<吉祥寺残日録>「カイツブリ」の子育てが始まった #210415

昨日は一日中、雨が降った。

新緑の瑞々しさは、日に日に失われていき、まだ4月の半ばだというのにもう春の終わりを感じる。

とはいえ、雨に濡れた新緑というのも風情のあるものだ。

望遠レンズで撮影してみると、枝の下側に水滴がいくつも滴っているのがわかる。

早くに葉を出した樹木はすでに緑を濃くしているが、今頃になってようやく枯れ枝から芽を出す植物もある。

どうしても動く動物や美しい花に人間の関心は向かいがちだが、地味な植物を丁寧に観察していくと、「多様性の豊かさ」という言葉の意味が少し理解できる気がする。

枯れた水草の中からも新しい葉が伸びてきている。

古いものの中から現れる新しい命は、春の雨を吸収しながらどんどん勢力を広げていくのだろう。

そんな様子をベランダから眺めながら、この2日間、私は自宅から一歩も出ずに過ごした。

「まん延防止」の措置が取られている東京では、今日の新規感染者が729人となったらしい。

少しは外出しないと体に悪い、そう思って今朝は井の頭公園をぐるりと一周してきた。

水辺で絵を描いている女性たちがいる。

景色はもうすっかり初夏の装いだが、空気は思いの外ひんやりしていて、Tシャツの上にウインドブレーカーを羽織っただけで出てきてしまったことを少し後悔する。

実は私が散歩に出たきっかけは、朝、妻に見せられて一枚の写真だった。

妻は私がまだ眠り呆けている朝6時台に井の頭公園を散歩したらしく、その時水辺にいた1羽の鳥をスマホで撮影したというのだ。

「これって、何て鳥?」と妻が聞く。

結構大きな鳥だったという。

茂みの中でちょっとわかりにくいので、無理やり写真を拡大する。

大きな嘴と黄色い脚。

このせむしのような姿勢から判断すると、おそらく「ゴイサギ」の幼鳥だろうと私は判断した。

こちらが私が3月に撮影した「ゴイサギ」の成鳥。

ペンギンに似た姿で目が赤い。

夜行性で、昼間は茂みでじっとして過ごすという。

幼鳥が成鳥の色に変わるのは3年ほどかかるそうで、妻が目撃した「ゴイサギ」の幼鳥もすでに大きいので、今年生まれたわけではなさそうだ。

妻が「ゴイサギ」を撮影したという七井橋に行ってみると、双眼鏡や望遠レンズのカメラを持ってバードウォッチングをしている人たちがいた。

みんな「ゴイサギ」を見ているのかと思って、彼らが眺めている方向に目を凝らすと、水上に張り出した枝の下に小さな巣があった。

2羽の鳥がいて、1羽は水面に出た巣の上に、もう1羽が巣の周りを泳いでいた。

「カイツブリ」のようだ。

「カイツブリ」は一年を通して井の頭池で過ごす留鳥で、冬鳥が去り静かになったこの池で子育てをするため、バードウォッチャーたちに人気があるらしい。

淡水域で繁殖し、繁殖期には縄張りを形成する。水辺近くの水生植物や杭などに水生植物の葉や茎を組み合わせた逆円錐状の巣を雌雄で作り、4-12月に1回に4-6個の卵を年に1-3回に分けて産む(日本では主に4-7月繁殖)。雌雄交代で抱卵し、抱卵期間は20-25日。

出典:ウィキペディア

「昨日、生まれたよ」という会話も聞こえたので、すでに生まれた雛もいるらしいが、私は見ることができなかった。

「カイツブリ」の巣は他にもいくつかあるようで、注意していたらそのうち小さな赤ちゃん鳥を見ることができるかもしれない。

池の北側に設置されたボードには、ボランティアの人たちによって鳥たちの情報も書き込まれていた。

『カイツブリは3月上旬には7つがいが滞在し、池の各所で造巣をはじめています。巣を見つけたら、優しく見守ってください。』

『実はすぐ近くにいるかも? かくれんぼ上手なゴイサギたち』

『夜行性のゴイサギは、昼間は木の上などで休んでいることが多いです。ゴイサギをびっくりさせないように探してみてください。』

こうやって、井の頭公園の自然をずっと見守っている人たちがいるのだ。

今日はそうしたボランティアの人たちの活動日だったらしく、水草を育てている浅瀬エリアを見回る人の姿を見かけた。

「水辺環境の保全作業」についても、先ほどのボードに紹介されていた。

『井の頭池の環境をさらに良くしていくために、池の中でのアメリカザリガニ捕獲以外にも、浅場の整備や外来水草の抜き取り、池への泥水流入対策など、様々な作業を行っています。』

ボランティアの人たちが林の中で行っていた作業も水辺を守るための一環らしい。

『池の周囲にある木の棚は、泥水の流入を防ぐための「しがら棚」です。かいぼり隊、都職員による協働の取り組みです。』

冬の間に落ちた枯れ枝を有効利用して、土砂が池に流出することを防ぐために垣根のようなものを手作業で作っていた。

ここ10年、こうしたボランティアさんたちの努力によって、井の頭公園の環境は目に見えて良くなってきているのだ。

そんな井の頭公園を散歩していて、今日はこんな蝶々を見つけた。

なんという蝶なのか、私は全く知識を持っていないが、今は簡単にネットで調べることができる。

「庭のチョウ」というサイトを見ると、『ルリシジミ』という蝶のオスに似ている気がした。

ただ表面が水色の蝶は「ルリシジミ」以外にもいろいろいるようで、羽の裏の模様を見なければ識別できないことを知った。

井の頭公園を極めるのに、一体何年かかるのだろう。

都会の中の一つの公園を歩くだけで、自然の多様性を痛感する春の日々である。

<吉祥寺残日録>トイレの歳時記🌸七十二候「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」に立春をさがす #210203

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