちにとって、ジブリ作品はテレビで観るものなのかもしれないということに気づいた。
映画が作られたのは、「風の谷のナウシカ」が1984年、「もののけ姫」が1997年、「千と千尋の神隠し」が2001年、一番新しい「ゲド戦記」で2006年である。
私の年代からすればつい最近の映画でも、若い人にとっては劇場で観た記憶がないのだ。
テレビでも往年の名ドラマが人気を博しているが、映画界でもこうした取り組みはとても素敵だと思う。

そして「オデヲン」の並びにあるのがスーパー「ライフ」。
私の妻御用達のスーパーマーケットだ。
数日前、私は「ライフ」が閉店するというニュースをネットで見つけ妻に教えた。
妻にとって、それは吉祥寺のどの店の閉店よりもショックだったようだ。

「7月31日(金)をもちまして閉店いたします。」
それはまるで告別式の案内のようだった。
吉祥寺には他にもスーパーはたくさんあるが、「ライフ」は庶民的だったのでケチな妻との相性が良かったようだ。
8月からは、少し歩く距離を伸ばして「西友」で買い物することが増えるのだろう。
たくさんの人たちの暮らしを変える新型コロナウィルス。
2020年の7月1日は、そんな特別な年の折り返しの日なのだ。
年の後半で何が起きるか、今は誰にも予言することはできない。