<吉祥寺残日録>「ゼロコロナ政策」180度転換の凄み!したたかな中国は日本より早くコロナ禍を脱するのか? #230109

三連休の最終日、今日も快晴だ。

3月並みの暖かさとあって、街を歩く晴れ着の新成人も心なしか暑そである。

日本ではコロナ第8波が続き、死者数は連日過去最高を更新しているが、吉祥寺の街は今日も人でごった返していた。

岸田政権がウィズコロナ政策に転換したため、成人式も今年はコロナ前に戻って賑やかに行われている自治体が多く、昨日始まった大相撲初場所でも3年ぶりに満員御礼の垂れ幕が下がった。

徐々に日常を取り戻しつつある日本だが、昨年末から中国のことが気になって仕方がない様子である。

12月に入ってゼロコロナ政策の破綻が各地で明らかになるにつれ、白紙を掲げて政府に抗議する運動が全土に拡散。

この運動が共産党支配にダメージを与えるかどうかが世界が注目し始めた次に瞬間、習近平執行部はあれだけ固執してきた「ゼロコロナ政策」を180度大転換し、一切の規制を解除する方向に舵を切ったのだ。

街角の至る場所に設けられていた簡易検査場が一斉に撤去され、店舗や交通機関を利用する時に義務付けられていた陰性証明の提示も即日廃止された。

さすが鶴の一声で全てが決まる国。

そのスピード感はとても日本の真似できるところではない。

2023年の年頭所感を発表した習近平総書記は「いま防疫対策は新段階に入っている」と述べただけで方針転換の理由などには触れず、「コロナが発生して以来、我々は科学的で正確な予防・コントロールを堅持し、時と状況に応じてコロナ対策の最適化と調整を進めてきた」とゼロコロナ政策を正当化した。

当然のことながら、突然の方針転換に中国国民の間では混乱も広がった。

感染は一気に広がって、病院や火葬場には長い行列ができ、自分の身は自分で守ろうと解熱剤から紙オムツまでさまざまな物が店頭から消えた。

その混乱ぶりを日本のメディアは年末年始連日伝えた。

徹底した都市封鎖などで西側諸国よりも感染者数を少なく抑えてきた中国の政策失敗を何処か喜ぶような雰囲気も見える。

でも、日本は中国を笑っている場合なんだろうかと私は思う。

中国人は、政府の方針転換に慣れている。

お上がダメだと言えばダメだが、ダメと言われないのであれば自分の裁量で自分の身を守ればいいのだ。

すぐに政府に頼ろうとする日本人とはそもそものメンタリティが違うのだ。

だから日本人から見ればあり得ないような極端な方針転換であっても、多くの中国人は歓迎し、これによって反政府運動が再び高まることはないと私は見ている。

場当たり的にも見えた中国のゼロコロナ解除だが、実は周到に準備していたという報道もある。

『白紙革命とコロナ規制緩和は無関係! 中国、昨年12月にICU病床激増』

この記事を書いたのは中国ウォッチャーとして知られる中国問題グローバル研究所所長の遠藤誉さんだ。

『日本では中国がコロナ規制を大きく緩和したのは「白紙革命のせいだ」とするのが前提になっている。ところが習近平は規制大緩和に向けてICU病床の爆発的増加を1年以上前から計画し、実現していた。』

中国政府が「ゼロコロナ政策」にこだわった背景には、地方部での医療体制の脆弱性があったとされる。

しかし、昨年12月の方針転換に合わせて驚くスピードで病床を増やしたというのだ。

2021年末には6万7198床だったICUのベッド数が、ゼロコロナが解除された直後の昨年12月9日には倍増の13万8100床、12月25日には3倍の18万1000床に急増したのだ。

政府がどれだけ号令をかけても今もコロナ患者を診ない病院がある日本とは大違いである。

おそらく習近平さんの三選が決まれば、ゼロコロナ政策を解除することを視野に入れ準備していたことをうかがわせる。

そして一度習近平さんが決断すれば、ほとんど周知期間もないままに全国一斉に帰省解除が進むのだ。

ウイルスの感染力が強まり、同時に重症化率が大幅に低下したのを見届けて厳しい規制を一気に解除したのだとすると、しっかりとした危機管理だとも言える。

ある程度の死者が出ることも当然覚悟の上で、社会不安を抑えるためにお得意の情報統制を徹底し、現実離れした死者数をしれっとして発表している。

コロナによる死者の多くは高齢者であり、中国政府にとっては懸案の高齢化問題にはプラスとの計算もあるのかもしれない。

8日から出入国の規制も解除され、中国入国時の隔離も必要なくなる。

中国の隔離措置は自費で結構高額だったため、私の知り合いの中国人は本国に帰りたくてもお金がかかるので帰れないとこぼしていたことを思い出す。

これまで3年間、ずっと我慢していた中国人たちの海外旅行がいよいよ始まる。

出国を待つ中国の人たちの写真を見ると、コロナに対する恐れよりも自由に国外に出られるという喜びの方が伝わってくる。

これに対して、日本政府は中国人の入国に対してはPCR検査を実施するなど水際対策を強化している。

中国からの新たな変異株の流入を恐れての措置だが、中国人の入国を認める以上、ウイルスの流入は防げないだろう。

再び強力な変異ウイルスが登場すれば別だが、今の状況であれば、必要以上に大騒ぎしない方がいい。

むしろ日本国内での医療体制の強化や先延ばしになっている2類から5類への変更を急ぐべきだ。

問題は3年経っても一向に改善されない日本の医療界にある。

このまま行くと、中国はあっという間にポストコロナに移行して、日本だけがコロナ禍に取り残されてしまいかねない。

メディアには、中国の混乱を笑っているのではなく、日本の問題にこそスポットライトを当ててもらい、そろそろ感染者数を伝えるだけの意味のないコロナ報道をやめてもらいたいものだ。

<吉祥寺残日録>コロナが政治を揺さぶる!中国の抗議デモ拡大と台湾での民進党敗北をどう読むか? #221129

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